【行政書士】法令択一攻略講座⑮
行政法の一般的な法理論


こんにちは!TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

今回の法令択一徹底攻略講座は、行政法の一般的な法理論です。

「行政」とは、一口で言っても、その形態は様々です。一般に、「立法と司法を除いた他の国家作用」といわれますが、このことからも分かるように国家作用のほとんどが行政です。

「ゴミの収集からロケットの打ち上げまで。」とか、「ゆりかごから墓場まで。」などと言われるほど、行政は非常に多岐にわたって活動しているわけです。

雑然としていると、整理したくなるのが世の常人の常。
行政の活動があまりに多いので、「整理しちゃえ!」っていうのが「行政法の一般的な法理論」です。

これを理屈づけると、こういうことになります。

まず、国家権力のほとんどは行政が占めていますから、政府の独断で暴走し国民を圧迫する危険を常に孕みます。

このことは中世ヨーロッパの絶対王政や戦前のファシズム政権など、歴史によって実証されていますよね。

そこで、行政の独断と暴走を防ぐために、憲法でも学んだ三権分立制という国家体制をとって、立法や司法で行政を縛る(コントロールする)わけです。
ただ、行政を縛るためには、行政がどんな特徴や特質を持ち、活動しているのかを捉えていかなければなりません。

しかし、行政活動が雑然としているために、そのままではどのように行政を縛ればよいのかが分かりません。
そこで、行政のさまざまな特徴や特質を整理して、行政を捉えようとする努力が、行政法の一般的な法理論です。

もう少し解りやすく、動物園に例えて見ましょう。想像してみてください。

動物園の中で全ての動物が放し飼いになっていたら、動物はお互いに食べ物を奪い合ったりして喧嘩をし始めます。お客さんも食べられるかもしれないので入ることもできません。

そこで、動物園の中に檻を作って、飼育員さんが飼育します。ただし、檻をたくさん作って雑然と動物を入れていくだけだと動物には、草を食べる動物、肉を食べる動物がいますし、昼に活動する動物、夜に活動する動物がいます。また、相性の悪い動物もいるでしょうから、喧嘩は続きます。

そこでさらに、飼育員さんは、動物の共通点など特性や特質を研究して、うまく管理できるように檻を作り、特性に応じて檻に入れていきます。
ライオンは凶暴だから太い鉄の棒で作った頑丈な檻に入れ、シマウマはやさしいから胸の高さぐらいまでの木の檻にいれます。

サルは集団で生活するので大勢で過ごせるサル山を作り、象は檻を頑丈にしても壊されるので、周囲に堀をめぐらします。
このように、相性の悪い動物はなるべく離します。

研究すればする程、動物たちをうまくコントロールでき、動物達の喧嘩もなくなり、お客さんは動物園で楽しく過ごせるわけです。

一匹一匹の動物が行政活動、動物園を楽しむお客さんは国民、動物を入れる檻や動物を飼育する飼育員が立法や司法。動物の特徴や特質の研究が行政法の一般的な法理論というわけです。

今回は、行政法の一般的な法理論の中でも、特に重要な行政行為に関する問題を解いてみましょう。
では、今回も問題を解いてみましょう。平成11年第33問です。


行政法・出題例)

【問題】講学上の認可に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
3 認可の対象となる行為は、法律行為に限られず、事実行為もこれに含まれる。
5 認可の対象となる私人の法律行為に取消原因となる瑕疵があるときは、私人は、認可後も当該法律行為の取消しを主張することができる。


【正解】5
3 × 「認可」は、第三者の契約、合同行為などの「法律行為」を補充して、その法律上の効果を完成させる行為ですから、法律効果を生じさせない事実行為はその対象となりません。
5 〇 「認可」は、第三者の法律行為の効力を補充し、これを完成させる行為なので、基本となる行為が不成立または無効なときは、それに対する認可によって基本となる行為が有効になるわけではありません。また、取消しうべき行為は、認可後も取り消すことができます。


許可という講学上の概念を正しく記憶することと、この文章に出てくる用語をしっかり理解していれば解ける問題です。

このように、この分野では基本的な行政法上の講学上の概念を理解できていれば解ける問題が多いですから、一つ一つ丁寧に理解して行くようにしましょう。

次回は、行政手続法を見て行きましょう。
(第15回 終了)





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