【弁理士】
条文丸のみ。OK? or NG?

 


弁理士試験受験生の皆様。こんにちは。TAC弁理士講座担当の齋藤晶子です。

今週は「条文丸のみ。OK? or NG?」ついてお伝えします。

 世間は「夏本番。夏真っ盛り」ですが、弁理士講座は7月末から「短答⇔論文ハイブリッド講義」が各校舎で開講し、来年に向けた試験対策の講座が本格的にスタートしました。
 また、今年論文式試験を受験し結果待ちの方は、そろそろ口述試験対策を始める時期ですね。結果待ちとはいえ、結果「合格」でそれがわかってから勉強しても絶対間に合わないので、今から気合入れて口述試験のご準備、お願いしますね。

 今回は、「実用新案登録に基づく特許出願(特46条の2)」のお話です。
 この条文は、なかなか奥が深いし、2項に「おや?」と思う記載があるんですよね。このことについてお伝えしますね。

1.え?どこが変?ですよね?きっと
あ。ごめんなさい。違和感あるの、私だけかもしれないですけど、特46条の2第2項の真ん中辺りの2項に出願日の遡及効が得られるのは、
「その願書に添付した明細書等に記載した事項が当該特許出願の基礎とされた実用新案登録の「願書に添付した」明細書等に記載した事項の範囲内にあるものに限り」
と記載されていることなんです。
他の条文で「願書に添付した」と記載されている場合、大体「最初に」という文言がついていませんか?
例えば、特17条の2第3項とか、29条の2とか、41条1項とか。
大御所的条文には「願書に最初に添付した」となっていますよね?
これちょっと気になります。

2.スルーしてもいい?
うーん。たぶん駄目でしょ。
だって、同じ条文内で書き分けている条文ありますよね。特126条5項です。
訂正できる範囲は、
「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするなら、「「願書に最初に添付した」明細書等の記載事項の範囲内」で、それ以外の目的だと
「願書に添付した」明細書等の記載事項の範囲内」って。
だから、「最初に」の有無はかなり重要なはず。
つまり、「最初に」があれば、「当初明細書記載範囲内」まで訂正できるので、補正で削除したものでも範囲内に含まれますよね。
一方、「最初に」がないときは、「直前明細書等記載範囲内」なので、補正で削除したものは範囲内に含まれませんね。

3.「実用新案登録に基づく特許出願(特46条の2)」は「当初明細書記載範囲内」でなくていいの?
つまり、特46条の2第2項は「最初に」がないから、「直前明細書等記載範囲内」であれば、実用新案登録出願の願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内でない新規事項について出願時遡及の効果を与えてもいいの?
そもそも、「当初明細書等」に書いてないのに「直前明細書等記載範囲内」に書かれる記載事項が存在しないはずなので、こんなことイチイチ悩まなくてもいいか?というとそうではないですよ。
実用新案法は実用新案登録出願についての「実体審査」はしません。特許法のように補正が新規事項追加(特17条の2第3項)あれば拒絶(特49条1号)という規定もないので、「当初明細書等」の範囲を超えて補正し登録はありえますよ。
したがって、「当初明細書記載範囲内」にないものが「直前明細書等」に記載されている可能性もあります。

4.結局どこまでOK?
こんなお悩みに答えてくれるのが「青本」「審査基準」です。
「青本(特46条の2)」には
「その実用新案登録の願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内であっても、その実用新案登録に係る実用新案登録出願の願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内でない場合、出願時は遡及しない。」
となっています。
理由は「補正及び訂正の制限の趣旨から鑑みて当然である」ということです。
そうですよね。
補正とか訂正とか全然認めないのは出願人や権利者にはかわいそうだけど、何でもありは出願日遡及するわけだし第三者に負担かかるから、一定の制限決めよ。ということで、「当初明細書記載範囲内」までならOKにしましょう。になったんですよね。
だから、「実用新案登録に基づく特許出願(特46条の2)」もやはり、「当初」かつ「直前」でないと、出願日遡及効はない。ということです。
これですっきり。
ちなみに「特許・実用新案審査基準 第VI 部 第3章」にも記載されていますよ。
ご参考になさってください。



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