【弁理士】「消尽3点セット」を攻略その3


弁理士試験受験生の皆様。こんにちは。TAC弁理士講座担当の齋藤晶子です。

今週も引き続きは、「消尽3点セットを攻略:その3(「いわゆる並行輸入No.2」)」についてお伝えします。

国内での譲渡と異なり、舞台が外国になったら、どうなってしまうのか?
先週は、特許権者から特許製品を譲渡したとしても、国内と同じように考えてはいけないので、いわゆる並行輸入の場合のような国際的取引では消尽はしない。というのが日本での「BBS事件」の考え方です。
つまり、国際的な取引では、譲渡の度に特許権者は権利行使ができてしまうことになりますよね。

ここで、
「現代社会において国際経済取引が極めて広範囲、かつ、高度に進展しつつある状況にあります。だから、輪入を含めた商品の流通の自由は最大限尊重することが要請されているものというべきである。」

これだけの国際化社会で、「特許権者が国外において特許製品を譲渡」、なんて普通にある状況です。

「特許権者が国外において特許製品を譲渡した場合においても、譲受人又は譲受人から特許製品を譲り受けた第三者が、業としてこれをわが国に輸入し、わが国において、業として、これを使用し、又はこれをさらに他者に譲渡することは、当然に予想されるところである。」

こんな普通のやり取りについて、いちいち権利行使していたら、自由な国際取引ができなくなってしまいます。

そこで、原則
「特許権者が留保を付さないまま特許製品を国外において譲渡した場合には、譲受人及びその後の転得者に対して、わが国において譲渡人の有する特許権の制限を受けないで当該製品を支配する権利を黙示的に授与したものと解すべきであるからである。」

一定の留保をしないなら、特許権者は「当該製品を支配する権利を黙示的に授与」したものとして、権利行使はできないのです。

でも、一定の留保をしたら、特許権者は「当該製品を支配する権利を黙示的に授与」したことにはならないので、権利行使できます。

その一定の留保というのが、みなさんの十八番のあの決め台詞、
「① わが国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において特許製品を譲渡した場合においては、特許権者は、譲受人に対しては、当該製品について販売先ないし使用地域からわが国を除外する旨を譲受人との間で合意した場合
② 譲受人から特許製品を譲り受けた第三者及びその後の転得者に対しては、譲受人との間で上記の合意をした上特許製品にこれを明確に表示した場合
なんです。

「我が国を除外してよ」と留保していたら、黙示に授与なんてしてないでしょ。
だから、それなのに上記留保事項を守らなかったら特許権者の権利行使は許されます。
判旨には、
「① 、②を除き当該製品についてわが国において特許権を行使することは許されないものと解するのが相当である。」
と書いていて、「①、②を除き・・・許されない」と2回否定されているのでややこしいですが、
「① 、②を除かない。つまり①、②の留保すれば権利行使は許される」のです。

「国際消尽するから権利行使は認められないです。」と自信満々にお答えの方。
「国際消尽」は日本の特許法では「BBS事件」の判例により否定的な考え方をとっていますよ。
権利行使が認められるのは「国際消尽するから」ではないです。


 次回は、「消尽3点セットを攻略:その4(「インクタンク事件」)」です。
 お楽しみに。

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