【行政書士】

記述式問題対策講座・第3回


「記述式問題対策講座」
第3回の今回は、記述式解法マニュアルの4つの手順を解説していきます。4つの手順とは、前回お話しした以下の4つです。

1.「問い」を正確に把握する

2.「問いの形」から「答えの形」を作る

3.解答に必要な知識を記憶喚起する

4.「答えの形」に法的知識をはめ込む



まずは、「1.『問い』を正確に把握する」について見ていきましょう。

【「問い」を正確に把握する】
記述式問題も「問題」ですから、出題者側が受験者側に「問いたいこと」があるわけです。
記述式問題に回答するにあたっては、この出題者側の「問い」を正確に把握する必要があります。これってどういうことなのでしょうか。

日常生活で考えてみましょう。

例えば、「あなたの出身地はどこですか?」と尋ねられて、「私は今、東京に住んでいます。」って答えました。これって、相手の「問い」に答えていることになるでしょうか?

相手が聞きたいのは「出身地」。「現住所」ではありません。こんな風に答えたら、尋ねた相手は、「あれっ?質問を聞き間違えたのかな?」って思いますよね。

また、「あなたの一番好きな果物は何ですか?その理由は?」と尋ねられて、以下のように答えました。これらは、相手の「問い」に答えているといえるでしょうか?

A「息子は桃が大好物で。香りと食感が良いから。
⇒Aのように「息子の」一番好きな果物とその理由を答えても「あなたの」ことを答えていません。

B「私が好きなのは、梨!桃!スイカ!
⇒Bのように「梨、桃、スイカ」と答えても、「一番」好きな果物を答えていません。

C「私は、ドリアンが嫌い。だって臭い。。。
⇒Cのように、ドリアンが「嫌い」と答えても、「好きな」果物のことを答えていません。

D「私は、牛丼が一番好き。早いし安いしうまいもんね~。
⇒Dのように、「牛丼」が一番好きと答えても、一番好きな「果物」について答えていません。


相手が聞きたいの「問い」は、「あなたの」「一番」「好きな」「果物」とその「理由」ですから、このような答え方では、やっぱり相手は「んんっ?勘違いしたのかな?」って思われちゃいますよね。

私がこの「問い」に答えるとすれば、「私が一番好きな果物は梨です。ジューシーさと歯触りが最高だから!」となります。

「問い」を正確に把握することで、答えるべき内容が決まります。逆の言い方をすれば、「問い」を正確に把握できなければ、答えることもできないということになります。

この思考の論理過程は、実は記述式問題も全く同じ。

何を答えなければいけないのか、出題者側の「問い」を正確に把握することで、初めて、質問に答えられるし、得点できるということになります。

では、「『問い』を正確に把握すること」を、実際の記述式問題を使ってひも解いてみましょう。


まずは、平成18年度 問題44を読んでみてください。

保健所長がした食品衛生法に基づく飲食店の営業許可について、近隣の飲食店営業者が営業上の利益を害されるとして取消訴訟を提起した場合、裁判所は、どのような理由で、どのよう判決をすることとなるか。40字程度で記述しなさい。



この問題で、私たちは何を答えればよいでしょうか?

文末には、「裁判所は、どのような理由で、どのような判決をすることとなるか。」とありますよね。つまり、裁判所が、

「どのような理由で」
「どのような判決をするのか」


という2点、私たちは、この2点を、端的に答えればいいんです。
この私たちが答えるべき部分を「問いの核心」と呼ぶことにします。

この「『問いの核心』をつかむこと」が、「問い」を正確に把握する第1段階、記述式問題を解くための大前提・最重要ポイントになりますから、絶対に忘れないでください!
とはいうものの、「問いの核心」をつかむことは難しくありません。多くは問題文の文末に「問いの核心」があるので、まずは問題文の文末をみて、「問いの核心」を探すんです。

たとえば、平成22年度 問題45の文末は、

この場合において、Cは、Dを相手にして、どのような権利の確保のために、どのような手続きを経た上で、どのような権利を行使することができるか。40字程度で記述しなさい。


となっています。

この問題の「問いの核心」は?

そのとおり!!CはDを相手にして

「どのような権利の確保のために」
「どのような手続きを経た上で」
「どのような権利を行使することができるか」


の3点ですよね。
過去出題された問題の多くは、このような形をとっています。

加えて、「問いの核心」は、法律の内容が分からなくても、問題文の形だけを見て、簡単につかむことができるんです。疑問形になっているところが「問いの核心」というわけです。

ただ、実は、「問いの核心」を把握するだけでは「問い」に答えられません。
なぜなら「どのような事情や条件」の下で「問いの核心」に答えればよいかが分からないからです。

でも、心配ご無用です。「問いの核心」に答えるための事情や条件は、必ず問題文で与えられています。

平成18年 問題44では、「問いの核心」の前に

保健所長がした食品衛生法に基づく飲食店の営業許可について、近隣の飲食店営業者が営業上の利益を害されるとして取消訴訟を提起した場合


とありますが、この部分が「与えられた事情」です。

「問いの核心」答えるために「『与えられた事情』を把握すること」が「問い」を正確に把握する第2段階です。「与えられた事情」を前提として「問いの核心」に答えることになります。これも絶対に忘れないでください

以上のように、「問い」は、「問いの核心」と「与えられた事情」の2つの部分からなります。この「問い」の構造を知っていると、「問い」を正確に把握しやすくなります。

多くは、「問いの核心」は文末にありますが、必ずしもそのような構造をとっているわけではありません。

例えば、平成21年度問題45は、以下のような形で出題されました。

 次の【事例】において、Xは、Yに対して、どのような権利について、どのような契約に基づき、どのような請求をすることができるか。40字程度で記述しなさい。
【事例】 A(会社)は、B(銀行)より~


この問題で「問いの核心」はどこでしょうか?
そうですね。冒頭にあります。

「どのような権利について」
「どのような契約に基づき」
「どのような請求をすることができるか」


の3点ですよね。

「与えられた事情」はというと、そのあとに端的に【事例】として提示されています。「問いの核心」と「与えられた事情」の順番は前後していますが、やはり、2つの部分からなっていることが分かります。

「『問い』を正確に把握する」というのは、①私たちが答えるべき「問いの核心」を捉え、②その「問いの核心」に答えるために「与えられた事情」を把握するということです。


この点に注意しながら、問いを正確に把握していきましょう。

次回は、二つ目のポイント、
2.「問いの形」から「答えの形」を作る
ということを見ていきます。お楽しみに。