【司法書士】
司法書士試験と過去問(1)


司法書士齋藤・荒井共同事務所
所長 司法書士 齋藤隆行

 関東地方も梅雨が明け,本格的な夏を感じる暑い日が続いています。カンカン照りの日には日傘や帽子を忘れず携帯しましょう。また,曇りの日や室内でも熱中症になることがあります。こまめに水分を補給すると共に,エアコンを適切に使用し,熱中症には十分注意しましょう。
 今回から,司法書士試験と過去問についてご紹介してまいります。今回は,「なぜ司法書士試験において過去問が重要なのか」について説明します。

1 過去問とは?
 「過去問」とは,過去に司法書士試験において実際に出題された問題のことをいいます。「過去問」は,条文,判例・先例と共に司法書士試験の受験勉強において重要な学習ツールの1つです。また,過去問は,実際の司法書士試験で出題された問題であり,司法書士試験の問題を出題する試験委員の「この論点は重要ですから必ずマスターしておいてください」との無言のメッセージが込められているものであるといえます。

2 過去問についての誤解
 学習を始めたばかりの方は,過去問について誤解していることがあります。それは,「過去問は,すでに1度出題された問題だから,再度出題されることはないだろう。」というものです。ですが,これは全くの誤解です。確かに,過去に出題された問題と1字1句全く同じ問題が出題されることはありません。司法書士試験は膨大な試験範囲から出題されますが,出題される重要な論点(条文,判例・先例,学説など)には限りがあります。そのため,過去数年分の過去問を調べると,同じ論点が,形や表現を変えて,繰り返し出題されていることがわかります。「過去問は,すでに1度出題された問題だから,再度出題される可能性が高い。」と認識を変えてください。

3 過去問学習の盲点
 受験生の皆さんは,択一式問題の過去問(午前の部,午後の部)については,かなり十分に学習されているようです。その証拠に,Wセミナーの答案練習会でも,過去問類似の問題を出題すると正解率が高い傾向にあります。
 しかし,記述式試験(不動産登記法や商業登記法)の過去問については,学習されている受験生の方は意外に少ないです。それは,当校の答案練習会で,過去問類似の問題を出題しても,ほとんどの受験生の方は正解の答案を作成することができないことから明らかです。記述式試験の方が択一式試験よりも,出題される論点は限られており,同じ論点が,形や表現を変えて,繰り返し出題される可能性が高いです。ですから,記述式試験(不動産登記法や商業登記法)の過去問も,択一式問題の過去問と同様に十分学習をしておいてください。記述式試験(不動産登記法や商業登記法)の過去問の学習は,過去問学習の盲点だといえましょう。

4 過去問を学習することのメリット
 過去問を学習することのメリットとして,膨大な試験範囲の中から本試験の出題の範囲・主要論点を知ることができることにあります。つまり,試験範囲でありながら本試験で全く出題されないような分野の学習,すなわち見当外れの学習をする無駄がなくなります。
 また,過去問を学習することにより,問題の難易度,形式および傾向を知ることができるメリットがあります。過去問の問題としての難易度,形式および傾向を知ることにより,これらに対応した効率のよい学習が可能になります。
 さらに,過去の本試験問題と全く同一の問題が出題されることはありませんが,重要な論点は形や表現を変えて繰り返し出題されることが多いため,過去問を学習し,その理解を確実にしておくことによって,将来の司法書士試験で出題される可能性が極めて高い論点の理解を予め確実なものにできるメリットがあります(過去問は未来の本試験の最も的中率の高い予想問題だという見方もできます。)。
 実際,各受験予備校が実施している答案練習会で出題される問題も,過去問での出題実績,形式および傾向を基に,過去問を意識して作成されているものが多いです。

5 なぜ,司法書士試験において過去問が重要なのか?
 4で述べましたように,過去問を学習することには多くのメリットがあります。これらのメリットは,過去問を学習する以外の方法では享受することができません。つまり,過去問の十分な学習とその習得こそが,司法書士試験合格のための最短ルートなのです。司法書士試験の合格者の合格体験記を読めば,どの合格体験記でも過去問を学習することの重要性を指摘していることがそのことを如実に物語っています(過去問の十分な学習なしに司法書士試験に合格した人はいません)。このように,過去問は,司法書士試験に合格するために必要不可欠なものなのです。

6 過去問を学習するには?
 次号で詳しくご説明しますが,過去問の学習には,まず,過去問に関する書籍を入手することから始めましょう。
 過去問に関する書籍としては,科目別の過去問が掲載された過去問集や過去問が年度毎に掲載されている年度別過去問集,過去問の中から重要なものをセレクトした過去問集などが出版されています。
 まずは,科目別の過去問が掲載された過去問集を入手してみましょう。そして,ご自分の学習の進捗具合に応じて,学習が済んだテーマから,実際に過去問を解いてみましょう。もちろん,最初は,正解することができなくてもいっこうに構いません。自分の学習が済んだテーマからどのようなところが,どのような形式で出題されているかを知ることができれば十分です。
 具体的な過去問の学習方法については,初学者と上級者に分けて,次号で詳しくご説明する予定です。