【弁理士】
「関連意匠物語~その波乱万丈を赤裸々に綴る~第三話」

 

弁理士試験受験生の皆様。TAC弁理士講座担当の齋藤晶子です。

今回のテーマは「関連意匠物語~その波乱万丈を赤裸々に綴る~第三話」です。

 今回は最終回です。「関連意匠」が独自の効力を有しつつも、「関連意匠」の若干の従属性があることは前回お伝えしました。このお話を続きと、更なる平成18年の大改正についてお伝えします。
 意匠法の大改革は平成10年と平成18年です。
 関連意匠制度誕生の年は平成10年です。平成18年はさらにデザイン戦略が多様化したことにより、関連意匠制度緩和制度をはじめ、「画面デザインの保護の拡充」や「3条の2について登録要件の緩和」があった年ですよ。

1.本意匠と運命共同体

 本意匠と関連意匠の意匠権は、分離して移転できません(22条1項)。
 さらに、本意匠と関連意匠についての専用実施権は、本意匠及びすべての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定できます(27条1項ただし書)。
 理由は、前回お伝えしました通り、「本意匠」と「関連意匠」は類似関係にあるため、権利の重複部分が存在してしまいます。
 そうなると、もし、「本意匠」と「関連意匠」を分離移転したら、権利の重複部分については、二以上の者に物権的請求権が成立します。
 これは、そもそも「独占的排他権」ではなくなってしまいますよね。それと、関連意匠の、「1つのデザイン・コンセプトから創作されたバリエーションの意匠について、「同一出願人から出願された場合に限り」権利行使を可能とする」という制度趣旨を没却してしまいますね。
 専用実施権を、「本意匠」と「関連意匠」を別々の者に設定した場合でも、専用実施権は物権的請求権ですので、上記の分離移転と同様の理由で、同一の者に対して同時に設定する場合にかぎり、設定できます。
(出典:平成10年改正本p62~64)

2.関連意匠同士は家族になっちゃう

 本意匠が存続期間満了以外の理由で消滅した場合、関連意匠が複数あった場合、個々の関連意匠の意匠権は、分離して移転できません(22条2項)。
 さらに、本意匠が存続期間満了以外の理由で消滅した場合、関連意匠が複数あった場合、個々の関連意匠の意匠権についての専用実施権は、すべての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定できます(27条3項)。
 つまり、存続期間満了以外の理由で本意匠である親分がいなくなった場合、個々の関連意匠同士が類似していても、類似していなくても、好き勝手に分離移転できず、また、別々の人に専用実施権も設定できません。
 関連意匠同士が類否判断は、出願段階では、審査官がやってくれていました。でも設定登録され、特許庁の係属から離れると、類否判断してくれる人がいなくなります。そうなると、類似していたら同じ人に移転、類似していなかったら違う人への移転も大丈夫。というルールにすると、大混乱が予想されますね。絶対もめる感じしますね、
 そこで、バリエーション意匠郡として、関連意匠同士は家族になったので、この関係をそのまま維持。つまり、「一度設定された権利関係の安定化を図る」ため、上記の規定を設けました。
(出典:平成10年改正本p62~64)

3.関連意匠、新たな展開

 従来の関連意匠制度は、商品開発時におけるデザイン・バリエーションの権利化を図る制度としてその役割を果たしていました。
 でも、同日に本意匠と関連意匠を出願しなくてはいけなかったのです。ところが、近年のデザイン重視の商品開発においては、開発当初からすべてのバリエーションを創作する場合に限らず、当初製品投入後に需要動向を見ながら追加的にデザイン・バリエーションを開発する等、デザイン戦略がより機動化・多様化しつつありました。
 まず基本となる意匠を創作し、その後は、その基本の意匠に類似していて、流行に乗っかって売れそうな意匠をつくっていく傾向にあったわけです。
 でも、同日出願のみ認める制度下にあっては、市場投入が予測されるデザイン・バリエーションのすべてについての図面等を当初出願時に準備しなければならず、融通きかないですよね。
 そうすると、当初の実施製品に係る意匠から先行して出願するなどの柔軟な出願方法に対応できなくてイマドキの開発事情にマッチしていなく、使いづらいという声が沸いたわけです。
 このため、デザイン戦略の多様性・柔軟性への対応を図る上では、一定期間、後日出願に係る関連意匠の登録を認める必要があるとの声がありました。
 そこで、関連意匠の出願のタイミングは、本意匠と同時でなくても、本意匠の公報発行の日前なら大丈夫になりましたよ(意10条1項)。
(出典:平成18年改正本p25~28)

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