【司法書士】
答練作成講師が語るココだけの話


司法書士齋藤・荒井共同事務所
所長 司法書士 齋藤隆行

 西日本では高温少雨が続く一方,特に北日本では台風の到来が続き,厳しい天候となっています。
 今回は,「答練作成講師が語るココだけの話」をいたします。

1 答練問題作成の題材とは?
 過去問(本試験問題)が,条文,判例,先例等を基に作成されるのと同様に,答練の問題も基本的にこれらを題材に作成されます。また,答練の問題作成の重要な題材に「過去問」があります。答練が司法書士本試験(以下,「本試験」といいます。)の合格に必要な実力を養成するためのものであり続けるためには, 「過去問」は不可欠な題材です(答練は,出題の傾向や形式も意識して作成されます)。
 もっとも,過去問と全く同じ問題を出題することはなく,角度を変えたり,微妙に表現を変えたりして出題することが多いです(択一式問題としては,敢えて過去問と同じ肢を出すこともあります。)。
 また,本試験委員が出題のネタ本にしていると思われる書籍から出題することもあります(例えば,登記法関係ですと月刊『登記研究』や『登記情報』など。特に商業登記法ですと,松井信憲著『商業登記ハンドブック』など。)。
 法律に改正があった場合にはその新条文,重要な判例・先例が出されたときには,本試験で出題されることを予想して,答練で,本試験前にこれらについて問題を作成し,本試験に先回りして,出題することもあります。
 このような答練を受験するということによって,本試験の合格のため実力を養成するための予行演習ができることになりますので,本試験の合格のために答練は不可欠なものだといえます(前回のブログでご説明したとおりです)。

2 答練のレベルとは?
 答練のレベルは,意図的に,本試験より少し難しめに設定されています。これは,合格に必要な実力を100とすると,答練で120の実力をつけておけば,本試験では100の実力を発揮できればよいので余裕をもって本試験に挑むことができるという趣旨です。
 これに対して,答練のレベルが,本試験レベル(100)やその下のレベル(80)ですと,いつまでたっても,本試験の合格に必要な実力がつかないので(ついても100ギリギリ),答練が本試験の合格のための実力を養成するための予行演習にならないからです。
 答練を受講しながら合格した方が,合格後に自分の受験勉強を振り返ったとき,「この部分については,ここまで勉強しなくても合格できたな。」と感じることが少なくないと思います。もっとも,学習したことは財産であり,実務についたとき役に立ち,決して無駄にはなりませんのでその点については,ご安心ください。
 なお,前回,答練で好成績をおさめることより,条文・過去問・先例判例中心の本試験合格のための学習の必要性を訴えましたが,これは,ある程度実力がある方に対してのメッセージです。本試験合格のための学習を重ねても,答練で一定程度の得点を取ることができなくては,本試験の合格は難しいでしょう(もっとも,本試験合格のための学習を重ねれば答練で一定程度の得点ができるはずです)。

3 答練の出題の仕方
 基本的には,本試験の形式を踏襲した出題をします。択一式試験であれば,五肢択一式の問題,組み合わせ問題,個数問題です。記述式であれば,登記申請書の登記の目的,登記原因,登記事項,添付書面,登録免許税などを書かせる出題です。
 また,本試験が落とすための試験であることに鑑み,答練も過去の出題実績に照らして,受験生がミスをしやすい問題をわざと出題することがあります。いわゆる,ケアレスミスを誘う「ひっかけ問題」です。択一式試験であれば,「ひっかけ問題」でミスをしても1問失点するだけで済みますが,記述式試験,特に商業登記法の記述式試験ですと,1つのミスが,登記の事由,登記すべき事項,登録免許税,添付書面の名称および通数と及び,致命傷になりかねないことに注意しましょう。

4 答練作成講師が考える答練の復習方法
 答練の復習の仕方として,択一式試験では,正解率の低い問題,いわゆる難問・奇問より,正解率の高い問題(みんなができた問題)であって,自分が間違えた問題の復習に十分時間をかける必要があることは,前回お話ししたとおりです。これは,答練実施後に受験予備校から提供される成績表の各肢の正解率を資料として使うことによって容易に学習することができるはずです。
 記述式試験では,個別の論点ごとの正解率が公表されないので(物理的に公表不能),択一式試験と同様の方法をとることができませんが,答練実施後の配布される「講評」を利用するとよいと思います。「講評」は,実際に数多くの記述式試験の答案を採点している採点責任者が書いていますので,その内容については極めて信憑性があります。「講評」で指摘されている点を吟味して,自分が正しい答案を作成できているかをチェックするとともに,正しい答案が書けなかったとしたらその点については,十分な復習をしておくことが必要ということになります。
 記述式試験の答案を採点していると感じるのが,同じ間違いをする受験生がいかに多いかということです。それも,例えば,記述式の過去問で出題された論点と同一の論点が出題されているにもかかわらず,正しく書くことができていない場合が多く,残念に思います(原因は,記述式の過去問の復習が不十分だということです)。
 択一式問題では,正解率の高い問題の完全理解が重要であることを述べましたが,記述式問題では,それに加えて,みんなが間違う論点をできるようにしておくと,他の受験生との差をつけることができるのではないかと思います。
 それから,これは,択一式試験,記述式試験に共通していえることですが,「ケアレスミス」を軽視してはいけません。「ケアレスミス」については,なぜミスをしたか,原因を究明し,次回は絶対に間違いないようにしておかなければいけません(答案の見直しを徹底するなどご自分なりの対策を)。本試験の合格レベルでは,0.5~1点の差で多くの実力者が並び,合否を分かつことも少なくないからです。