【行政書士】法令択一攻略講座⑳
地方自治法


こんにちは!TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。
東京は梅雨入りをしました。暑くてじめじめして、すこし過ごしにくい季節になります。勉強したくなくなることもあるかもしれませんが、そんな梅雨の季節に負けないように、毎日継続して学習を続けましょう。

それでは今回も法令択一徹底攻略講座を始めます。
地方自治法、参ります!

地方自治法は、毎年択一3問出題されます。それ以外にも、出題頻度は決して高くはないですが、多肢選択式や、記述式で出題される可能性もあります。とはいえ、民法は、行政法の主要3法である行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法に時間をかけなければなりませんから、なかなか地方自治法まで手が回らないのが実情とも言えるでしょう。私も、学習の効率性を考えて、「まずは他の科目をまずはマスターしてください。」といいますから、どうしても後回しになってしまう。

そういう事情もあってか、行政法の中でも地方自治法は不得意にされる方が多いようです。

また、慣れない行政法用語と格闘しながら、一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法と勉強してきてヘトヘト。
息切れしているところで、地方自治法がド~~~ン!

条文は多いし、覚えることはただひたすら地方自治のシステム。ましてや数字もたくさん出てきて。。。
どうしても苦手意識が植えつけられてしまいがちです。

ただ地方自治法に対する意識を少し変えるだけで、地方自治法への取り組み方が変わり、得意科目にすることができます。


地方自治法は、他の行政法科目との関連性が薄いという特徴があり、他の科目と関連づけて学習することができません。
しかし、地方自治法は、択一3問の他、もし多肢選択式や記述式で出題されれば、配点は、憲法や商法と肩を並べることになります。そして、憲法と違い判例はほとんどありませんし、商法と違い条文数は少なく過去問の集積もあります。憲・商の学習量に比べると、憲・商より効率的に得点を稼げる要素もあります。

地方自治法を行政法の一部分としてではなく、行政法・民法につづく第三の科目して意識することが、学習意欲をかき立ててくれることにつながります。

さあ、今回も過去問です。



行政法・出題例)

【問題】
地方自治法に関する次の記述は正しいか。


1 地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。(平成21年・問21)
2 地方議会の議員の職務は、戦前は報酬なしの名誉職とされていたが、現在は、条例の定めにより、報酬および期末手当の支給と費用弁償を受けることができる。(平成17年・問17)
3 日本においてはじめて住民投票条例が制定されたのは、新潟県巻町の原発立地の賛否を問うものであった。(平成13年・問17)



【正解】
1 ○ 地方自治法2条14項。
2 ○ 地方自治法203条。
3 × 新潟県巻町の原発立地の賛否を問う住民投票は、1996年8月に実施され、これが最初に「実施」された住民投票ですが、住民投票条例がはじめて「制定」されたのは、1982年7月の高知県窪川町です。



このような問題に見られるように、クイズ感覚で解く問題も多いのも地方自治法です。

それから、地方自治法の問題を解くにあたっては、もうひとつ、とっておきのことがあります。地方自治法は条文数が多いですし、知らない知識、勉強していない知識が問われることもよくあります。そのような場合には、正誤判断ができないからといって、あきらめて、適当に○×をつけてしまうこともあります。
しかし、そんなときには、適当に○×をつける前に、考えていただきたいことがあります。それは、地方自治法の趣旨や目的を示した1条、1条の2、2条を踏まえて、正誤判断をしてみていただきたいと言うことなのです。これらの条文は、地方自治法を貫く共通の原理・原則を定めている部分です。したがって、この条文を頭にたたき込んでおいて、分からない知識が問われた場合には、これらの原理・原則、趣旨・目的から正誤判断をしてみるということです。これらの条文にそぐわないことであれば、誤りの可能性が高いということになります。
もちろん知識はないわけですから、100パーセントで正解できる訳ではないですが、○か×かフィフティーフィフティーという状態ではなく、やや○の可能性が高い、どちらかというと×ではないか、という判断ができ、それがあながち間違っていない、ということもあります。是非読んでみてください。

(地方自治法第1条)
 この法律は、地方自治の本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。



(地方自治法第1条の2)
1項 地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
2項 国は、前項の規定の趣旨を達成するため、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担するとともに、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。



(地方自治法第2条)
6項 都道府県及び市町村は、その事務を処理するに当つては、相互に競合しないようにしなければならない。
11項 地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づき、かつ、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえたものでなければならない。
12項 地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づいて、かつ、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえて、これを解釈し、及び運用するようにしなければならない。この場合において、特別地方公共団体に関する法令の規定は、この法律に定める特別地方公共団体の特性にも照応するように、これを解釈し、及び運用しなければならない。
14項 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
15項 地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければならない。

地方自治法の選択肢で迷ったときには、これらの条文を踏まえて(特に赤字になっているところ)結論を出してみるようにしてみてください。

今回の地方自治法で行政法は終了です。
次回は商法です。ご期待ください。

(第20回 終了)





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