【ビジ法】
民法グループにおける頻出テーマ


TACビジネス実務法務検定試験®講座
専任講師 田畑 博史


民法グループにおける頻出テーマ

皆さん、こんにちは。前回までに、ビジ法試験で出題される法令をいくつかのグループに分け、その出題割合等をお話ししました。
今回からは、それぞれのグループにおける重要テーマを、具体例を通じてお話しします。
まずは、出題割合の最も高い民法グループの具体例を取り上げます。

X社は、本社ビルを新築することになったので、Y工務店にビル建設を発注することになりました。X社とY工務店との間の契約では、Y工務店が今年度内にビルを完成させ、X社がビルの引渡しと同時に報酬を支払うことになっています。
この契約における注意点や問題が発生した場合の対応策を考えてみます。


1.契約内容

まず、X社とY工務店との間で結ばれている契約は、民法上の請負契約になります。この契約が成立すると、Y工務店は請負人として、受注した仕事を完成させ、X社に引き渡す義務が生じます。一方、X社は注文者として、ビル完成という結果に対して報酬を支払う義務が生じます。
しかも、今回は、注文内容がビルの建設ですから、民法の他、建築業法も適用されます。この建築業法では、建築請負契約を結ぶ場合、できるだけ契約書を作成すべきであるとされています。したがって、契約書を作成しなかったからといって、契約が無効になるわけではありませんが、契約書を作成しておくことが望ましいです。
ところで、請負契約では、通常、受注した請負人自身が仕事を完成させる必要はありません。なぜなら、注文者が求めていることは、仕事の完成、結果であって、その過程ではないからです。よって、請負人は、同じ結果が出せるのであれば、受注内容を下請負に出し、代わりに仕事をさせることもできます。ただし、建築業法では、請負人が一括下請負に出すことを原則として禁止していますから、Y工務店がビル建築を下請業者に一括して下請負に出すためには、X社の書面による承諾が必要となります。

2.問題が発生した場合

例えば、ビルの完成を約束した今年度内にY工務店がビルを完成させることが出来なかった場合、X社としては、どのような措置を講ずることができるでしょうか。この点、契約で定められた期日までに自らの義務を果たせないことを債務不履行といいます。この債務不履行がY工務店の責任で起こった場合、X社は、請負契約を解除すること、損害賠償を請求することができます(これを債務不履行責任といいます。)。
また、Y工務店が完成させたビルに雨漏りがする等の欠陥があった場合、X社としては、その修補を請求したり、損害賠償を請求することができます(これを瑕疵担保責任といいます。)。そして、この瑕疵担保責任は、さきほどの債務不履行責任とは異なり、欠陥がY工務店の責任で生じたかどうかを問わず請負人が負うべき責任とされています。瑕疵担保責任では、完成物に欠陥があった場合、請負契約の解除権も規定されています。ただし、今回のような建物の建築請負契約では、この解除権が認められません。その理由は、欠陥があったとはいえ、せっかく建てた建物を壊してしまうのはもったいないからです。よって、修理してでも、何とかビルを残していく方向で考えなければなりません。

以上が、請負契約における問題点や注意点です。ビル建設の発注ひとつを取り上げても、様々な法制度があることをわかっていただけたかと思います。しかも、今回、お話しした内容は、3級でも2級でもよく出題されます。

では、次回は商法グループについて、同じように考えてみます。