【行政書士】

平成28年度行政書士試験を振り返る
(法令択一編・民法)


こんにちは。TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

平成28年度行政書士試験の振り返り、今回は、行政書士試験の民法の択一問題を振り返っていきます。
先日実施したTACのデータリサーチ上の正答率によって、以下のように分けています。

60%超  易しい(合格には得点しなければならない問題)
50%超~60%以下  普通(得点しなければならない問題)
40%超~50%以下  やや難しい(合否を分ける問題)
40%未満  難しい(不正解でも合否には問題ない問題)

≪民法の振り返り≫
民法では、出題分野に変化がありました。例年、出題分野は以下の通りでした。

総則2問
物権2問
債権4問
親族相続1問


それが、平成28年度の本試験は、

総則2問
物権3問
債権3問

親族相続1問

これは、債権法を中心とする、民法大改正が控えていますので、債権法の出題量を少し抑え気味にしたのかもしれません。だとすれば、改正法が施行されるまで、債権の出題は多少減少するということも考えられます。とはいえ、基本的なところをしっかり押さえていくという勉強方法は変わりません。


民法は、今年も難しい内容になっています。9問中4問の得点が目標ラインです。

<民法・総則>
問題27 消滅時効の援用権者 易しい
問題28 無権代理と相続 易しい

総則分野の問題27の消滅時効の援用権者については、肢ウがやや判断を迷うものの、ア、イ、エは、容易に援用権者であることが判断できますから、消去法で肢5が正解とわかるでしょう。
問題28の無権代理と相続についても、このテーマであれば、必ず問われるものばかりです。肢2の「余地はない」という記載に、迷われた方もいらしたかもしれませんが、大多数のかたが肢3にマークしていらっしゃるので、受験生がしっかり勉強していることがうかがわれます。
いずれも典型問題です。この2問は容易ですから、正解すべき問題です。


<民法・物権>
問題29 共有 易しい
問題30 不動産先取特権 やや難しい
問題31 根抵当権 難しい

先ほども述べましたが、物権分野が、2問から3問に増問されました。そのうち、2問は担保物権に関する出題でした。
問題29の共有関係は易しい問題でした。長文の事例問題ではありますが、問われていることは基本的な問題です。また、組合せ問題ということもあり、正答率は高くなりました。確実に正解したい問題です。
問題30の不動産先取特権は、マイナー論点からの出題でした。4割強の方が肢5にマークしていますが、他の肢1~4までの解答率がほぼ均等ですので、テーマをみて次に進んだ方も多いと思われます。たしかに、このような問題はそれも一つの方法です。
問題31の根抵当権もマイナー論点です。問題30と同じく、回答が割れていますので、飛ばした方も多いと思われますが、それでも問題ありません。


<民法・債権法>
問題32 債権者代位権・詐害行為取消権 難しい
問題33 債務不履行責任 やや難しい
問題34 不法行為 易しい
債権分野は3問です。
問題32の債権者代位権・詐害行為取消権は容易な問題かと思われましたが、肢4をマークしている方が一番多く、正答と誤答の逆転現象が見られました。正解の肢2は簡単なのですが、逆に深読みして、他の肢をつけてしまったのかもしれません。
問題33は債務不履行責任という典型テーマでしたが、各論を絡めた難問でした。各契約についての債務不履行の要件はしっかり整理しておく必要があります。
問題34の不法行為は、肢イはやや難しいものの、ア・ウ・エ・オは基本的ですので答えは出せます。民法では一番正答率の良い問題でした。


<民法・親族相続>
問題35 養子 やや難しい
問題35の養子ですが、典型テーマでありながら、正答率が低くなっています。肢4が、無効原因か取消原因かを問う、かなり細かい知識問題でしたので、引っかかってしまっている方が多数いらっしゃいました。この問題も、正答と誤答が逆転しています。基本的なところこそ、入念にチェックすべきでしょう。
家族法分野ですが、4年連続で親族からの出題です。さらに、記述式も親族法から2年連続の出題となりました。親族・相続が交互に出題されるといった学習法は捨て、親族・相続どちらに偏ることなく、一通りは学習すべきといえます。配点で言えば、記述も含めて24点配点されているわけですから、択一で1問しか出題されないからといって、親族・相続を軽視することは避けるべきでしょう。


民法では、易しい問題と、難しい問題の差が激しく、その見極めが重要といえます。難しい問題に神経を使わずに、易しい問題(問題27・28・29・32)を確実に得点していくことが重要といえます。

次回は、商法の5肢択一式問題について振り返っていきましょう。