【司法書士】
直前期の過ごし方②(1週間前)



司法書士齋藤・荒井共同事務所
所長 司法書士 齋藤隆行


梅雨入りの便りが気になる季節となりました。本試験も間近に迫り,何かと落ち着かない受験生の方も多いと思います。しかし,落ち着かないのは,あなただけではありません。受験生の方,とりわけ,合格を意識している受験生の方なら誰でも同じ心境です。これまでのご自分の学習を信じて,本試験で普段の実力を発揮できるよう,最後の追込みがんばってください!
今回も,「直前期の過ごし方」について述べて参ります。

1 学習編
⑴ 本試験の予行演習
 1週間前ともなりますと,少ない時間でいかに効率よく学習するかが大切になってきます。そこで,おすすめなのが,年度別過去問集を使った本試験の予行演習です。時間がとれる方は,本試験と全く同じ時間帯に,午前の部・午後の部の実施時間どおりに,年度別過去問集を解いてみましょう。昼食休憩なども全く同じ時間をとってください。 1日で1年分の過去問を解くとして,5年分できれば十分です。
択一式問題では,前回述べたように,なるべく肢ごとに正誤を判断しながら解答するようにしましょう。
また,午後の部では,記述式問題の解答のための十分な時間を確保するため,択一式問題をなるべく早く解答するように心がけてください。択一式問題35問を1時間で解くことができれば理想的です。厳しいかもしれませんが,不動産登記の記述式・商業登記の記述式でそれぞれ1時間の解答時間を確保するには,そのような時間配分にせざるを得ないのです。実体法中心の午前の部と異なり,手続法中心の午後の部では,訓練しだいでは不可能ではありません。
夜は,昼間の解答で間違えてしまったところや理解が十分でなかったところの復習をするようにします。
 このように,本試験の予行演習をすることによって,心も体も本試験のリズムに慣れ,本試験当日も違和感なくスムーズに受験できるようになります。
⑵ ケアレスミス対策
 実力者がひしめく合格レベルでは,0.5~1点の差が合否を分かちます。
厳しいようですが,司法書士試験が落とすための試験である以上,これもまた疑いようのない真実なのです。
 そこで,気をつけなければならないのが,「十分理解している論点なのに,うっかり間違えてしまうこと」,つまり,ケアレスミスです。合格できる実力を持ちながら合格まで何年も要してしまう受験生の方の多くは,このケアレスミスを軽視しているのではないかと思います。
採点上は,ケアレスミスであっても,そうでなくとも,減点されることに変わりはありません(特に,択一式問題)。つまり,あなたがたとえその論点を十分理解していたつもりでもケアレスミスをしてしまえば,採点上は,その論点を理解していない受験生と同視されてしまうわけです。
まず,この重大な真実を受け入れ,「こんな論点は十分理解している,たまたま間違えただけだ。」というケアレスミスを軽視する発想を捨ててください。そして,いかにケアレスミスをしないようにするか,真剣に考えてください。
具体的には,過去に自分がしてしまったケアレスミスについて,①なぜケアレスミスをしてしまったのか,②どうしたらケアレスミスを防げたか,③将来同じ問題が出題されたときにケアレスミスを防ぐにはどうすればいいか,ということを理詰めで考えてみてください。
通常の学習では短期間で確実に得点をアップさせることはかなり困難ですが,ケアレスミス対策をすることによって短期間のうちに確実に得点をアップさせることができます(もともと理解しているはず論点だからです)。そして,実力者がひしめく合格レベルで頭1つリードできること間違いなしと思っていただいて結構です。
ケアレスミスをしないということが,実力を100%出し切ることにつながるのです。
⑶ 確かな知識を1つでも多く
前回も申し上げたかと思いますが,重要なことなのでもう一度申し上げますね。本試験直前期の学習で大事なのは,「10個のあやふやな知識より1個の確実な知識」を1つでも多く積み上げていくことです。それには,これまでの過去問,答練等の学習で,浮き彫りになった,ご自身が苦手とされているところ,何度も間違えてしまうところ,ケアレスミスをしやすいところを学習の中心に据え,それらを完全に理解するまで繰り返し学習することに努めることが不可欠です。完全に理解するとは,その知識がどのような形で問われようと常に確実に得点できるレベルに到達していることです。

2 受験準備編
⑴ 体調等の管理
 本試験をベストコンディションで受験するには,体調の管理が大切であることはいまさらいうまでもありません。しかし,実際に体調を管理するのは,思うほど簡単ではありません。ちょっとした油断で風邪をひいてしまったり,季節柄,冷たいものを過ごしてお腹を下してしまったりすることは,皆様もご経験があるかと思います。近年では,熱中症に気をつけるべきでしょうか(室内にいてもなる場合があるようです)。
実は,私も,本試験の直前期に,本試験に対する極度の緊張から,机に向かうのも苦しくなるくらい肩が凝って,肩の痛みに耐えきれないようにしまったことがありました。慌てて,鍼灸を施したのですが,もはや焼け石に水,本試験当日まで治りませんでした。そのような状態で受験しても,日頃の実力を発揮できるわけもなく,合格することは困難でした(合格発表をみるまでもありません)。戦う前にすでに負けていた,すなわち,本試験を受ける前にすでに落ちていたといえるでしょう。手前味噌で恐縮ですが,この年は予備校の答練で上位成績者に名を連ねていたこともあり,合格できるのではと自らに期待するものがありました。それだけに,このような体調管理の失敗と本試験当日の不甲斐なさは,極めて耐え難いものでした。
最後まであきらめないというのは,受験生の本分として大切なことだと思います。しかし,それは体調を崩してまで無理をして学習するということではありません。
本試験1週間前なのですから,決して無理をせず,早寝早起きの規則正しい生活をし,本試験の日をベストコンディションで迎えられるようにしてください。机に向かう時間が多いので,軽い運動(ヨガ,ストレッチやラジオ体操など)で体がほぐすことができれば理想的です。
⑵ 実力以外で必要なこと~実力の底上げ
 ⑴でも,申し上げましたとおり,直前期に,実力以外のことでつまずいてしまうこともあります。しかし,見方を変えれば,実力以外のことを整えることによって,それが実力プラスαとなり,実力を底上げすることもあると思います。
 例えば,ラベンダーの香りはリラックス効果があると聞きます。本試験前で緊張したときには,寝室や勉強部屋をラベンダーの香り(アロマオイルなど)で満たしてみるのもよいかもしれません。また,受験勉強はとにかく目を酷使しがちなので,ブルーベリーや肝油を摂取してみるのもよいかもしれません(ほうれん草も目によいそうです)。目薬を用いるのもよいと思います。それから,栄養ドリンクを飲んで気合いを入れてもいいでしょう(もっとも,あまり飲み慣れない栄養ドリンクの摂取はかえって調子が悪くなることがあるようですので気をつけてください)。
 あと,イメージトレーニングもよいですよ。目を閉じて試験会場で自分がスラスラ問題を解くことをイメージしたり,合格発表を見に行って掲示板に自分の受験番号があることをイメージしたりするのです。それから,過去の成功体験を思い出すのも効果的です(高校や大学の合格発表の時のことを思い出すなど)。その他,自分の気持ちがプラスの方向に向かうものであれば,全く試験に関係ないものでもよいのです。例えば,釣りに行って大物を釣り上げたときの感動,コンサートに行ったときの感動,旅行,趣味のこと,家族との楽しい想い出,異性とのデートのことなど何でも構いません。
 また,最近では,リラックス効果のあるCDなども多数出ておりますので,それを聞くのもよいでしょう。私も,藁にすがる思いで,脳波に作用して学習がはかどるCD,川のせせらぎ,波の音などのCDを集めて繰り返し聴いたものです。