【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
10条


 こんにちは!TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

 先日、政府が皇室会議を開きました。そこで、現在の天皇の退位日について意見を求め、天皇の退位日が、2019年4月30日と決定されました。現在、天皇は今月末で84歳になられます。ご高齢のため、昨年の夏には、天皇が高齢となった場合には、どのようにするのが良いかという国民に対するメッセージも発表されました。

 天皇は、日本の象徴です。ですから、そのご公務は大変なお忙しさだと思います。それが、ときにはご高齢の天皇には、お体にとって、ご負担が大きいものとなるでしょう。やはりご健康が第一ですから、このような判断も良かったのではないかと思います。ただ、それが、政治的に利用されることがないようにすることは必要だと思います。

 現在の皇太子が、翌日の5月1日に天皇に即位し、新しい元号となります。

 天皇が生前退位するのは、1771~1840年まで天皇に就いていた119代光格天皇以来のことだそうです。

 さて、今回は10条を読んでいきましょう。10条は、日本国民の要件について定めています。

【10条】

日本国民たる要件は、法律でこれを定める。


 この10条から、第三章が始まります。第三章は、国民の権利及び義務を定めた章になります。10条から40条までがこの条文となります。そこに、私たち日本国民に保障されている様々な権利、つまり人権が規定され、さらに私たちが果たすべき義務が規定されています。

 そして、第三章の最初に、この章で権利が保障され、義務を果たすべき日本国民とは具体的には誰なのかについて規定しているわけです。とはいうものの、この条文では、日本国民の要件を「法律でこれを定める」として、法律に丸投げしています。そして、これを受けて、規定されたのが「国籍法」という法律になります。日本国籍を有する人が、日本国民ということになります。

 そして国籍法では、日本国民の要件を以下のように定めています。

【国籍法】

(この法律の目的)
第1条 日本国民たる要件は、この法律の定めるところによる。

(出生による国籍の取得)
第2条 子は、次の場合には、日本国民とする。
1号 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
2号 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
3号 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。


この1号から3号に該当する場合に日本国籍が認められることになります。ちなみに、国籍法2条1号の条文に「母」は入ったのは、1984年の改正によってです。つまり、それまでは、国籍においては、父を中心とする家長制度の色を残していたといえます。かなり驚きですね。

また、婚外子で出生後に認知された場合の国籍取得や、帰化についての規定も設けられています。ただし、一人の人が二つの国籍をもつという二重国籍は認めていません。

この点について、国籍を二つ持っている人が「国籍を選択しなければならない。」ということを耳にすることがあります。これは、どういうことかというと、日本の場合、親の国籍を重視する血統主義を採用していますが、アメリカでは、生まれた土地を重視する生地主義を採用しています。そうすると、アメリカで、日本の両親から生まれた子供は、日本国籍も、アメリカ国籍も取得することができることになりますが、原則として22歳までに、どちらかを選択しなければならないとされています。

【国籍法】

(国籍の選択)
第14条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が20歳に達する以前であるときは22歳に達するまでに、その時が20歳に達した後であるときはその時から2年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。


 このように、日本国民の要件が、国籍法によって定められています。
 もちろん、日本国民には、この憲法に規定する権利が保障され、義務を果たすことになりますが、外国人には、権利が保障されないかといえば、そうではありません。性質上、外国人にも、憲法上の権利が保障されることもあります。それについては、また、他の条文を読むときに、適宜触れていくこととしましょう。

 次回は、基本的人権の享有と性質に関する第11条について読んでいきましょう。

以上




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