【弁理士】
「実用新案登録に基づく特許出願とその波及効果:その2」


弁理士試験受験生の皆様。こんにちは。TAC弁理士講座担当の齋藤晶子です。

本格的に暑い日が続きますねー。
夏バテには気をつけて元気に夏を乗り切りましょう。

今週は、「実用新案登録に基づく特許出願とその波及効果:その2」についてお伝えします。今週は主に、実用新案登録に基づく特許出願をする上で、まずやるべき手続きについてですよ。

1. 実用新案権を手放してしまう
そう。特許出願に乗り換えるんですから、実用新案権はそのまま確保して乗り換えは反則ですよ。潔く実用新案権は放棄しなくてはいけません(特46条の2第1項柱)。
だって、実用新案登録に基づく特許出願と元々の実用新案権が併存してしまうと、第三者は特許法と実用新案法でのチェックをしなくてはいけなくて、監視負担が増大しますよね。
それと、実用新案技術評価書(実12条)は実用新案権者も請求できますよね。「何人も」だから(実12条1項)。一方、特許出願に乗り換えるからには、特許権取得は当然狙うでしょう。そうすると、出願審査請求をしますよね(特48条の3)。
実用新案技術評価も特許出願の審査も審査官のお仕事だから、同じ内容で請求している人も同じなのに、ダブルで審査することになってしまいますよね。
というわけで、第三者の監視負担の増大と二重審査を防止するために、元々手にしていた実用新案権は放棄しなくてはいけないんですよ。
ちなみに、実用新案登録出願を特許出願に変更する場合は(特46条1項)であれば、出願自体は特許庁に係属しているから、特許庁の方で出願を取下げてくれますが(特46条4項)、「実用新案登録」はもう特許庁の手から離れているので、手続きは積極的に自ら権利放棄をする必要があるんですよ。

2. 専用実施権者等の承諾
実用新案権者は、特許権目指してまっしぐらに突き進みたいかもしれないけど、もし、専用実施権者等がいたら、この人達に、「実用新案登録に基づく特許出願しますけどいいですか」と承諾を得なくてはいけないんです。
それは、「実用新案登録に基づく特許出願」をすると、実用新案技術評価書請求ができなくなってしまいますよね(実12条3項)。そうすると、特に専用実施権者は困ることがあったりしますよ。実用新案権に基づいて権利行使したいと思っていたかもしれませんよね。でも実用新案権は厄介なことに、権利行使をするには実用新案技術評価書を提示して警告しなくてはいけないですよね(実29条の2)。
ということは、実用新案技術評価書請求できないと権利行使はできなくなってしまいますよ。
ちなみに、承諾を得るべきメンバーは「専用実施権者、質権者、通常実施権者、職務発明において使用者等に認められる通常実施権者」の4人です。
このメンバーは大事ですので、是非覚えてください。放棄(特97条)、訂正(特127条)するときにも、この4人の承諾が必要ですよ。
そして、実用新案登録に基づく特許出願をするときは、1.で述べましたように実用新案権を放棄しますよね。
だから実用新案登録に基づく特許出願をするときは、この出願そのものの承諾と、権利の放棄の承諾のダブル承諾が必要になりますよ。


次回は、「実用新案登録に基づく特許出願とその波及効果:その3」です。
お楽しみに。