【行政書士】

民法過去問との向き合い方


法律系資格において、もっとも重要な位置を占めるのが民法です。
私たちの生活に深くかかわる法です。
そのため、試験科目の中でも、重要な位置を占めるのもうなづけますよね。

 

そこで、今回は、民法の過去問との向き合い方についてお伝えします。


<民法過去問との向き合い方>
民法は、例年、択一9問、記述2問出題されます。
「民法」は大きく4つの分野に分かれます。

<総則>

民法典の構成は、ある項目全体に共通する一般的な事項を規定して、
その後に具体的な事項が規定されるという方式がとられます。
(これはドイツ民法典の方式で、パンデクテン方式といいます。)
そして、民法共通の事項を規定しているのが民法総則です。

<物権>

物権とは簡単に言えば、「物」に対する権利です。
なかでも、「担保」として働く物権を担保物権といいます。
「担保」という法律用語は、なかなか具体的なイメージができない言葉ですよね。
簡単にいうと「担保」=「借金のかた」です。
民法の中でも難易度の高いところです。

<債権>
債権とは、人に何か行為をしてもらうことができる権利です。
債務とは、人に何か行為をしてあげなければならない義務です。
この債権・債務について整理して、債権・債務関係に共通の事項をまとめたのが債権総論分野です。
難しさでは担保物権と双璧をなす強敵です。
債権債務の発生原因としての代表格が「契約」です。
「契約」は「約束」ですね。
そしていろいろな「約束」の共通のルールが契約総論です。
個別の契約について学習するのは契約各論です。
契約各論は民法の中で最も得点しやすいところです。

<親族・相続>
「親族」は婚姻や離婚、親子などについて、
「相続」は遺言や遺産、遺留分などについて規定されています。
いずれも「赤の他人」ではない「家族」に関する法律関係です。

以上の分野に分かれますが、択一の出題は、おおよそ次の分量です。
「総則」から2問
「物権」から2問
「債権」から4問
「親族・相続」から1問

合計9問

<民法の攻略法>
民法は、事例問題が中心です。
事例問題とは、具体的な事例を題材として出題されます。

民法では、答えを出す思考過程として、
①問題を見る。
  ↓
②事例を正確に把握する。
  ↓
③問題文で提示された法的問題を解決するための
条文・判例を記憶喚起する。
  ↓
④正誤判断をする。

この過程を経て、〇×判断をすることになります。

民法で特に重要になってくるのが、②事例を正確に把握することです。

ここで示された事例を読み違えたり、読み飛ばしたりしてしまうと、正確に正誤判断ができなくなります。

そこで、事例問題を正確に把握する訓練をしなければなりません。

そのための訓練としては、とにかく事例問題を解くことに尽きます。
それでは、1問解いてみましょう。

条文】
≪民法167条1項≫
債権は、10年間行使しないときは、消滅する。

(注)債権とは、人に何かを要求することができる権利です。

≪民法158条1項≫
時効の期間の満了前6箇月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、

その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から6箇月を経過するまでの間は、

その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は完成しない。
(注)成年被後見人とは、原則として、1人では法律的に完全な行為ができず、

保護者である後見人が成年被後見人に不利益がないように代わって行動することになります。

【問題】
時効に関する次の相談に関して、民法の規定および判例に照らし、「できます」と回答しうるか。(平成21年―問28抜粋)

叔父は7年ほど前に重度の認知症になり後見開始の審判を受けました。
配偶者である叔母が後見人となっていたところ、今年2月10日にこの叔母が急逝し、同年6月10日に甥の私が後見人に選任されました。

就任後調べたところ、叔父が以前に他人に貸し付けた300万円の債権が10年前の6月1日に弁済期を迎えた後、

未回収のまま放置されていることを知り、あわてて本年6月20日に返済を求めましたが、

先方はすでに時効期間が満了していることを理由に応じてくれません。

この債権について返還を求めることができますか。


【正解】「できます」と回答し得ます。

まず、事例問題は、問題文が長くなりますので、必ず図を書きましょう。

私と叔父はどのような関係なのか。
300万円はいつ誰が誰に貸し、現時点がいつなのか。
矢印や記号を使って、当事者関係を正確に図式化してください。

つぎに、内容について、本問の債権は、今年の6月1日経過時点で10年が経過し、

すでに消滅しているようにも思えます。

しかし、成年被後見人の場合、時効期間が経過する前6ヶ月以内にもし後見人がいなければ、
法定代理人が就任してからも6ヶ月は消滅時効が完成しません。

本問では、叔父の後見人の叔母は2月10日に急逝しています。
つまり時効期間満了前6箇月以内にいなくなったということです。
そうすると、甥の私が後見人に選任された6月10日から6箇月は
債権は時効によって消滅しないことになります。

したがって、債権は時効で消滅しない以上、その債権に基づいて、

叔父に代わって300万円の返還を求めることができるわけです。

このように、民法では、事案を正確に把握した上で、条文や判例を道具として、

事例に潜む法的問題を解決していく、○✕判断していくことを繰り返していきます。

過去問は、事例問題の法庫ですから、
過去問を徹底的に繰り返すことで、
この事例問題を解決する能力を磨いていきましょう。

 

なお、法律資格合格応援サイトには行政書士のみならず、

他の資格の過去問も掲載していますので、そちらもご覧になってみてください。

 

過去問を解いてみよう! 


次回は、いよいよ、行政書士試験の大御所・行政法です。
行政法のつき合い方!おたのしみに!!

(つづく)