【弁理士】「みんなの疑問。色々」


弁理士試験受験生の皆様。こんにちは。
TAC弁理士講座を担当しています齋藤晶子です。今回もどうぞよろしくお願いします。

法律系ブログ弁理士試験。第13回目。


春からお勉強を始め、特許法はいきなりすごいペースで重要事項が盛り込まれていた基本講義となりました。
今、意匠法で、早いものでもうすぐ商標法もうスタートしますね。
私は今回初めて、今年からお勉強を始める方向けの講義を担当し、受講生から多くのご質問を受けました。
今まで考えたこともなかった、でもかなり鋭いご質問が多く、私も勉強になりました。
今回はこの3ヶ月のご質問を何件かご紹介します。

今回のテーマは、
「みんなの疑問。色々」
です。

まず一つ目。
質問1)
特許法では「産業の発達に寄与することを目的とする(特1条)」で、著作権法では「文化の発展に寄与することを目的とする(著1条)」ですよね。ところで、「発達」と「発展」って、何が違うんですか?


回答)
確かにー。これ面白いですね。
1条のことってあんまり深入りしないし、そもそも今までこの2つの違いって全く意識していませんでした。さすが、初学者。発想が新鮮ですね。
というわけで調べてみると、
発展、発達の両者の共通の
「発」は、「進むこと・開始」です。
両者の相違点の
「発展」の「展」は「展開」なので、「展開へと進むこと」
「発達」の「達」は「達成」なので、「達成へと進むこと」

つまり、発展も発達も、同じく、前進し展開することですが、
「発達」は「或る程度明示的な達成目標」がある場合で、
「発展」は、達成目標はともかく、広がり、より前進し、繁栄する
という意味の違いだということです。
「発達」は成長してより完成した状態に近づくことで、この過程に、「達成目標」が意識されています。
一方、「発展」は物事の勢いや力などが増し広がっていくことで、あるところまでで達成・完成というのがありません。

ではもうひとつ。
質問2-1)
特許法の平成27年に職務発明規定(特35条)が改正され、「職務発明規定に基づき、特許を受ける権利は発生した時から使用者等に帰属」になりますが、これって発明者が使用者になっちゃうってことですか?公報の発明者の欄は今までは発明した従業者でしたが、これも使用者等になってしまうんですか?

 

回答)
うーん。確かに。特許を受ける権利が原始使用者帰属だしねー。
でも、やっぱり、発明者は自然人に限られるし、さすがにそこまでは変わりません。
つまり、発明者は従業者のままで、公報にも発明者の欄は発明した従業者の名前が掲載されます。

 

質問2-2)
え?でもそうすると、改正前とあんまり変わんないですよね?

 

回答)
そうですねー。見た目は劇的な変化はないかも?
でも改正によって得られた画期的なメリットがありますよ。

それは、

たとえば、X社の甲さんとY社の乙さんが両企業間の共同研究契約に基づき共同研究をしていたとします。当該共同研究による職務発明について、甲さんはX社と、乙さんはY社と、その職務発明に関する特許を受ける権利については各使用者に帰属する旨の契約をしていたとします。
その後、甲さん及び乙さんが当該共同研究に係る発明をしたときに発明に係る特許を受ける権利の持分をそれぞれの使用者に帰属させる場合、改正前なら、特33条3項の規定により、共同研究のそれぞれの相手方の従業者、つまり、甲さんは乙さんに、乙さんは甲さんに同意が必要でした。

でも、法改正後は、使用者に原始帰属となるので、甲と乙がそれぞれの相手の乙と甲に同意を得ないで大丈夫。だって、発明に係る特許を受ける権利の持分が、それぞれの使用者であるX社とY社に帰属しまからね。

これは平成27年法改正説明会テキストの内容ですが、このことは早速今年の短答式試験に出題されましたよ。

 次回は、「特許庁も第三者も幸せになる規定」です。
 お楽しみに。