【行政書士】法令択一攻略講座⑲
国家賠償法


こんにちは!TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。
少し雨が多くなってきたような気がしますが、気象庁のホームページを見てみると、ここ東京の梅雨入りは例年6月の第1週のようです(ちなみに昨年は6月5日のようです)。梅雨はあまり好きな季節ではないですが、恵みの雨でもあります。一見、無駄なように思えることが、本当は欠かすことのできない大切なことだったりします。
行政書士試験においても、一見、出題されないような基本の基本にあたる知識も、様々な法律の理解をする上で、大前提となる知識だったりします。そのひとつひとつを丁寧に覚えていくことが、行政書士試験に合格する上でも大切なです。

さて、今回の法令択一徹底攻略講座は、国家賠償法です。

行政不服審査法、行政事件訴訟法では、行政の行為に不服がある場合の文句の言い方が定められていました。
その不服がもっともなものであれば、行政の行為は修正されたり取り消されたりすることになります。

しかし、行政の行為で損害が生じてしまっていた場合には、行政がその行為を修正したり取り消したりしたとしても、その行為を受けた人は損害を負ったまま救われないことになります。

そこで、国家の不法な行為で国民が損害を被った場合に、「生じた損害をちゃんと償ってもらう。」というのが国家賠償法です。
そして、損害賠償を請求する訴訟を提起して国の責任が認められれば、裁判所は、国に対して「賠償しなさい!」と言ってくれます。

国家賠償法は条文の数は6条と非常に少ないのが特徴です。条文を読むことに労力はかかりません。

6条の中で最も重要なのは「1条責任」です。
公務員が職務執行する際に不法行為を行った場合の国の責任です。つまり、簡単に言うと「人」によって損害が生じた場合の責任です。
また、「2条責任」も重要です。
公の営造物の設置や管理に不具合があった場合の国の責任です。つまり、簡単に言うと「物」によって損害が生じた場合の責任です。

1条も2条も、判例が非常に多いのが特徴です。
本試験でも、どのような事案で国の責任が認められたのか、また認められなかったのかということが問われます。
したがって、国家賠償法の対策としては、1条、2条に係る判例を丁寧に押さえていくことです。

それでは国会賠償法の過去問を見てみましょう。



行政法・出題例)

【問題】
国家賠償責任に関する次の記述は、最高裁判所の判例に照らして正しいか。

1 医薬品の副作用による被害が発生した場合であっても、監督権者が当該被害の発生を防止するために監督権限を行使しなかった不作為は、不作為当時の医学的・薬学的知見の下で当該医薬品の有用性が否定されるまでに至っていない場合には、被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。(平成21年-問20肢2)


2 職務を行うについてという要件の範囲は非常に広く、勤務時間外に行われた、公共団体にとってはおよそ直接監督することができない、職務とは関わりのない行為でも、それが制服を着用していたり、公務であることを騙ったりして、外見上職務であるように見えれば、国家賠償法上の職務関連行為として認定されることがある。(平成17年-問13肢ウ)


3 改修中の河川については段階的改修が認められ、水害発生部分につき改修がいまだ行われていなかったことをもって、河川管理に瑕疵があったとは言えない。(昭和63年-問42肢1)


4 道路管理の瑕疵に基づく損害賠償責任を問われた場合に、道路の整備に予算上の制約があることを理由として、賠償責任を免れることはできない。(昭和63年-問42肢2)



【正解】
1 ○  最判平7.6.23。薬事法の目的および厚生大臣に付与された権限の性質等に照らし、右権限の不行使がその許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、その不行使は、副作用による被害を受けた者との関係において違法となる。


2 
  最判昭31.11.30。警察官が非番の日に制服制帽で強盗殺人をし、その遺族が東京都に対して損害賠償を請求した事案につき、その行為を国家賠償法上の職務行為と認めている。


3 
 最判昭59.1.26。


4 
 最判昭45.8.20。



判例が中心ですから、問題の特徴としては、肢が長くなる傾向があります。なるべく短い肢から検討して時間を節約するようにしましょう。

次回は、行政法最後の大ヤマ・地方自治法です。張り切っていきましょう!

(第19回 終了)





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