【弁理士】
「新規性喪失の例外:特許と意匠」


弁理士試験受験生の皆様。こんにちは。

毎日暑い日が続きますねー。そろそろ梅雨明けの兆しかも?
今週末は海の日があり、3連休でしたが、私は毎日TAC新宿校通いでした。
朝、JR新宿駅からは、小田急線の乗り場を通過して、TAC新宿校へと向かいます。そこはリゾート気分の人でごった返し。その中をくぐり抜けていきます。旅行鞄を片手に楽しそうなキラキラした感じは見ているだけで幸せになれます。私にとって癒しスポットです。
ただ、今年からお勉強始めた方にとって、この光景はちょっときついかなー。と思いました。
でも、早く受験勉強を卒業すると、夏満喫の生活はすぐにみなさんのものになりますよ。
今年はとにかく頑張って合格に向かって走り続けましょう。

今週は、「新規性喪失の例外:特許と意匠」についてお伝えします。

1.元祖特30条って?
まず。特許法ではそもそも、新規性の喪失の例外適用って、なんで認めることになったかというと、
新規は発明公開の代償として特許権付与だから、新規性、進歩性ない発明は、大原則では特許出願前に公知等となった発明は原則として出願発明の新規性及び進歩性の判断資料とされますよね(29条)。
でも、この原則を貫くと、産業の発達(1条)に寄与する上において妥当ではなく、出願人に酷にすぎると思われる場合が生じます。
たとえば、博覧会出品とか、学会発表とか。こういうのって、そもそも産業の発達への貢献は大きいのに、この行為で新規性は喪失して、特許を受けることができなくなるのはちょっと気の毒ですよね。
そこで、法は、出願人には不当な保護を、公衆には不測の不利益を与えない範囲で発明の新規性喪失の例外を認めることにしました(30条)。(特許法概説p86)

2.特30条が生まれ変わったのはなぜ?
ところで、新規性の喪失の例外って、今は特許も意匠も条文はパッと見ほとんど一緒ですよね。
でもこんな風になったのはつい最近。具体的にいうと、平成23年改正からなんですよ。
平成23年改正前は、特許法30条はもっともっと、複雑なつくりでした。
例えば、特許を受ける権利を有する者の行為に起因して新規性喪失してしまった場合は、「試験を行う、刊行物に発表、電気通信回線を通じた発表、特許庁長官が指定する学術団体が開催する研究集会において文書をもって発表」とか「所定の博覧会に出品」とかに限定されていました。
ではなぜ、今みたいにすごくシンプルに、しかも意匠と似たつくりになったかというと、上記のように、適用対象を限定列挙する方式の下では、発明の公開態様の多様化に十分に対応できなくなっていて、しかもインターネットを通じて動画配信された場合は対象とされる一方でテレビ放送された場合は対象とされないといった不均衡が顕在化していました。
そこで平成23年法改正により、包括的に本条の適用対象を拡大する改正がなされ、不均衡が是正されました」。(青本特30条)

3.意匠4条と趣旨は同じ?でいい?
特許法と意匠法は新規性喪失の例外適用のつくりは似ているけど、実は元々は違います。だから、その制度を設けた理由、つまり趣旨も微妙に違いますよ。

では意匠で新規性喪失の例外適用を設けた趣旨は?というと。
意匠は物品の美的外観(2条1項)。よって、模倣が容易であるため権利者の意に反して公知になる機会は多いですよね。また、意匠は販売、展示、見本の頒布等により売行を打診して初めて一般の需要に適合するかどうかの判定が可能となるわけです。
つまり、意匠は新規性を喪失しやすいし、新規性を喪失させる必要があるわけです。
そのため、一度の販売ぐらいで新規性がない、拒絶。とすると、社会の実情に沿わないですよね。そこで法は、新規性喪失の例外を規定した(4条)。(青本意4条)

パッと見ほとんど同じなのに歴史的背景が違うって、新規性喪失の例外くらいかな?って思いますよ。たぶん。結果として受験生的にありがたい展開になったから、めでたしめでたし。ですね。

 次回は、「新規性喪失の例外とパリ条約との関係」です。
 お楽しみに。