知っ得!身近な法律Q&A

子供が相手を殴って怪我をさせたら、
どうなるの?刑事編(前編)

司法試験 /弁護士編⑥

Q.問題

公園で子Aが他の子Bを殴って怪我をさせた。この場合どうなるの?

今回の回答者

中村 充(なかむら みつる)

開成中高卒→東大法学部卒→現在弁護士。徹底した試験至上主義から辿り着いた絶対的過去問主義に基づき、中学・大学受験、司法試験を突破してきた。その中で培われた受験テクニック・過去問分析手法は他の追随を許さない。

司法試験においても、予備試験・法科大学院入試から新旧司法試験に至る全過去問が、頭の中にデータベース化されている。このデータベースに基づいて、あらゆる法的問題に通用する普遍的な方法論・4段階アルゴリズム(4A)を完成させた。

A.回答

今回も、4段階アルゴリズム(4A)を使って、順序立てて具体的に考えていきましょう。

4Aとは、

  1. ①当事者確定:「ケンカしているのは誰と誰なのか?」を定める
  2. ②言い分:①の当事者の立場に立って、「相手に対してケンカを売る」
  3. ③法的構成:②の言い分を「実現できる条文」を探す
  4. ④あてはめ:③の条文の一言一句に「問題文の具体的事情を“代入”」する

という、あらゆる法的問題に通用する処理手順です。

今回の事例は、「子Aが他の子Bを殴って怪我をさせた。この場合どうなるの?」ということですね。ただ、前回とは違い、今回は刑事事件ですね。では、刑事において、「①当事者確定」はどのように行うのでしょうか。まず、一方当事者は、「検察官P」ですね。起訴をして公判での訴訟活動をするのが検察官ですからね。そして、相手方は、「犯罪っぽい行為、殴った行為をした子A」ということになります。仮に子Aが起訴された場合、Aは被告人と呼ばれます。刑事では、このような対立構造になります。

では、「②言い分」段階に進みましょう。検察官Pとしては相手方である子Aの犯罪っぽい行為、具体的には、AがBを殴った行為について、「これが犯罪っぽいから刑罰を科してください」と、裁判所に申し立てていくということが考えられます。

では、この言い分について処理をしていきましょう。AがBを殴った行為の結果、子Bが怪我をしてしまっていますから、そうすると以前の事例で説明したように、Aの行為については、傷害罪として「③法的構成」をすることができるかどうか、考えることになります。傷害罪は刑法の204条が規定しています。ここでは、204条の文言にあてはめるという、「④あてはめ」段階までおこなってしまいましょう。

204条を読みますと、「人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と書いてありますね。この条文の文言に、今回の事例の具体的事実をあてはめて行きましょう。「人の身体を傷害した」というところですが、Aが「人の身体を傷害した」といえるでしょうか。Aの行為により怪我をさせられたのはBですね。Aの行為の対象は、Bという「人の身体」ですね。また、Aの行為によりBが怪我をしていますから「傷害した」にあてはまります。したがって、Aの行為については、「人の身体を傷害した」というところに明らかにあてはまります。

そうすると、Aは「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」、つまり傷害罪という犯罪が成立して、204条が規定する範囲で刑罰が科されるというふうになりそうですよね。でも、今回の事例のAは子どもですね。Aは何歳でしょうか。8歳ですね。8歳の子どもに十五年以下の懲役、つまり最大十五年の懲役を科すとしたなら、23歳になっちゃいます。青春を棒に振りますね。ちょっとこれはかわいそうじゃないでしょうか。また、あまりにも幼いと、自分の行っていることが悪いことかどうかの区別が的確に行えないこともあります。そこで、刑法はこういう条文を用意しています。

では後編で詳しく検討してみましょう。

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