【司法書士】
司法書士試験と過去問(3)
過去問の実際の取り組み方・中上級者編


司法書士齋藤・荒井共同事務所
所長 司法書士 齋藤隆行

 台風一過,全国的にうだるような猛暑が続いています。屋内でも熱中症になることがあります。エアコンを上手に使い,こまめに水分を補給しながら,学習するようにしましょう。疲労を感じたときは,無理をせず休んでください。
 今回は,前回に続き,司法書士試験と過去問について,特に実際の過去問の取り組み方(中・上級者編)をご紹介してまいります。

1 科目別過去問集のほか,年度別過去問集,好みによって過去問の中から重要な肢をセレクトした過去問集(最新のもの)を手に入れよう!

 中・上級者となると,科目別過去問集はすでに持っている方が多いと思います。しかし,近年のように法改正が頻繁にある場合には,法改正によって答えや解説が変わってしまっていることがあります。そこで,もったいないような気持ちになろうかとは思いますが,涙を飲んで,最新の科目別過去問集を手に入れてください。
 また,年度別過去問集のほか,好みによって過去問の中から重要な肢をセレクトした過去問集(最新のもの)を手に入れましょう。理由は後で述べます。

2 実際の過去問の取り組み方

(1) 過去問中心の学習を!

 中・上級者となると,過去問の学習もひととおり済んでいることから,過去問の学習よりも新しい知識を求めて,おおよそ出題されないような難問・奇問に手を出す方がいらっしゃいます。なるべく早く合格したいという方は,難問・奇問に手を出してはいけません。また,受験予備校はどこも,答案練習会の問題を本試験より難しいレベルで出題します(そうしないと受験生が集まらないため)。答案練習会の受講はオススメしますが,あくまで答案練習会は答案練習会,答案練習会でよい点をとるための学習方法ではなく,むしろ,これまで学習した過去問を中心に,過去問をより深く,徹底的に学習することを強くオススメします。

(2) 肢別学習法

 これまで学習した過去問をより深く,徹底的に学習する方法として,例えば,5肢択一の過去問を1肢ずつばらして,1肢,1肢その正誤について判断できるようにする方法があります(以下,「肢別学習法」という。)。5肢択一の問題ですと,わからない肢があっても,他の肢との比較によって答えを導き出してしまいがちです(本試験ではこの解答方法もありです。)。また,何度も解いているため解答を覚えてしまっている場合もあります。これでは,その過去問を真に理解しているといえませんし,何度学習しても時間の無駄です。肢別学習法の徹底的な実践により,他の肢との比較なしに,1肢,1肢その正誤について判断できるようになれれば,合格も射程距離に入ります。これが,肢別学習法をオススメする理由です。
 加えて,各肢の正誤の判断となる根拠(条文,判例,先例)を六法や先例集等によって確認する作業も実力向上に欠かせません。各肢を見て,「これは,民法〇条だ。」とか,「先例集のあそこに載っていた先例だ。」などと判断できるようになることが理想です。初学者編で述べましたが,六法や先例集の中で過去問の出題の根拠となった条文,判例または先例に,印をつけてみることをおすすめします(例えば,六法の民法177条のところに「平28」と小さな字で記載することなど)。このような印をつけていくと,司法書士試験でよく出題される条文または判例・先例が一目瞭然となり(意外に,同じ条文等が何度も何度も繰り返し出題されていることがわかります),どこを中心に学習すればよいかが自ずとわかるようになります。

(3) 正解肢重視学習法

 六法の中で過去問の出題の根拠となった条文,判例または先例に,印をつける際に,5肢択一の中で,正解となった肢(以下,「正解肢」という。)については,より目立つ色で条文,判例または先例に,印をつけ,これを徹底的に学習する方法があります(以下,「正解肢重視学習法」という。)。正解肢というのは,いわば,本試験委員の「他の肢はわからなくても,この肢だけはわかってくださいね」という無言のメッセージです。ですから,各肢の中でもより重要性が高い肢であるわけです。このように正解肢重視学習法を採用し,学習することによって,重要な肢を効率的に学習できるのです。
 過去問の中から重要な肢をセレクトした過去問集は,上記の肢別学習法・正解肢重視学習法の重要なツールです。手に入れておきたいですね。

(4) 本試験予行演習学習法


 本試験の受験を想定して,本試験の直前に本試験と同じ時間帯に本試験と同じ科目を学習する方法があります(以下,「本試験予行演習学習法」という。)。これは,本試験当日の緊張しないようにするため,また,解答ペースの確認をするものです。本試験予行演習法をしようとするには,年度別過去問集は必要不可欠です。是非,入手しましょう。

(5) 正答率重視学習法

 年度別過去問集では,本試験の過去問の正答率が掲載されているものがあります。この正答率の値が高い問題(みんなが正解できた問題)を重視した学習法があります(以下,「正答率重視学習法」という。)。逆説的に聞こえるかもしれませんが,合格のためには,難問・奇問で得点することより,みんなができた問題を確実に得点することが必要です。なぜなら,難問・奇問はみんなができないので点数差がつきませんが,みんなができた問題を得点できないと点数差がついてしまうからです。そこで,司法書士の本試験のうち,正答率の高い問題を繰り返し学習し,正答率の高い問題では,確実に点を取ることができるようにしておく必要があります。この学習法は,答案練習会などでも応用できます。

(6) 記述式問題(不登法・商登法)の過去問について

 記述式問題についても,択一式問題と同様,過去問の学習は重要です。にもかかわらず,記述式問題の過去問を学習している受験生の方は少ないです。答案練習会で過去の記述式問題で出題された論点を出題しても正解できる受験生の方が非常に少ないからです。記述式問題の過去問についても,択一式問題と同様,丁寧に学習しておきましょう。「この論点は,平成〇年度に出題された。」と言えるくらいになれば,合格レベルといえるでしょう。