【司法書士】
答練って受けなきゃいけないものなの?


司法書士齋藤・荒井共同事務所
所長 司法書士 齋藤隆行

 台風が続き,厳しい天候となっています。皆様,お変わりなくお過ごしですか。
 今回は,各受験受講し動向が実施する答案練習会(以下,「答練」といいます。)を受けるべきかにつき,ご説明して参ります。

1 「答練」とは!

 「答練」とは,各受験受講し動向が実施する答案練習会の略称です。答案練習会とは,平たくいえば,各受講し動向が作成したオリジナルの本試験予想問題についての試験を受けることです。
 一口に本試験予想問題といっても,科目別の問題であったり,午前の部・午後の部のそれぞれの科目を本試験の出題問題数に合わせて作成された総合問題であったり,本試験を意識し,本試験の出題問題数と全く同一の問題数(記述式を含む。)が出題されこれに解答する公開模擬試験などがあります。

2 「答練」を受けることのメリット

(1) 「答練」で自分の弱点を知ることができる

 「答練」を受ける1番目のメリットは,やはり,自分の弱点を知ることができることだと思います。科目別にせよ,総合問題にせよ,出題された問題につき解答した自分の答案が第三者によって採点され,成績表として戻ってくるわけですから,自分が間違えたところ,すなわち,自分の弱点が浮き彫りになります。また,自分ではマスターしていると思っていたところが,実は理解が曖昧で正確に答えられなかったという発見もあることでしょう。
 そして,答練で明らかにされた自分の弱点を十分に復習することによって,その論点の理解を確実なものにすることができ,司法書士の本試験で同様な出題がなされても慌てずに解答をすることができるようになるでしょう。
 ここで注意しておきたいのは,自分が間違えたところであっても,正解率の低い問題,いわゆる難問・奇問については,ざっと復習する程度に留め,正解率の高い問題(みんなができた問題)で自分が間違えたところの復習に十分時間をかける必要があるということです。つまり,メリハリをつけた復習が大切だということです。前にも申し上げたと思いますが,いわゆる難問・奇問は受験生の多くが間違うので,ここで間違えても点数差はつきません。しかし,反対に,正解率の高い問題(みんなができた問題)を間違えると一気に点数差がつくことになりますので,注意が必要なのです。
 また,答練は本試験より少し難しめに作成されることが多いです。本試験と全く同じレベルあるいはそれ以下ですと受験生が集まらないからです。ですから,明らかに本試験レベルより難しい問題の場合は,できなくても気にしないくらいの心構えで十分です。

(2) 「答練」で自分の解答ペース(時間配分)をつかむことができる

 「答練」を受ける2番目のメリットは,自分の解答ペースをつかむことができることにあります。司法書士の本試験では,限られた時間内に,一定レベルの択一式問題についての解答と記述式の答案を作成する能力が求められます。
 同様に,答練でも,限られた時間内に,実際に択一式問題について解答し,記述式問題の答案を書く訓練をすることによって,司法書士の本試験における自分の解答ペースを効率よく,確立することができます。解答ペースとしては,例えば,午前の部,民法〇分,憲法〇分,刑法〇分,商法(会社法)〇分,午後の部,択一1時間,不登法記述1時間,商登法記述1時間などと自分でおおざっぱに決めてみてください。

(3) 「答練」を自分の学習のペースメーカーとして利用することができる

 「答練」を受ける3番目のメリットは,「答練」を自分の学習のペースメーカーとして利用することができる点にあります。例えば,次回に受ける第〇回目の答練が科目別で民法(総則・物権・担保物権)だという場合,その週は,毎日これらの範囲を繰り返し学習し,その学習の成果を答練で確認するといった答練の利用法があります。このような学習を続けていけば,答練が終わる頃に自分の学習も一とおり終えることができます。

(4) 「答練」で全国的な自分の実力を知ることができる

 「答練」を受ける4番目のメリットは,「答練」で全国的な自分の実力を知ることができる点にあります。答練実施後の成績表をみれば,全国的に自分が何人中何位くらいか知ることができ,自分が合格圏内にいるのか,あるいは,今のところ合格圏内から外れている等が明らかになるので,今後の学習の動機付けになります(次回こそ〇〇番台を目指そうとか)。

3 答練って受けなきゃいけないものなのか?
 筆者としては,答練は是非受けた方がいいという意見です。理由は,主にこれまで述べてきた上記2(1)から(4)までのメリットがあるからです。
 また,いくら知識があっても,それを活かして,一定時間内に合格レベルの正確な解答や答案の作成ができなければ全く意味がありません。つまり,インプットが充分であっても,アウトプットができなければ,司法書士の本試験に合格することは難しいのです。このように,アウトプット,すなわち,合格レベルの解答と答案の作成を可能にする最も有力な訓練方法が答練なのです。
 ただ,1つ注意しておきたいのは,答練は手段であって,目的でないということです。ベテラン受験生が陥りやすい罠として,答練で好成績を収めること自体が目的となってしまい,司法書士の本試験合格のための学習ではなく,答練で好成績をとるための学習をしてしまうことがあります。答練は各受験指導校が行うため,その受験指導校独自の癖のようなものがありますので,答練での好成績が本試験合格に必ずしもイコールとなりません。答練は,司法書士試験合格の手段であって目的ではないということを肝に銘じ,これまでどおり,条文・過去問・先例判例中心の学習を続けるようにしてください。かく申す筆者も,合格した年は答練の成績は公開模試1回から3回目まで右肩下がりでしたが,条文・過去問・先例判例中心の学習を続けている自信があったので,全く気にしませんでした。答練の成績はあくまで答練の成績に過ぎないのです。