【弁理士】
「実用新案登録に基づく特許出願とその波及効果:その1」


弁理士試験受験生の皆様。こんにちは。TAC弁理士講座担当の齋藤晶子です。

早いものでもう8月になりましたね。
学校はお休みになり、社会人もそろそろお休みを取る方も多くなってきて、電車もちょっと空いています。電車に乗る人も「いかにも通勤」という感じではなく、旅行鞄を片手にし、リゾート気分の方も多く、かなり夏休みモードとなってきました。
そんな世間の流れとは裏腹に、弁理士講座はお盆真っ只中も関係なく稼動しています。受験生の皆様は「お盆もまさかの?!」という心境かと思います。
しかも講義ものんびりモードだった7月までに比べ、ハイスピードで内容もぎっしりになってきています。これについていくのも大変かと思います。更に、講義とセットの復習はもっと大変なのも存じております。
とはいえ、うまーく隙間を見つけて、今のうち「お盆の最中」ということにかこつけて、ちょっとだけお休みとってくださいね。
秋からはゆっくりできる機会を作るのもかなり難しくなってきますよ。

今週は、「実用新案登録に基づく特許出願とその波及効果:その1」についてお伝えします。

1.実用新案登録に基づく特許出願とは?
念のため、「実用新案登録に基づく特許出願」について復習してみましょう。
「実用新案登録に基づく特許出願」とは、実用新案権の設定登録後であっても実用新案登録に基づいて特許出願を行うことを可能とする制度です。
よくよく考えるとかなりレアケースの出願であることお気づきですか?通常、設定登録されてしまったら、出願は特許庁に係属しなくなるんですよ。
だから、例えば実用新案権の設定登録後、また実用新案登録出願に戻ることなんてありえないです。
また、一度実用新案登録出願した後に特許出願に看板変える、いわゆる「出願変更」はあるけど、これは「実用新案登録出願」という出願状態だったから許されたんですよ。
さらにすごいことに、その特許出願は基礎とした実用新案登録に係る実用新案登録出願の時にしたものとみなされるのです。
一度特許庁に係属しなくなったのに、出願日遡及効までいただけるありがたーい制度です。

2.なぜそこまでして「実用新案登録に基づく特許出願」?
実は、実用新案登録に基づく特許出願制度は、平成16年改正で導入されました。平成16年改正で狙っていたのは、「実用新案制度魅力向上」です。
実用新案法は「無審査登録主義」で、ライフサイクルが短い技術に対し、すぐに登録して権利を与えるという点は魅力的です。
でも、このメリットが裏目に出てしまうこともあります。
あっという間登録されてしまい、実用新案登録出願後気が変わり、特許出願に乗り換えて特許権者を目指そうとしても時すでに遅しということも多々あったわけです。
例えば、
実用新案権が設定登録された後に
・技術動向の変化
・事業計画の変更
に伴い
①審査を経た安定性の高い権利を取得したい場合
②権利ついてより長期の存続期間が確保されるようにしたい場合
などの事情があっても、
特許権の設定が必要となる場合に対応することが困難になるわけです。
そのため、出願時に迷ってどっちをとるか?というと、結局特許出願にしてしまうことになるわけです。審査ありで多少のリスクあっても特許出願の方がリターンは大きいですからね。
でもこれでは特許出願ばっかり人気出ちゃって、
「特許制度と実用新案制度を併存させることの利点が生かされていない」
との指摘があったのです。
そこで、もし実用新案登録されても、この登録に基づく特許出願できるようにして、
 いきなり「実案or特許。どっち?」という選択を迫られることなく柔軟に対応できるよう、実用新案登録に基づく特許出願制度が導入されました。(青本特46条の2)

 次回は、「実用新案登録に基づく特許出願とその波及効果:その2」です。
 お楽しみに。

 P.S そうそう。秋から弁理士の講座が開講するんです。私は、新宿校で講義を担当しますので、お時間ありましたら、ガイダンスや開講日にお越しくださいね。皆様にお会いできる日を楽しみにしています。ちなみに新宿校でのガイダンスは、8/14(日)15:00~と8/28(日)15:00~です。