【行政書士】記述式問題対策講座・第7回


 みなさん、こんにちは。執筆担当の小池です。

 

第7回は、前回までにお伝えした4つの解答手順を踏まえて、 実際の記述式問題に対する対策をしてみましょう。まずは数回にわたり行政法について対策してみましょう。

【行政法の傾向と対対策①】
まずは記述式問題を解くためのポイントは以下の4つの手順でした。
<1.「問い」を正確に把握する>
<2.「問いの形」から「答えの形」を作る>
<3.解答に必要な知識を記憶喚起する>
<4.「答えの形」に法的知識をはめ込む>

この手順を使って、行政法の問題を見ていきます・・・

いや、まずはその前に、行政法の傾向と対策を考えてみましょう。(出題傾向を探ることは、無駄なことをしないためには絶対やっておかなければならないことですから。)


最初に出題傾向を探るため、過去問を分析してみました。

まずは出題分野について。

記述式問題が始まった平成18年から昨年平成27年までの出題テーマをまとめてみます。

平成18年 行訴法  原告適格
平成19年 行手法  申請に対する応答
平成20年 行訴法  被告適格、義務付けの訴え
平成21年 行訴法  判決の効力
平成22年 行訴法  事情判決
平成23年 法理論  即時強制の意味
平成24年 行訴法  形式的当事者訴訟
平成25年 行訴法  訴えの利益
平成26年 地自法  公の施設
平成27年 行訴法  原処分主義


こうしてみると過去10年で、行政事件訴訟法からの出題が7割を占めていますね。

行政救済法分野でのメインとなる法令ですから、当然といえば当然です。また、出題された条文も、過去行政書士試験で問われたことのあるような基本的な条文です。したがって、今後の出題も、過去行政書士試験で問われたことがある行政事件訴訟法からの出題が大きなヤマといえるでしょう。


つぎに、行政法の記述式問題の出題内容を検討します。
と、その前に。

記述式問題の内容を分析する前提として、法律要件と法律効果について押さえておきましょう。

法律の条文は法律要件と法律効果から成り立っています。ですから、記述式問題も法律要件や法律効果が問われることになります。

一般的に条文は、
「〇〇の場合には、△△となる。」
「〇〇のときは、△△しなければならない。」

というように規定されます。

「〇〇」の部分が法律要件、
「△△」の部分が法律効果です。

すこし抽象的でしたね。

具体的には、例えば、行政事件訴訟法33条2項は、「申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。」と規定されています。

前半の「申請を~取り消されたときは」が法律要件、
後半のその処分~しなければならない。」が法律効果です。

「法律要件」「法律効果」というと何か難しい感じがしますが、ある「条件」(要件)が整うと、ある「結果」(効果)が生じる、という関係です。

このように、法律は法律要件と法律効果から成り立っているわけですから、

1、法律要件が問われる問題
⇒「〇〇」の部分が問われる問題
2、法律効果が問われる問題
⇒「△△」の部分が問われる問題
3、法律要件・法律効果がいずれも問われる問題
⇒「〇〇」「△△」いずれも問われる問題


という出題内容・出題パターンが考えられます。

これを前提として、行政法の問題はいずれのパターンで出題されているのでしょうか。

実は、行政法の特性を押さえれば、2、法律効果が問われる問題が多くなることが見えてきます。

なぜなら、行政法の主な内容として、「ある事」が生じたときに、行政はどのように行動・処理しなければならないのかが定められているからです。

行政は、起こった事に柔軟に対応し、迅速・適切に行動・処理することが行政法によって要求されています。「〇〇」という事があった場合には、行政は「△△」のように行動・処理しなければならない。これが行政法です。

ここで「〇〇」に当てはまる事柄は様々なものが考えられます。ただ、「ある事」が「〇〇」に該当することになれば、行政は「△△」という行動・処理をすることになります。

では、行政法では「〇〇」が問われることが多いのか、「△△」が問われることが多いのか。上記の行政法の特性から考えてみてください。

もし、「行政が『△△』という行動・処理を求められる場合というのはどのような場合ですか。」という問題を出題した場合、その答えとしては「〇〇」の部分を答えることになるわけです。でも、この「〇〇」に入り得るケースというのは様々考えられるわけです。つまり、問いに対する答えが一つではないということになってしまいます。

客観的に一つの答えが設定される国家試験の問題としては不適当です。もちろん、絶対にそのような問題を出題することが不可能というわけではありませんが。

反対に「『〇〇』という事があった場合に、行政はどのような行動・処理をしなければならないですか。」という問題だったらどうでしょう。『〇〇』が具体的な事案として示されていれば、あとは、行政がとるべき行動・処理(法律効果)は決まることになります。

このように、行政法の特性から見れば、法律効果が問われることが圧倒的に多くなることになります。さらに『〇〇』のところは具体的な事案で示されることになるため、事例問題になるということになります。

実際にも、今までの行政法の出題は、事例問題で法律効果を問うものが多いといえます。

そうすると、私たちが行政法の40字記述対策としてやっておかなければならないことは、法律効果を中心に学習を進めておくという事になります。

その上で、その法律効果が生じる「〇〇」という場合が、「具体的には」どのような場合なのかをいろいろと想定しておくことになります。

次回は具体的な過去問を使いながら、
行政法の40字記述問題を実際に解いてみることにしましょう。
乞うご期待!

(つづく)