【行政書士】

記述式問題対策講座・第10回



こんにちは。TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。平成28年度・行政書士試験の願書の受付が始まりました。みなさんはもう、願書の提出はなさいましたでしょうか。早めにお申し込みくださいね。

第10回の今回は、「答えの形」に法的知識をはめ込むを、実践します。この作業で、解答の完成です。

【行政法の傾向と対策④】
もう一度、記述式問題を解くための4つの手順を確認です。

<1.「問い」を正確に把握する>
<2.「問いの形」から「答えの形」を作る>
<3.解答に必要な知識を記憶喚起する>
<4.「答えの形」に法的知識をはめ込む>



今回は<4.「答えの形」に法的知識をはめ込む>の手順です。

≪平成18年の問題44≫

保健所長がした食品衛生法に基づく飲食店の営業許可について、近隣の飲食店営業者が営業上の利益を害されるとして取消訴訟を提起した場合、裁判所は、どのような理由で、どのよう判決をすることとなるか。40字程度で記述しなさい。


この「問い」に答えるために必要な知識は、

既存の営業者に法律上の利益がない
⇒原告適格を欠き訴訟要件を満たさない
⇒却下判決

でした。

では、「問い」に必要な知識をどのように解答欄に書けばよいのでしょうか。それは「問い」の形に呼応させて書くということです。
実践してみましょう。

もう一度、念のため確認しますが、本問の「問い」は、
近隣の飲食店営業者が営業上の利益を害されるとして取消訴訟を提起した場合、裁判所は、
ア、どのような理由で
イ、どのような判決をすることとなるか

です。なかでも、ア、イが「問い」の核心部分となります。

そうすると、ア、イに呼応させた形の解答としては、
近隣の飲食店営業者が営業上の利益を害されるとして取消訴訟を提起した場合、裁判所は、
ア、「○○」という理由で
イ、「△△」という判決をすることとなる。

のような形になります。

このように答えの形ができれば、あとは「○○」「△△」の部分に冒頭の必要な知識をはめ込めばOKです。

具体的には、
「○○」
=近隣の飲食店営業者は、法律上の利益を有せず原告適格を欠く
「△△」
=却下

をはめ込むことになります。

したがって、純粋に「問い」に呼応する形の解答を作るとすると

近隣の飲食店営業者が営業上の利益を害されるとして取消訴訟を提起した場合、裁判所は、近隣の飲食店営業者は、法律上の利益を有せず原告適格を欠くという理由で(ア)、却下という判決をすることとなる(イ)

という形になります。

ちょっとくどいですし、これをそのまま解答欄に書くととてもとても45字では収まりきりません。そこで、この解答を推敲していきます。
まず、「近隣の飲食店営業者が営業上の利益を害されるとして
取消訴訟を提起した場合」の部分は、解答の前提となる部分ですから省略できます。解答の前提ですから、答案採点者はこの部分がなくても、それが書いてあることとして読んでくれます。

次に、この「場合」を前提とする「裁判所の対応」が問われていることも「問い」の前提ですから、「裁判所が」という部分も省略できます。

さらに本問では、「問いの核心」がア、イ、の二つあります。このように問いが複数存在する場合には、「原告適格を欠く」という解答要素と「却下」という解答要素が、ア、イのどちらの「問い」に対する解答なのかが、採点者に分かるようにしなければなりません。したがって、解答には、「~という理由」「~という判決」という部分は省略せずに書かなければならないことになります。

さらに、本問では「近隣の飲食店営業者」が訴訟を提起していますから、訴訟を求めた方として「原告」と言い換えることができます。

以上をまとめると、

原告は、法律上の利益を有せず、原告適格を欠くという理由で、却下の判決をする。

という解答が完成します。


この4.の作業は記述問題対策として特別にやっておかなければならない過程です。他の問題も使ってこの作業の訓練を重ねておきましょう。

次回からは、民法について見ていきます。

お楽しみに。
(つづく)