【弁理士】
「意匠であるもの。ないもの」

 

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弁理士試験受験生の皆様。こんにちは。TAC弁理士講座担当の齋藤晶子です。

今週は「意匠であるもの。ないもの」
ついてお伝えします。

 意匠法は特許法のような「技術的思想」を保護しているのではなく、「物品の美的外観」を保護します。
 よって、この違いがベースになって、特許法と比較して様々な点で相違しています。
 これを一緒に見ていきましょう。

1. 新規性(特29条1項vs意3条1項)
 ① 特許法の29条1項2号の「公然実施された意匠」というのが、意匠法3条1項にないですよね。
   これは、意匠は「物品の美的外観」だから、「公然実施」されれば「公然知られ」てしまいますよね。
   だから、これは意匠法では3条1項1号に統合ですよ。
 ② 意匠法には3号で「公然知られ」又は「刊行物公知」等に該当する意匠に類似する意匠も「新規性なし」となります。
   意匠は「物品の美的外観」だから、新規性の判断を公知等の意匠と同じ意匠だけに限定すると、狭すぎて、実質的にその意匠の創作性を担保できないからですよ。

2. 出願審査請求制度(特48条の2)
 特許法にはあるけど、意匠法にはないですね。
 特許は出願件数が多いし、「技術的思想」ですので、内容も複雑困難で審査に時間かかるから、権利化をどうしても望むガッツある出願しか審査しないですね。
 意匠は「物品の美的外観」だから、見たまんま。審査は特許ほど長時間を要しないです。だから、意匠は出願したら自動的に審査してもらえますよ。

3、出願公開制度(特64条)
 特許法にはあるけど、意匠法にはないですね。
 まず、特許の場合は、出願された発明の内容は早く第三者に知らせてあげないと、第三者は自分が開発している発明は最先端を走る画期的なものと信じて時間とお金を投資 し、実はもう既に同じ様なことを世の中で開発していたことが後々判明すると、その研究も投資も全て無駄になってしまって、かなり悲惨です。
 これって、「産業の発達に寄与(特1条)」の目的に思いっきり反しますよね。
 だから、原則、出願から1年6月したら、出願内容が公開されます(特64条)。
 でも、意匠は「物品の美的外観」だから、出願段階で内容が明らかになっちゃたら大事件に繋がる可能性があります。権利化前にパクリ品だらけになるでしょ。
 特許は出願公開(特64条)による出願人の損失を塡補するために「補償金請求権(特65条)」制度があるけど、意匠の場合は補償金請求権ぐらいでは出願人の損失を塡補は厳しいですね。そんなことでは容易に解決できるレベルではないです。

4. 秘密意匠制度(意14条)
 これは特許法にはないけど、意匠法にはありますね。
 大原則、権利化したら、権利の存在を了知させるため、権利内容は登録広告しますよね。これは特許でも意匠でも同じです。
 そして、特許法では、「産業の発達(特1条)」を「累積進歩」により実現しています。
 だから、権利内容が公示されないのは、「累積進歩」という観点から第三者の不利益が相当大きくなってしまい、また、「産業の発達(特1条)」にも支障をきたします。
 一方、意匠は「物品の美的外観」であるため、模倣され易く、また、流行性に左右され易く、短期間でその存在価値を失ってしまうものも多いので、公表することによる権利者の不利益の方が大きいです。
 しかも、意匠には特許みたいに技術の累積的進歩という面が少なく、公表されないことによる第三者の不利益って特許ほどでもないんですよね。
 だから意匠法だけ、秘密意匠制度を採用したんですよ(意14条)。