【行政書士】
記述式問題対策講座・第13回


こんにちは。TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。


前回に続きです。素材をもう一度確認しましょう。

【平成18年・問題46】です。

AはBに対して3000万円の貸金債権を有しており、この債権を被担保債権としてB所有の建物に抵当権の設定を受けた。ところが、この建物は、抵当権設定後、Cの放火により焼失してしまった。BがCに対して損害賠償の請求ができる場合に、Aは、どのような要件のもとであれば、この損害賠償請求権に対して抵当権の効力を及ぼすことができるか。40字程度で記述しなさい。



具体的には、

Aは、どのような要件のもとであれば、Aの抵当権の目的であるB所有建物がCの不法行為により滅失しBがCに対して取得した損害賠償請求権に対して抵当権の効力を及ぼすことができるか。


というのが、本問の問いでした。

この「問い」に答えるために必要な知識を確認しましょう。

民法372条が準用する304条では、

抵当目的物が、売却・賃貸・滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。


とされています。

このような性質を物上代位性といいます。
本問は、Aの抵当権の目的物であるBの建物が滅失したことによって、BがCに対して損害賠償請求権を取得した事案です。

そうすると、抵当権にこの物上代位性という性質があることに気が付けば、Aは、BがCから受ける損害賠償金に対しても、抵当権を行使することができるという考えに到達できます。

あとは、法律的にこの物上代位をするための要件として、条文上、

1、払渡し又は引渡しの前に
2、差押えをしなければならない


という規定がなされていることが導き出せるかどうかです。

これを本問に当てはめると、

1、CがBに対して払い渡す前に
2、損害賠償請求権をAが差し押さえなければならない


という要件を満たさなければならないということになります。

この要件を満たすことができれば、AはBのCに対する損害賠償請求権に抵当権を及ぼすことができる、ことになります。

これが、本問に答えるための知識ということになります。

次に、この知識を実際に45字以内でどう書くかです。


解答を作るに当たっては、「問い」に呼応する形、つまり、「問い」に対して「オウム返し」で答えるということでした。

問いの形に対して、「オウム返し」で答えると、その形は、

Aは、「○○」という要件のもとであれば、Aの抵当権の目的であるB所有建物がCの不法行為により滅失しBがCに対して取得した損害賠償請求権に対して抵当権の効力を及ぼすことができる。


となります。

この「○○」に答えとなる要件を挿入すれば、解答完成です。

「問い」の形を把握すれば、問の内容が分からなくても、解答の形は決まります。あとは、「○○」に、知識で穴埋めをすれば完成です。

そうすると、本問の場合、

Aは、『CがBに対して払い渡す前に、損害賠償請求権をAが差し押さえなければならない』という要件のもとであれば、Aの抵当権の目的であるB所有建物がCの不法行為により滅失しBがCに対して取得した損害賠償請求権に対して抵当権の効力を及ぼすことができる。


が完全な答えとなります。

ただ、これだとちょっと長すぎですね。そこで、問題の前提となっている部分はカットします。

本問でいうと、「Aの抵当権の目的であるB所有建物がCの不法行為により滅失しBがCに対して取得した損害賠償請求権に対して抵当権の効力を及ぼすことができる要件」が問われているのは、問いの前提ですから、これをあらためて解答に書く必要はありません。

また、「要件」について問われているのですから、解答欄に書かれているのは、受験者が考えている「要件」であると採点者は読んでくれるはずですから、これも書く必要はありません。

そうすると、「○○」に入れる部分、

CがBに対して払い渡す前に、損害賠償請求権をAが差し押さえなければならない。


が残ることになり、まさにこれが過不足のない40字程度の解答ということになります。

ここは、簡単なようで、意外とできていないところですから、みなさんいろんな問題を使って練習してみてください。

次回からは、今年の本試験での出題予想をしてみたいと思います。
お楽しみに!!

(つづく)