【弁理士】
抱き合わせ大作戦 その3

 


 弁理士試験受験生の皆様。こんにちは。TAC弁理士講座担当の齋藤晶子です。


 今回は、「抱き合わせ大作戦 その3」についてお伝えします

 今回も引き続き、主要四法の知識に「条約」を抱き合わせて、セットで得点アップ作戦「抱き合わせ大作戦」についてお伝えしますね。
 前回は、特92条4項の「先願権利者による裁定」の移転は「実施の事業とともに移転する」ではないのです(特94条5項)が、その理由は次回のお楽しみ。というところで締めてしまいました。
 今回その理由を明らかにします。

5.TRIPS協定31条(e)の続き
「自己の特許発明の実施をするための場合の通常実施権の設定の裁定」
については、TRIPS協定31条(l)において、
別枠で詳細の規定がありますよ。
他の特許 (次の(i)から(iii)までの規定において「第1特許」という。) を侵害することなしには実施することができない特許 (これらの規定において「第2特許」という。)の実施を可能にするために他の使用が許諾される場合には、次の追加的条件を適用する。
(i) 第2特許に係る発明には、第1特許に係る発明との関係において相当の経済的重要性を有する重要な技術の進歩を含む。
(ii) 第1特許権者は、合理的な条件で第2特許に係る発明を使用する相互実施許諾を得る権利を有する。
(iii) 第1特許について許諾された使用は、第2特許と共に譲渡する場合を除くほか、譲渡することができない。


ここで、「第1特許」は、特92条4項の「先願権利者による裁定」です。
「第2特許」は、特92条3項の「後願権利者による裁定」です。

「(i)」に関しては、特92条5項では、
特許庁長官は、
特92条3項又は4項の場合において、
当該通常実施権を設定することが第72条の他人又は特許権者若しくは専用実施権者の利益を不当に害することとなるときは、
当該通常実施権を設定すべき旨の裁定をすることができない。

と規定しています。

「(i)」
は、技術水準の低い第2特許のために強制実施権などが設定されるという濫用を防止するための規定であり、
「特92条5項」でも先願権利者の利益を不当に害するときは通常実施権の設定の裁定はできないと規定されていますね。
「(ii)」に関しては、第1特許権者にも第2特許権者についてのクロス・ライセンスを得る権利を与える旨を規定しており、
「特92条2項、4項」においては同じ趣旨の規定をしていますね。
「(iii)」に関しては、クロス・ライセンスによる第1特許の実施権、つまり「特92条3項」の「後願権利者」が「特92条4項」の「先願権利者の権利」に対しての裁定の通常実施権は、前回お伝えした、TRIPS協定31条(e)の「企業又は営業の一部と共に」という条件に加え、第2特許、つまり後願権利者の権利と共にでなければできないと規定していて、これはまさに「特94条4項」ですね(図解TRIPS協定)。

そして、お待たせしました。
なぜ、特92条4項の「先願権利者による裁定」の移転は「実施の事業とともに移転する」ではないのか(特94条5項)?
TRIPS協定31条の「他の使用」は、第1特許は含まれないからないのです。
裁定を請求された特許権者が自己の発明を利用させる代償として取得した実施権にまでその移転条件を制限することは酷だからです(図解TRIPS協定)。



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