【司法書士】試験科目の内容を知ろう!
【商法・会社法編】


 五月晴れの爽やかな季節となりました。うららかな日よりも多く,1年の中で学習にとても良い時期です。
 今回も,司法書士試験の試験科目についてご紹介してまいります。今回は,午前の部で民法の次に出題数が多い商法・会社法をご紹介します。

1 商法・会社法とは?
 商法・会社法とは,営利を目的とする商人(個人商人・会社)の定義・取引活動・手続についての一定のルールを定めた法律です。ご自分で商売をなさっている方や会社の法務部・総務部などにお勤めの方にとっては,身近な法律でしょうが,学生の方などそれ以外の方にとっては,正直なところ,とっつきにくい,イメージがわかない法律かもしれません。自分も受験時代はそうでした。

2 商法・会社法の性質
 商法・会社法とは,営利を目的とする商人(個人商人・会社)についての法律関係の内容を定める法律であり,民法と同じ実体法です。もっとも,会社の合併,会社分割などの会社の組織再編行為についての規定は手続法に近い性質をもっています。また,商法・会社法の規定は,民法の規定に優先します。一般法である民法に対し,商法・会社法は民法の特別法の関係にあるといいます。例えば,民法ではお金の貸し借りについては無利息が原則ですが,商法の商人間のお金の貸し借りは利息が発生することが原則であり,この規定が民法に優先して適用されます。

3 商法・会社法の構成
 商法・会社法は,司法書士試験に出題される視点から大きくわけると,会社法,商法総則,商行為の3つの分野から構成されます。
 これらの内容は次のとおりです。
(1) 会社法
 総則,株式会社のほか,合名会社,合資会社および合同会社のような持分会社について規定する分野です。株式会社では,会社の設立,募集株式の発行などの株式,新株予約権,株主総会や取締役等の会社の機関,資本金の額の減少などの会社の計算,定款の変更,事業の譲渡等,解散・清算,社債のほか,組織変更・合併・会社分割・株式交換・株式移転といった組織再編などについて規定されています。また,持分会社では,設立,社員,管理,社員の加入および退社,計算等,定款の変更,解散,清算などについて規定されています。
(2) 総則
 商法の全体の通則を規定する分野です。通則のほか,商人,商業登記,商号,商業使用人などについて規定されています。
(3) 商行為
商人の活動としての法律行為(商取引)について規定する分野です。絶対的商行為,営業的商行為,付属的商行為,商行為の代理,多数当事者間の債務の連帯,利息請求権,商事法定利率,商事消滅時効などについて規定されています。

4 商業登記法との関連
 商法・会社法(特に「株式会社」。以下同じ。)と商業登記法は,民法と不動産登記法との関係にように,実体法と手続法の関係にありますが,民法と不動産登記法との関係以上に緊密な結びつきがあります。商業登記を制するには,商法・会社法の理解が不可欠です。

5 具体的事例
 株式会社を設立するには,まず,発起人が定款を作成し,公証人の認証を受けなければなりません。定款には,商号(社名),本店所在地,目的(事業目的)等を定めます。そして,公証人の定款認証後,発起人らが銀行に出資金を払込み,取締役等の役員を選任し,その本店所在地で設立の登記をすることによって,株式会社は成立します。
 設立した株式会社は,目的として定められた事業を行い,事業によって得た利益を株主に分配したり,株主総会を開催して取締役等の役員を選任したり,募集株式を発行して資本金の額を増加させたり,反対に資本金の額を減少させたりもします。
 また,必要に応じて,新株予約権を発行したり,他の会社と合併したり,解散して事業を終え,会社財産の清算を行うこともあります。

6 司法書士試験のおける位置づけ
 商法・会社法の出題数は,午前の部の出題問題数35問中9問(配点1問3点×9=27点)であり,多肢短答式の問題で,民法の次に出題数が多い重要科目の1つです。この9問の内訳は,株式会社から7問,持分会社から1問,商行為から1問です(平成27年度出題実績)。これでお分かりのように,株式会社からの出題が圧倒的に多いです。また,4で述べましたように,商法・会社法(特に「株式会社」。以下同じ。)と商業登記法の結びつきが緊密ですので,商業登記法を別の科目と思わず,商法・会社法の学習の際には,常に商業登記法を意識しながら学習することが大切です。
 さらに,冒頭で述べましたように,商法・会社法はとっつきにくい,イメージがわかない法律ですので,普段から会社関係のニュースや新聞の経済欄に関心を持ち,あるいは,お金に余裕があれば上場している会社の株式を買ってみたりするなど,なるべく具体的な身近な事例を基に学習するとわかりやすいと思います。