【弁理士】
「マドプロアレルギーを克服:その1」

 

 弁理士試験受験生の皆様。こんにちは。TAC弁理士講座担当の齋藤晶子です。

 今週のテーマは「マドプロアレルギーを克服:その1」です。

 いよいよ、年末になりましたね。色々忙しくなり、慌しい毎日をお過ごしかと思います。
 年末といえば、大掃除などのように、年内の気になることをすっきりさせて、新しい年を気持ちよく迎える準備をしますよね。
 というわけで、年末特別企画として、今回は皆さんの苦手な「マドプロ協定の議定書に基づく特例」についてお伝えします。
 これを年内に克服して、清々しい気持ちでお正月を迎えましょう。
 実は、私も受験生時代はすごく苦手でした。内容的に淡々としているし、このテーマだけで「商標法68条の2から68条の39」と条文数でいうと約40条分も勉強するのに、実質は1条しか進んでないから、がんばってもやりきれない気持ちになりますよね。
 しかも、商標法とはいえ、大元の「マドプロ協定の議定書」を理解しないと条文の意味がわからないところも多い。とモチベーションを下げる原因盛り沢山ですね。
 私は実は「マドプロ特例はずーっと苦手」でマドプロアレルギーを克服しないまま受験生を卒業しました。もし、論文や口述で出題されたら、その年は合格を見送るしかないかな?という感じでした。
 でも、受験生卒業後、「マドプロ特例」を勉強して、実は、シンプルでわかりやすく面白い条文であることがわかりました。苦手意識を持ったまま試験を受けるのは精神的によくないし、リスク高いですよ。
 最近は、短答式試験だけでなく、論文式試験でも出題され、マドプロブーム到来の兆しですよね。
 しかも、「マドプロ特例」は「ジュネーブ改正協定に基づく特例」とも似ているので、「マドプロ特例」を制覇すると何かとお得です。
 というわけで、年内にマドプロを「苦手科目」とするのでなく、「武器」にしましょう。

1. まずはタイトルを完全制覇
 「マドプロ協定の議定書に基づく特例」って、第1節から第3節まであります。
 このタイトルをさらっといえるかどうかで、大体理解の程度がわかってしまいます。
 タイトルをよどみなく言えることはすごく大事ですよ。
 第1節は「国際登録出願」です。
 これは、日本を本国官庁として、「国際登録」を受けるために出願する。つまり、「国際登録」を得るための「出願」だから、「国際登録出願」と言います。
 第2節は、日本国を指定する領域指定があった出願で、日本での権利化を目指す国際登録された出願です。
 ここで、日本人が日本にする出願を「日本国商標登録出願」というなら、これの「国際バージョン」なので「国際商標登録出願に係る特例」です。日本での出願といっても、国際登録があった出願なので、特例を設けています。
 第3節は、国際登録が取り消されて、国際事務局からの縛りはとれて、日本での商標登録出願として扱うので、「商標登録出願等の特例」となっています。日本での出願といっても、元国際商標登録出願なので、特例を設けています。

2. 国際登録出願について
 では、具体的にお話を進めていきましょう。
(1) 出願人適格
 日本国民、日本国内に住所等を有する外国人(議定書2(1)(ⅰ)、商68条の2第1項)
 さらに、共同出願可能です。
 そして、基礎出願が共同出願又は基礎登録が共有の場合、共有者全員が国際登録出願人の出願人適格を有している必要があります(共通規則第8規則)。

(2) 国際登録出願をするには「基礎出願等」が必要
(ⅰ) 係属中の自己の商標登録出願又は防護標章登録出願(基礎出願)(商68条の2第1項1号)
(ⅱ) 自己の商標登録又は防護標章登録(基礎登録)(商68条の2第1項2号)を基礎として国際登録出願をする。ここがポイントです。
 本国官庁である「特許庁長官」は、国際登録出願の願書の記載事項と基礎出願等の記載事項との一致の確認をします(議定書3条(1))。
 そして、特許庁長官は、国際登録出願の願書及び必要な書面を国際事務局に送付します(商68条の3第1項)。
 必ず国際登録出願は特許庁長官にしなくてはいけないのです(商68条の2第1項)。だから、商68条の2第1項には「特許庁長官に「国際登録出願」をしなければならない。」となっていますね。
 ちなみに、「ジュネーブ改正協定に基づく特例」では、国際登録出願をするには「基礎出願等」が必要ではないので、「特許庁長官」の「国際登録出願の願書の記載事項と基礎出願等の記載事項との一致の確認」不要です。したがって、特許庁長官にも国際事務局にも国際登録出願できます(ジュネーブ改正協定4条、意60条の3第1項)。だから、意60条の3第1項には「特許庁長官に「国際登録出願」をすることができる。」となっていますね。