【社会保険労務士】
「 ブラックバイト・減給の制裁??  」



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こんにちは。今日は2月10日。こう寒いと外出するのも億劫になるので、最近は、インターネットの有料テレビで昔のドラマを1話ずつ観ているのですが、今、はまっているのが昭和51年1月~8月に放送された「大都会・闘いの日々」というドラマ(全31回)です。

脚本があの有名な倉本總さんで、主な出演者が、渡哲也、石原裕次郎、篠ひろこ、仁科明子、神田正輝、高品格、佐藤慶、中条静夫など、とにかく豪華キャストで重厚な人間ドラマを描いています。ゲストに、いしだあゆみ、木の実ナナ、坂口良子などが出演し、1本1本が映画並みのクオリティで作成されました。
後に放送された、「大都会Ⅱ」や「西部警察」とは全く違い、1話1話の完成度が素晴らしい人間ドラマです。刑事ドラマ特有の拳銃で撃ち合うシーンなどはありません。

ちなみに、昭和51年というのは、三木内閣のころで、2月にロッキード事件が発覚し、7月に田中前首相が逮捕された時代です。

国会の証人喚問で小佐野賢治氏が発した「記憶にございません。」が流行語となり、世の中に厭世的な雰囲気が流れていたころです。当時、私は小学生でしたが、何となく大変なことが起きているということは感じていました。
三木首相は正しいことをしているのに、なぜ「三木おろし」の風が吹くのだろうかと疑問に思っていましたが、この「大都会・闘いの日々」や「必殺仕業人(しわざにん)」という大人のドラマを見て、世の中の複雑さを良くも悪くも学んだ記憶があります。昭和51年というのは、時代の転換期で、この1年間を大河ドラマにしてもよいのではと思うほど、いろいろな出来事が起きています。(ソビエトのミグ25が函館に着陸したのもこの年です。)

さて、この「大都会・闘いの日々」において、刑事役は、渡哲也のほかは、高品格、佐藤慶、中条静夫、小野武彦、粟津号、玉川伊佐夫など渋い役者で固められ、石原裕次郎と神田正輝は、新聞記者の上司と部下を演じています。1つ1つの事件に対して、警察、新聞社、犯人の3方向からの目線で物語を展開し、単純に警察が正しいという話ではなく、大人の事情をからめた、非常に深く重厚な作風です。以下、上司の課長から理不尽な命令を受けた黒岩刑事(渡哲也)と大先輩の丸山刑事(高品格)の名シーンです。

「丸さん、警察ってのは、いったい何なんですかね?」

「警察ってのは、ゴミ箱の蓋さ。」

「ゴミ箱の蓋ですか。」

「犯罪ってやつには、必ず原因がある。一言で言えば、世の中が犯罪を起こす。
ところが、その世の中を変えるのは、俺たちの仕事じゃない。
だから、俺たちには犯罪をなくせない。
起こちまった犯罪の、その原因を見ないふりをして、
無理やりけりをつけるのが、俺たちの役目よ。」

「それだけですか?」

「それだけだよ。しかし、その蓋がなけりゃ、世の中、くさくていけねえだろ。」

単純な勧善懲悪ではなく、警察で働く苦悩(上司の命令は絶対服従)、新聞記者で働く苦悩(報道の自由はどこまで許されるか)、暴力団組員の苦悩(やくざもサラリーマンと同じ上からの命令は絶対服従)などを見事に表現しています。


さて、先日、高校生がブラックバイトの被害にあったとニュースで報道がありました。
体調不良でバイト(時給935円)を休むことになったわけですが、店長からは、休むのであれば代わりにバイトをする人物を探して来い、さもなければ、ペナルティを課すというのです。
結局、代わりのバイトを見つけることはできず、病欠で休んだ高校生は、給料明細を見て愕然とします。賃金2万3375円に対して、罰金9350円(935円×10時間)。
25時間労働したのに、10時間分差し引かれて、15時間分しか賃金をもらえなかったというのです。

これはいくらなんでも酷すぎます。10時間分労働できなかったのですから、その部分が無給なのは分かりますが、病気で休んで、その部分に罰金を科すというのはあり得ないです。

テレビ報道で「減給の制裁の10分の1」の規定に違反しているという報道もありましたが、そもそも、病気で休むことは、減給の制裁には当たらないと思います。人間はロボットではないのですから、誰しも、体調不良になることはあります。

さらに、代わりの人材を見つけるのは、使用者側の仕事です。

病気で休んで、罰金というのは、たとえば、無断欠勤などであれば減給の制裁に当てはまるかもしれませんが、この場合、きちんと体調不良で休むと伝えているので、制裁事由には当てはまらないと言えます。

労働基準法を学習することは、社労士の受験生だけでなく、たとえば、高校の授業科目の1つに加えてもよいのでは?と思う今日この頃です。

つづく。