【司法書士】
簡裁訴訟代理人への道(その2)

 

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司法書士齋藤・荒井共同事務所

所長 司法書士 齋藤隆行 


 台風が続きますね。爽やかな秋晴れが来る前に,紅葉の季節になりそうです。朝夕の寒暖差が激しく,体調を崩しがちですが,風邪などひかれないよう,気をつけましょう。
 来年の試験を目指すかたは,引き続き,コツコツと司法書士試験に向けた準備・学習を進めてください。
 今回は,前回同様,簡裁訴訟代理人への道について述べて参ります。

1 簡裁訴訟代理人への道

 前回の復習になりますが,簡裁訴訟代理人になるには,簡裁訴訟代理等関係業務についての所定の研修(特別研修)を受けた上で,法務大臣が行う筆記試験(考査)に合格しなければなりません。今回は,これらについて詳しく述べて参ります。

2 特別研修
 特別研修とは,簡裁訴訟代理等関係業務について法務省令で定める法人(日本司法書士会連合会)が実施する研修であって法務大臣が指定するものの課程であり,簡裁訴訟代理人になるために必ず受けなければならない研修です。
 例年,特別研修は,1月下旬~3月初旬までの間に行われます。特別研修の申し込みをし,受講が決まると,事務所や住所が近い司法書士(または,その有資格者)5~6人のグループが作られ,そのグループにチューター(簡裁訴訟代理人である人)が1人付きます。グループは,週3~4日(平日は夕方,土日を含む。)くらいのペースで,チューターの指導の下,配布されたテキストに従って,質疑応答や討論などを行います(グループ研修)。宿題や課題(訴状の作成など)も出されますので,特にすでに開業している研修生にとっては負担も重く(日中仕事をこなしてから夕方や休日に研修を受けることとなるので),スケジュール的に極めてハードな研修です。他方で,研修の中身は濃く内容も充実しており,力がつく研修であるともいえます。
 また,グループ研修の他に,簡易裁判所の見学・法廷傍聴,裁判官による講義,模擬裁判などがあります。
 研修時間は合計100時間で,原則としてすべての研修に出席しなければならず,遅刻・早退や欠席は一切許されないという厳しいものです。もっとも,グループ研修を行う時間に上限はないため,どうしても出席できない人が出た場合,その人の都合が付く日に,もう一度グループ研修を実施することにより,どうしても出席できない人を救済することは可能です(グループの他の方は余計な研修を受けることになりますが,そこはお互い様でよいと思います)。しかし,その他については救済措置がありません。私が研修を受けたときは,模擬裁判の前日に夜遅くまで熱心にその準備をしたために,当日,寝坊をしてしまい,模擬裁判に遅刻してしまった研修生がいました。研修の実施主体でその方の出席の是非等救済について検討されたようですが,結果的にこの研修生は救済されず,次回の研修で再度模擬裁判を受講しなければならないことになってしまいました。つまり,今回の特別研修では簡裁訴訟代理人の道は閉ざされたわけです。その研修生は泣きながら帰ってしまいました。その場に居合わせた他の研修生もその姿に心を痛めていたことは想像に難くありません。簡裁訴訟代理人は訴訟等における高い実務能力が求められ,また,その責任は重大ですから,特別研修その他その資格を取得するためには,厳しい要件が求められるのは,ある意味当然かと思います。しかし,特別研修は,その運用があまりに厳格に過ぎる嫌いがあります。小職としては,もう少し血の通った運用にしてほしいと思ったものです。

3 認定考査
 特別研修等の全てを終えると,最後に,研修等によって簡裁訴訟代理人たる実力を備えたかを試すための認定考査があります。この認定考査に合格しないと簡裁訴訟代理人にはなれません。小職は,第1回目の特別研修生でしたので,過去問もなく,何をどのように学習したらよいか,全く分からず,手探りでの受験準備となりました。受験してみると,第1回目の認定考査ということで,問題も基本的なものが多く,制限時間内に答案を書き上げることができました。結果,認定考査に合格することができました。法務省としては,第1回目の試験であり,司法書士法改正の趣旨からも,一定数の簡裁訴訟代理人を確保しなければならないということで,合格点もかなり低かったものと推測されます。近年,認定考査を受けた方にお話を聞くと,認定考査のために数年分の過去問を学習したとか,認定考査があまりにも難しく,認定考査に合格するために,司法書士試験に合格するよりも多くの年月を要してしまったという方もいらっしゃいました。それだけ,最近の認定考査は難しくなっており,十分な受験準備が必要のようです。

4 認定考査合格後
 認定考査に合格すると,合格証書が授与されます。小職のときは,最寄りの登記所で合格証書を受領するように連絡が来ました。受領のため,登記所に伺いますと,所長室に案内され,そこで,所長から合格証書をいただきました。合格証書には,合格した旨と氏名の他,簡裁代理関係業務の認定番号が記載されています。最近では,例はないと思いますが合格当時は,債権者に過払金の請求をすると,「合格証書をファックスしてください。」などといわれたものです。本人に代理して,過払金の請求をするための資格があるか確認するためだったと思われます。
 司法書士の資格もそうですが,簡裁訴訟代理人の資格も,取得後に司法書士業務でどれだけ有効に活用できるかが大切ですね。幸い,グループ研修で共に学んだ仲間やチューターの先生等の貴重な人脈がありますので,実際に事件を受託し,どうしても分からないことがあったときには,恥ずかしがらずにこれらの方々に教えてもらいながら,その事件を処理すればよいと思います。もっぱら登記を主な業務としている小職としても,特別研修や認定考査で苦手意識のある民事訴訟法・訴訟業務について,とてもためになる勉強をさせていただいたことはもちろん,グループ研修を共に学んだ仲間などと新たな人脈を築くことができるなど得るものも多く,簡裁訴訟代理人の資格をとって本当によかったと思っております。
 読者の皆様も,近い将来,簡裁訴訟代理人の資格をとる機会に恵まれましたら,どうかためらわず,積極的に参加して,資格を取得し,実務で大いに活躍してください。