【弁理士】「消尽3点セット」


弁理士試験受験生の皆様。こんにちは。TAC弁理士講座担当の齋藤晶子です。

 今週も引き続きは、実用新案登録に基づく特許出願についてです。「消尽3点セット」についてお伝えします。
 消尽については、入門のときの「基本講義」でも学習する、基本重要判例です。論文で頻出ですよ。
 今年の論文本試験では出題されなかったので、来年は出題されそうですよ。きっちり理解して、がっちり点を取りましょう。

 まず。
 消尽を学ぶには、基本的に「侵害」について、掘り下げて理解をする必要がありますよ。
 今更?こんなことやるの?と言われそうですね。でも判例は判旨を丸暗記することがポイントではなくて、どういう基本事項に基づき、どこが問題になっているか?ここを押さえておかないと本質的な理解ができません。
 しかも、最近の本試験では、この本質的な理解ができていない状況で判例のキーワードだけを並べていると、不理解が露呈してしまうような出題の仕方をするのが主流になっているので、結構手強いですよ。
 では、基本をしっかりやることの重要性をご理解いただいたところで、改めて。
 「特許権の侵害」とは、
 「正当な権原又は理由なき第三者による業としての特許発明の実施(68条)をいう。」
 ですよね。
 (今回は直接侵害についてのみ取り上げますね。)
 特許権者を仮に「甲」とすると、甲は業としての特許発明の実施する権利を専有できるんですよね(68条)。だから、特許製品を第三者(乙)に譲渡することは特許権者「甲」のみできることですよね。
 そして、
 「一の行為が適法でも他の行為が適法とは限らない」ですよね。
 これが、
 「実施行為独立の原則」ですよね。
 だから、特許権者「甲」が特許製品を第三者「乙」に譲渡することは適法でも、その特許製品の譲渡された第三者「乙」がさらに譲渡することは原則違法ですよね。
 だって、この第三者「乙」は「正当な権原又は理由なき第三者」で、「業としての特許製品を譲渡(2条3項1号)」しているから、まさに、特許権侵害ですよね?
 でも、これを侵害で「違法」だから「譲渡はだめ」としてしまうと、
1. 特許製品について譲渡等を行う都度特許権者の許諾を要するということになれば、市場における商品の自由な流通が阻害され、特許製品の円滑な流通が妨げられて、かえって特許権者自身の利益を害する。
 譲渡の度にいちいち特許権者に許諾がいるとすると、自由流通阻害で、売り上げなんかも悪くなってしまったり。ひいては産業の発達という法目的にも反しますね。

2. 特許権者が流通過程において二重に利得を得ることを認める必要性は存在しない。
 第三者「乙」に譲渡した時点で、それなりの譲渡対価を得ているんだから、そんなに何回も利得を得るのを許すと、特許権者「甲」、ちょっともらいすぎ。ですよね。

 というわけで、「侵害とは?」という定義、「実施行為独立の原則」からすると、第三者「乙」の特許製品の譲渡行為は「違法」で「特許権侵害」ですが、例外的に「適法」としたのが「消尽」ですよ。
 特許権者から適法に特許製品の譲渡されていたら、その後の行為は適法なら「実施行為独立」でなく、「実施行為従属」になっていますよね。

 次回は、「消尽3点セットを攻略:その2」です。
 お楽しみに。

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