【行政書士】
法令択一攻略講座③


みなさんこんにちは!
TAC行政書士講座・講師の小池です。

平成28年行政書士本試験の合格発表が1月31日(火)にあります。行政書士試験の場合、記述式問題が何点取れているか、正確に自己採点できないので、昨年受験された方は、ハラハラドキドキしながら合格発表をお待ちなのではないでしょうか。

講師として、自分が担当させていただいたクラスの受講生の方々が合格されていらっしゃるかどうかは、すごく気になります。合格者が増えて、合格率が高くなると、受験生も増え、行政書士業界自体にもっともっと活気が出てくると思いますので、是非、多くの合格者、高い合格率になることを願っています。そして、たくさんの方から、「合格しました。」という喜びの声を聞けますように!


TACの講座の受講生で合格された方には、合格祝賀会をご用意しています。東京会場のみの実施となりますが、実務をお考えの方に向けた実務講座の説明会や、次の資格をお考えの方に向けたNEXT資格相談会などを企画しておりますので、合格者の方は奮ってご参加ください。

更にTAC行政書士講座では、この1、2月が開講ラッシュになります。TAC各校にて、生講義クラスが順次開講していきいます。TAC行政書士講座の初回講義は、無料で体験することができますので、ぜひ、一度、TACのライブ講義を体感していただきたいと思ってます。TACの良さを実感していただき、一緒に行政書士試験合格を目指すことができればうれしいです!!!

それでは、今回の法令択一徹底攻略講座を始めましょう。
第3回は、憲法人権に切り込みます。

人権は、私たちが、人として生きていく上で、必要不可欠な基本的な権利・自由です。この人権がないがしろにされてしまうと、私たちは、社会生活がしづらくなってしまいます。憲法では、第3章(10条~40条)で、様々な人権が規定されています。

具体的には、私たちはみんな同じだという「平等権」、自分を自由に表現することができるという「表現の自由」、どんな仕事をしてもいいという「職業選択の自由」など、さまざまな人権が決められています。

そして、この私たちが持っている人権を、国はないがしろにできないというのが、憲法が国に対して求める基本スタンスです。人権が守られることで、私たちは自由で豊かな社会生活を安心して送ることができるんです。

とはいうものの、では実際に、どのような人権が憲法上守られているのかを知りたいと思い、憲法の条文をひも解いてみると、条文は抽象的に書かれていて、その正確な像を把握する事がなかなかできないことに気づかされます。

例えば、憲法には生存権という権利が規定されています。生存権を規定する25条1項は、このような条文です。
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

「ん?!なにが抽象的なの?そのまんまでも意味は分かるよ。」
と思われた方もいるかもしれませんね。でももう一度、この条文の意味についてよ~く考えてみてください。

私は、風邪は引いてないけど、メタボリック(笑)。
これは「健康」といえる?それとも「不健康」?

「ううっ。。さむいっ。」というときに、「火鉢に火を入れる」「石油ストーブをつける」「エアコンをつける」
これって、どれも文化的といえる?

「最低限度」っていっても、何を基準に最低かどうかを判断するの?

「権利を有する」の意味って、最低限度の生活ができるように国が面倒をみてくれるってこと?

などなど、25条が規定している「生活」って具体的にはどんな生活なのか、考えれば考えるほどよく分かりませんよね。このように、条文の意味するところが曖昧なわけです。これが抽象的だということなんです。

このように人権に関する条文は抽象的なので、その意味についての争いも当然に起こってくることになります。

そのような争いを解決するため、抽象的な条文の意味について裁判所が読み解いてくれます。これを「条文を解釈する」といいます。

憲法人権分野では、条文そのままを覚えるだけでは不十分です。裁判所が条文をどのように解釈したかを理解して覚えることが重要です。そして、裁判所の解釈は、訴訟の際に裁判所が判決(判例)という形で示してくれることになります。

したがって、憲法人権分野では、条文の知識に加えて、判例が出題の中心となります。

では、判例はどのように出題されるのでしょうか。25条に関しては、最高裁判所大法廷が昭和42年5月24日に判決した「朝日訴訟」が有名です。

【事案】
この事件は、受給していた生活扶助が打ち切られたことに不服を申立てた事件です。
【判決】
「健康で文化的な最低限度の生活なるものは、抽象的な相対的概念であり、その具体的内容は、文化の発達、国民経済の進展に伴って向上するのはもとより、多数の不確定的要素を総合考量して初めて決定でき」、また、「憲法25条1項は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、直接個々の国民に対して具体的権利を付与したものではない」

としました。

この判例が、本試験では次のように問われました。上記の判例を参考に解いてみましょう。

行政書士試験・憲法人権・判例出題例)

いわゆる生存権に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし誤っているものはどれか(平成10年-問22抜粋)。

  • 2 日本国憲法第25条は、直接個々の国民に対して具体的請求権を付与しているものである。

  • 4 日本国憲法で保障されている健康で文化的な最低限度の生活の水準の具体的内容は、文化の発達、国民経済の進展に伴って向上するのはもとより、多数の不確定要素を総合考量して初めて決定できる。

  • 5 日本国憲法第25条は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るよう国政を運用すべきことを国家の責務として宣言したものである


正解は2ですね。
この問題を解く場合、25条をいくら丁寧に読んでも、また、25条を暗記していたとしも答えは出せません。ただ、判例がそのまま出題されていますので、判例を理解していれば正解は容易に判断できますよね。
つまり、答えを出すには判例を理解していることが必要なわけです。こういう問題が、憲法人権では出題の中心となります。

判例からの出題が中心といっても、出題される判例は、基本的で重要なものばかりです。ポイントは、裁判所が条文をどのように解釈したのかを押させることです。

それから、判例を理解する上でもう1つ重要なポイントとしては、
国の行為が、憲法に違反するかどうか。つまり、国が国民の人権を侵害していないかどうかについてどう判断したかも押さえましょう。特に憲法に反するとした違憲判決は重要です。

判例は、具体的な事件に対する裁判所の判断ですから、その事案や背景を押さえていくと、判例の理解が進みますし、実際に生きた法を実感できるのも憲法人権の面白さです。


次回は、憲法統治について考えていきましょう! 
(第3回 終了)
つづく



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TAC行政書士講座では、各校舎でガイダンスや講義を行っています。
特に1月から3月にかけては、多くの校舎で開講日があります。
この開講日は予約不要・無料で第1回目の講義(基本講義 憲法)を受ける事ができます。
ご興味がありましたら、ぜひお気軽にTAC各校舎やカスタマーセンターまでお問い合わせください。

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