【司法書士】試験科目の内容を知ろう!
【憲法編】


 晴れた日には早くも夏日を記録する季節となりましたが,朝夕の寒暖差が激しいので体調管理には万全を期してください。
 今回も,司法書士試験の試験科目についてご紹介してまいります。今回は,午前の部で出題数が3問の憲法をご紹介します。

1 憲法とは?
 憲法とは,国の統治の基本原理,その組織と権限について定めた国の最高法規です。つまり憲法とは,国家のあり方を決めた法規のことをいいます。

2 憲法の性質

 普通の法律,刑法や民法などが「国民を縛るもの」であるもの対して,主として国民の権利・自由を守るために「国家権力を縛るもの」が憲法であるといわれています。このように,法律と憲法は全く性格を異にする法規であるといえます。
 憲法を基にすべての法律が作られており,憲法に違反する法律を作ることはできませんし,ある法律の規定が憲法に違反するものであるか否かは具体的事件における裁判を通じて判断されます(裁判所の違憲立法審査権)。
また,憲法は,小学校~高等学校,大学(一般教養を含む)で学習しますし,一票の格差をめぐる裁判等各種報道が多々なされており,我々にとって馴染みのある法規です。

3 憲法の構成

 ご存知のように,日本国憲法では,国民主権,基本的人権の尊重,平和主義を三大基本原則として定めると共に,統治機構に関する基本的規範,すなわち,国家を統治する仕組みやその制度についても定めています。
 憲法においては,三大基本原理について述べている規定は意外に少なく,前文を除くと,国民主権について規定は第1条のみであり,平和主義についての規定は第9条のみに過ぎません。基本的人権についての規定も,第11条から第40条までの計30条にすぎず,103条中の残りの規定はすべて統治機構に関するものになっています。

(1)  国民主権
 国民主権とは,国の意思を決定する権利(主権)が国民にあるという原則です(民主制)。国民主権のもとでは,国民は選挙を通じて選んだ議員(国会議員等)によって構成される議会(国会等,間接民主制),もしくは最高裁判所裁判官国民審査などの国民投票(直接民主制)などを通じて主権を行使することになります。

(2)  基本的人権の尊重
 基本的人権とは,人間が人間らしく生活するために,生まれながらに持っている各種の権利のことです。そして,この権利は,最大限に尊重される必要があり,何人も侵すことのできない永久の権利として,日本国憲法で保障されています(基本的人権の尊重)。
 基本的人権は,平等権(男女の性別や,人種,国籍,家柄などで差別されない権利),自由権(身体の自由,精神の自由,経済活動の自由などの自由に生きる権利),社会権(生存権,教育を受ける権利,労働基本権など人間らしい生活を国が保障する権利),参政権(選挙に立候補し,あるいは候補者に投票するという政治に参加する権利)および受益権・請求権(裁判を受ける権利,国家賠償等の基本的人権が守られるように国に要求する権利)から構成されます。

(3) 平和主義
 日本国憲法では,侵略戦争を含めた一切の戦争と国際紛争の解決手段として武力の行使および武力による威嚇の放棄(戦争の放棄),軍隊その他の戦力を持たないこと(戦力の不保持)および国家が戦争をする権利を認めないこと(交戦権の否定)とし,徹底的な平和主義を原則としています。

(4) 統治機構に関する基本的規範
 統治機構とは,国民を支配する国家を統治する仕組みやその制度ですが,国民主権をその原則としている日本国憲法では,その「統治」の一極集中を防止する観点から,その権能を立法権・行政権・司法権の三つに分割して相互に監視しあう「三権分立」が定められています。さらに,立法権は国会が,司法権は裁判所が,それぞれ独占しているのに対して,行政権は,国家だけではなく,地方自治や独立行政法人の存在を予定する条文が存在するように分割されています。

4 司法書士試験のおける位置づけ
 憲法の出題数は,午前の部の出題問題数35問中3問(配点1問3点×3=9点)であり,多肢短答式の問題で,刑法(次回学習予定)と同様の出題数となっている科目です。
 この3問の内訳は,精神的自由,内閣,地方自治(平成27年度),検閲,国会,司法権の範囲またはその限界(平成26年度),人権の享有,比例代表選挙,違憲立法審査権(平成25年度)からの出題となっています。
 内容は他の科目より,若干易しめのようですが,小学校~高等学校,大学(一般教養を含む。)での学習だけでは足りず,条文知識,判例知識,推論問題等が幅広く出題されています。まずは,主要な条文や判例を中心とした学習を行いつつ,過去に出題された問題(過去問)の学習を繰り返し行うことも重要であると思います。