【弁理士】「消尽3点セット」を攻略その2


弁理士試験受験生の皆様。こんにちは。TAC弁理士講座担当の齋藤晶子です。

今週も引き続きは、「消尽3点セットを攻略:その2(「いわゆる並行輸入No.1」)」についてお伝えします。
前回は国内での譲渡のお話でしたね。
では舞台が外国になったらどうなるでしょう?
この問題が「いわゆる並行輸入(BBS事件)」の判例です。

これ、よく出題されるけど、ちゃんと理解していない人いっぱいいますよ。
しかも、まさかの上級者に多いのでびっくり。
でも理由はすごくわかります。
判例って判要旨と結論だけとりあえず覚えてアガリ。
として片付けたくなるものです。
でもこの判例はそれやると危険。基本的重要判例だけに高い完成度が求められますよ。

実際、上級クラスの受講生と私と
どんなやり取りで、その不理解が判明したのか。ご紹介しますね。

齋藤:「並行輸入って普通の輸入と何が違うの?」
受講生:「あれ?確かに。なんでしょうね?」
ここで、会話が途切れます。

齋藤:「うーん。では、とりあえず、「いわゆる並行輸入」の判例って。どういうストーリーなの?」
と聞くと。
受講生は自信満々のどや顔で
受講生:「あれは、つまり、国際消尽のお話しで、国際消尽するから権利行使は認められないです。
ある一定の場合だと?あ。そうそう。たぶん消尽しないかな?」
と言ったあと、この判旨で超有名なフレーズである「ある一定の場合」を物凄い勢いで吐き出す感じ。

このやり取りが試験直前だっただけに、慌てて軌道修正しました。

では、この受講生とのやり取りをベースにして解説していきますね。

まず、普通の「輸入」と「並行輸入」は何が違うのか?
これは、「輸入」とは、正規の代理店を通して、外国から日本に商品等が入ってくることです。
でも、この判例で扱っていた事例はドイツにも日本にも特許権を有している特許権者がドイツで特許製品をドイツの業者に譲渡し、その後日本の輸入業者へ譲渡し、・・・・となっているので、ドイツから特許製品が流通していく過程で正規の代理店を通していないのです。
これが「並行輸入」なんです。

ここで、特許製品を特許権者から譲渡する。という点では前回お伝えした「国内消尽」と同じですよね。

スタートがドイツか日本かの違いで、ゴールは双方日本ですし、特許権者から適法に特許製品を譲渡している点も同じです。

では、スタートが同じだからって、国内と同じに扱っていいの?という疑問が生じます。
答えは「NO」です。同様に扱ってはだめです。
だって、
① 特許権者は、特許製品を譲渡した地の所在する国において、必ずしもわが国において有する特許権と同一の発明についての対応特許権を有するとは限らない。
対応特許権を有する場合であっても、わが国において有する特許権と譲渡地の所在する国において有する対応特許権とは別個の権利である。そのため、特許権者が対応特許権に係る製品につきわが国において特許権に基づく権利を行使したとしても(100条、民709条等)、直ちに二重の利得を得たものということはできない。 からですよ。

次回は、「消尽3点セットを攻略:その3(「いわゆる並行輸入No.2」)」です。
お楽しみに。

追伸:9月18日から新宿校で「反転学習」という講座が開講します。WEBで基本講義や短⇔論ハイブリッド講座をご自宅で視聴していただき、新宿校で復習をする。つまり、通常の学習スタイル「ご自宅での復習とTAC各校舎での講義受講」を反転させるという、画期的学習プランです。合格のカギを握るのはなんといっても「講義の復習」です。その最強復習プログラムをご用意していますので、是非皆様にご活用頂きたいです。詳細は、TACのHPをご覧ください。