【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
7条


こんにちは!TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

10日、衆議院議員総選挙が公示されました。各候補者が町に繰り出して、熱い選挙活動を開始しています。今回の選挙では、憲法を守るのか、改正するのか、改正するとしてもどのような形にするのか。そんなことも争点の一つとなってきます。

いま、私たちの日本における至上価値は、私たち国民自身です。その国民自身が主役である社会であること。また、国の都合で私たちの自由や権利を奪うことができないこと。それを定めているのがこの憲法です。また、この憲法によって、戦前や戦時中のように、国家が暴走して、私たち国民の命を奪うことを決して許さないという社会を実現しています。
これが、立憲主義といわれるものです。

立憲国家では、私たちの人権が国家によって侵されないようにしています。それを実現するために、国家権力が一極に集中して暴走しないように、権力を割って(権力分立)、お互いに暴走しないように監視させあう体制を取っています。

この立憲主義を守るかどうか、ということも、今回の選挙の争点となります。大局を見ず、枝葉ばかりを見ていると、気がつけば、私たちの人権が軽んじられるとんでもない社会になっていた、なんてことも考えられます。それだけ、憲法を変えるといことは、いまある社会を変えるだけの影響力があります。それだけ重い問題だということを認識してください。

憲法を学ぶ皆さんだからこそ、今、憲法が守っているもの、いまの憲法によって守られていることを、しっかり学んだうえで、今の憲法を守るのか、憲法を改正していくのか、改正するならどのような改正をすべきなのかを徹底的に考えてください。そして選択してください。そして、自分の気持ちを投票に込めてください。
そうすることのみが、私たちの未来を明るくできる道だと思っています。


 それでは今回は、7条を読んでいきましょう。7条は、6条に引き続き、天皇の国事行為について規定しています。

【7条】

天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。


これらの行為も国事行為ですから、行うには、内閣の助言と承認が必要となります。それでは個別に読んでいきます。

1号。
天皇は、憲法改正、法律、政令及び条約を公布します。国民に、これらのことを知らしめる行為ですね。

2号。
国会の召集は天皇が行います。内閣総理大臣が行うわけではありません。召集行為自体は、天皇が行います。また、天皇の国事行為の場合には、「招集」ではなく「召集」という文字を使います。

3号。
衆議院の解散も天皇が行います。解散するのは天皇です。ただ、ここで、天皇は国政に関する権能を有していません。つまり、この国事行為としての衆議院の解散は、国政に関する権能の一つではなく、内閣の助言と承認に基づいて行う形式的、儀礼的行為とということになります。憲法上の規定では、解散する場合というのは、衆議院で、内閣不信任案が可決、もしくは、内閣信任案が否決された場合です。しかし、現在では、そのような決議がなくても、歴代の首相が解散したいと考えるときに、7条を根拠に解散を行っています。今回の解散もそうですね。このような解散が許されるかどうかという議論はありますし、それを批判する見解もありますが、それを止めることは難しいといえます。実質的には、内閣の助言と承認という形で、内閣が解散権を有し、それに基づいて、天皇が解散しているということになるでしょう。

4号。
国会議員の総選挙の施行を公示します。

5号。
公務員の任免や全権委任状、大使・公使の信任状を認証します。認証とは、「お墨付きを与える」ぐらいのイメージですね。

6号。
大赦、特赦、減刑、刑の執行を免除、復権を認証します。

7号。
栄典を授与します。いわゆる勲章などを指します。これは、天皇が直接授与することになります。

8号。
批准書や外交文書を認証します。

9号。
外国の大使・公使に接します。

10号。
いろいろな儀式を行います。例えば、即位の礼、大喪の礼、新年祝賀の儀などが挙げられます。


 次回は、皇室の財産授受についての8条を読んでいきます。おたのしみに。


以上




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