【司法書士】
みんながよく言う「法改正」とは?


司法書士齋藤・荒井共同事務所
所長 司法書士 齋藤隆行

秋雨前線と台風が活発な動きをみせています。さわやかな秋晴れが待ち遠しいですね。
今回は,みんながよく言う「法改正」とは?について述べて参ります。

1 みんながよく言う「法改正」とは?
 ひとたび国会で成立した法律も,国際的な潮流や時代の変遷に伴い,現在の社会経済情勢に適合させるための見直しを行う必要が生じることがあります。このような場合,国会においてその法律の改正について審議され,改正法が成立した後,周知期間として一定時間をおき,施行されることとなります。ここでいう法律の改正を,「法改正」といいます。

 また,広い意味では,不動産登記規則や商業登記規則などの法務省令の改正も,「法改正」に含められることがあります。
 法律の改正は,国会の審議・成立を経なければできませんが,法務省令は,法務省が単独で行うことができるので,法律の改正に比べて迅速・容易になされる傾向があります。もっとも,法務省令の改正にあたっては,事前に一般に広く意見を求める手続(パブリック・コメント)を実施する場合がほとんどです。
 みんながよく言う「法改正」とは,司法書士試験に関する法律・法務省令等の改正のことを指します。

2 「法改正」の例
 「会社法」が,平成18年5月1日に施行されるまで,会社法部分も「商法」の一部を構成していました。そして,商法は,平成に入ってから頻繁に改正がなされました。いずれも,国際的な潮流や時代の変遷に伴い,その時々における社会経済情勢に適合させるための改正でした。ひどいときは,毎年のように改正がなされ,実務界はもちろん司法書士試験受験界でも,改正に対応するために苦労しました。
 商法は,明治32年に制定されましたが,平成に入ってからの商法の改正を簡単に振り返ってみると次のようになります。  

 平成2年改正 発起人の数や現物出資の規制撤廃,最低資本金制度の導入など。
 平成5年改正 株主による監督機能の強化,監査役の任期の伸長,大会社における監査役の員数の増加,社外監査役,監査役会導入など。
 平成6年改正 自己株式取得規制の緩和など。
 平成9年改正 ストックオプション制度の創設,合併手続の簡素化など。
 平成11年改正 株式交換・株式移転制度の創設
 平成12年改正 会社分割制度の創設
 平成13年改正 金庫株の解禁,額面株式制度の廃止
 平成14年改正 株式制度の見直し,新株予約権制度の新設,株主総会および株式会社関係書類の電子化等,監査役の任期延長など監査役の機能強化
 平成15年改正 委員会等設置会社の導入,重要財産委員会制度の導入,株主総会手続の簡素化など
 ※ 以上の改正を経て,平成18年改正により,商法から会社法部分を独立させた「会社法」が成立しました(有限会社法は廃止)。

3 最近の法改正(予定・見通しも含む。)
 司法書士試験に関係する法令で,改正が予定されている主なものには次のものがあります。

(1) 憲法
 新聞・ニュース等の報道において,改正の議論が盛んですね。実際に改正されるとしてもまだしばらくは時間がかかりそうです。

(2) 民法
 主に債権関係の規定について,社会・経済の変化への対応を図り,国民一般に分かりやすいものとする等の観点から,国民の日常生活や経済活動にかかわりの深い契約に関する規定を中心に見直しが行われて,改正がなされる予定です。すでに,民法(債権関係)部会第99回会議(平成27年2月10日開催)において,「民法(債権関係)の改正に関する要綱案」が決定されています。

(3) 商業登記規則
 商業登記規則=法務省令が改正され,本年10月1日施行予定です。具体的には,登記すべき事項につき株主全員の同意(種類株主全員の同意)を要する場合,または,登記すべき事項につき株主総会の決議(種類株主総会の決議)を要する場合,株式会社の登記の申請書には,添付書面として,「株主リスト」が必要となります(商業登記規則61条2項・3項の改正)。

4 法改正に対応するには
 司法書士試験は,原則として,実施される年の4月1日現在施行されている法律に基づいて出題されることになっています。ただし,例外的に平成18年の司法書士試験は,改正会社法(平成18年5月1日)で実施されました。もっとも,不意打ちではなく,受験要綱であらかじめその旨の告知がなされましたので,受験準備に大きな混乱はありませんでした。
 法改正に対応するには,受験予備校の講座を受講していれば,なんらかの形で情報が入手できるので,特に心配することはないと思います。
 どうしても心配な場合には,受験予備校の改正法対応講座を受験する,あるいは,改正法関係の受験用書籍を購入するとよいでしょう。
 その他,受験予備校のHP,法務省のHP,新聞・ニュースには,日頃から注意しておくと,なお安心かと思います。