【行政書士】

憲法過去問との向き合い方


今月は、実際に行政書士試験で合格するためには、何をしなければならないのかについて、掘り下げていきましょう。

資格試験ではよく、
過去問を制する者は試験を制す。
と言われます。

法律系の資格では特に、法律が試験問題の素材となりますので、法律が改正や廃止されない以上、同じことが繰り返し問われることになります。
そのために、過去問を解いておくことが、本試験の問題で得点するためには有効な手段となります。
そこで、過去問との向き合い方について各科目ごとに、お伝えしていきます。

<憲法過去問とのつき合い方>
「憲法」と聞くと何を思い浮かべますか?
「基本的人権の尊重、国民主権、平和主義が三本柱!」
小学校の社会科のテスト勉強で、「基本的人権の尊重」という画数の多い漢字を、意味もわからず必死に暗記した記憶がよみがえります(汗。。。笑)。

とはいえ、小さい頃から憲法に触れていますし、「国の一番大きな法」というイメージはお持ちなのではないでしょうか。つまり、他の法律よりも親しみのある科目といえます。
また、最近では、憲法改正論議も盛り上がっておりますし、興味も持ちやすい科目です。

憲法は、大きく2つの分野に分かれます。
私たちの自由や権利を定めた「人権分野」
国家システムについて定めた「統治分野」

では、この2つについてみていきましょう。

<人権分野>
人権は、「平等権」「表現の自由」「職業選択の自由」など、私たちが生きていく上で必要不可欠な基本的な権利です。
憲法第3章(10条~40条)に規定されています。

憲法人権分野では、条文そのままを覚えるだけでは不十分です。
裁判所が条文をどのように解釈したかを理解して覚えることが重要です。
そして、その解釈が書かれている判決(判例)が出題の中心です。

判例はどのように出題されるのでしょうか。
25条に関しては、最高裁判所大法廷が昭和42年5月24日に判決した「朝日訴訟」が有名です。

【事案】生活扶助が打ち切られたことに不服を申立てた事件です。
【判決】「健康で文化的な最低限度の生活なるものは、抽象的な相対的概念であり、その具体的内容は、文化の発達、国民経済の進展に伴って向上するのはもとより、多数の不確定的要素を総合考量して初めて決定でき」、また、「憲法25条1項は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、直接個々の国民に対して具体的権利を付与したものではない」としました。

この判例が、本試験では次のように問われました。上記の判例を参考に解いてみましょう。

【問題】
いわゆる生存権に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし誤っているものはどれか(平成10年-問22抜粋)。

2 日本国憲法第25条は、直接個々の国民に対して具体的請求権を付与しているものである。


この記述は誤りです。
この問題を解く場合、25条をいくら丁寧に読んでも、また、25条を暗記していたとしも答えは出せません。

ただし、判例を読んでいれば、その内容がそのまま出題されていますね。
つまり判例を理解していれば正解は容易に判断できます。
このような問題が、憲法人権では出題の中心となります。
ポイントは、裁判所が条文をどのように解釈したのかを押さえることです。

判例は具体的な事件に対する裁判所の判断ですから、その事案や背景を押さえていくと、判例の理解が進みますし、実際に生きた法を実感できるのも人権分野の面白さです。

<統治分野>
次に、統治分野の出題は、
「国会」(41条~64条)
「内閣」(65条~75条)
「司法」(76条~82条)
がメインとなります。
いわゆる三権分立でいう「三権」にあたるところです。

統治分野の条文は、人権ほど抽象的ではないですし、理解しやすく、判例もほとんどありません。
システムを覚えれば、即得点に跳ね返ってきます。

システムというのは、例えば、「国会には、衆議院と参議院があって、国会議員は選挙で選ばれる」とか、「内閣総理大臣は、国会議員の中から選ばれる」とか、「裁判の判決は、公開法廷で行わなければならない」などなど、具体的な国会、内閣、司法(裁判所)の運営方法です。

とにかく、条文に書いてあることを覚えること。
統治分野はそういうものだとあきらめて、とにかく、ただひたすら、徹底的に、正確に、一生懸命に(笑)
条文を覚えてください。

これが、統治分野の攻略法です。
今回は「衆議院の解散」についての問題を解いてみましょう。
問題を解く前に、まずは下記の憲法条文をよく読んで覚えてください。

【条文】
≪憲法54条1項≫
衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から30日以内に、国会を召集しなければならない。


覚えられましたか。
では、その条文知識を持って、次の問題にチャレンジしてみてください。

【問題】
衆議院の解散に関する日本国憲法の条文に照らして、次の記述のうち誤っているものはどれか。(平成15年-問6抜粋)。

3 衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に、国会を召集しなければならない。


肢3は54条1項がしっかり覚えられていれば、答えは簡単です!
正しい記述ですね。この問題は「誤っているもの」を探す問題だったので、この選択肢は正解肢ではありませんでした。
実は、このように、まず条文を覚えて、問題を解いて、また、条文を覚え直して、問題を解いて、というのが、統治分野の勉強方法です。
統治分野は条文を覚えれば覚えるほど、勉強すればするほど得点が伸びて、「勉強したなぁ!」と学習成果を実感できるのが統治分野です。
電車の中、昼休み、就寝前のちょっとの時間など細切れの時間を利用して、憲法条文をどんどん覚えていきましょう。

次回は、民法とのつき合い方に切り込んでいきますね! 
おたのしみに!!

(つづく)