【弁理士】
「実用新案登録に基づく特許出願とその波及効果:その4」


弁理士試験受験生の皆様。こんにちは。TAC弁理士講座担当の齋藤晶子です。

 今週も引き続きは、実用新案登録に基づく特許出願についてです。「実用新案登録に基づく特許出願とその波及効果:その4」についてお伝えします。今週は主に、実用新案登録に基づく特許出願の波及効果についてですよ。
 実用新案法で波及効果がいっぱいあり、条文を追っていくと結構面白いですよ。

1.実12条3項
 実用新案登録に基づく特許出願がされた後は、実用新案技術評価書請求ができない。
 理由は、
 ①出願人の意思として実用新案権の保護を断念し特許権を選択したといえる。
 ②過去の侵害に対しては実用新案権を維持することで対応すべき
 ③二重の審査による特許審査の遅延を防止
   (青本実12条)

 つまり、
 実用新案登録に基づく特許出願をすると実用新案技術評価書請求ができないし、
 前回をお話しました通り、
 逆に、実用新案権者等が実用新案技術評価書請求すると、実用新案登録に基づく特許出願もできないんです(特46条の2第1項2号)。
 上記③の理由は特46条の2第1項2号と同じでしょ。

2.実12条7項
 第三者からの実用新案技術評価書請求後、実用新案登録に基づく特許出願があった場合、実用新案技術評価書請求がされなかったものとみなし、その旨を請求人に通知しなければならない。
 理由は、
 やっぱり、二重審査を防止するためで、その実用新案技術評価書請求はされなかったとみなし、でも黙って「請求されない擬制」もかわいそうなので、通知します。
   (青本実12条)

3.実54条の2第1項
 上記2.実12条7項
で実用新案技術評価書請求がされなかったとみなされたときは、実用新案技術評価書の手数料は返還。
 理由は、
 「実用新案技術評価書請求がされなかったとみなされる(実12条7項)」のは、その評価書請求した人ではない権利者の行為に起因するから、評価請求手数料は請求人に返還します。しかも、すべて評価請求手数料を返還するので、返還請求は要しないです
 もし、返還されることを知らなくても、ちゃんと手数料は戻ってきますよ。
   (青本実54条の2)

4.実39条5項
 実用新案無効審判の請求があって、実用新案登録に基づく特許出願がされた場合、その旨を請求人及び参加人に通知
 理由は、
 実用新案登録に基づく特許出願をすると実用新案権を放棄するでしょ(特46条の2第1項)。そうなると、実用新案権が遡及消滅するわけではないけど、請求人達にとってお金と時間をかけて実用新案登録を無効にする利益って大きく減少してしまうから、そのことを通知してじっくり検討していただく機会を与えます。
   (青本実39条)

5.実39条の2第3項
 上記4.実39条5項
の通知を受けたときは、その通知を受けた日から30日以内に限り、審判請求取下げ可能。
 理由は、
 上記4.実39条5項で、審判で戦って権利をつぶしても見返り少ないなって判断したら、審判請求取下げた方がいいでしょ。
 審判ってお金も時間もかかるし、それなりのメリットないとね。
 だから、審判請求人に審判手続きするかどうか考える時間を30日与えて、もし意味ないなと考えたら、取下げができるようにしています。
 答弁書提出後であっても相手方の承諾なしで取下げできますよ。
 あと、これは特4条の延長もできるし(実39条の2第4項で特4条を準用)、不責事由の追完もありますよ。
   (青本実39条の2)

 次回は、「実用新案登録に基づく特許出願とその波及効果:その5」です。
 お楽しみに。