【弁理士】
「パリ条約と国内法の硬い絆:その1」

 

弁理士試験受験生の皆様。TAC弁理士講座担当の齋藤晶子です。

今回の台風19号で被災された皆様には、謹んでお見舞い申し上げます。

 

今週のテーマは「パリ条約と国内法の硬い絆:その1」です。
パリ条約はそもそも、知財関係の法律の基礎となるものですよね。パリ条約の加盟国はこれに基づいて国内法を制定します。だから、「国内法の元祖はパリ条約にあり」なのです。

今回は皆様があまり得意ではない条文「パリ条約6条の7 代理人、代表者による商標の登録・使用の規制」と国内法との関連を見ていきますよ。
パリ条約と国内法をまとめて学習すると、覚える手間が省けて、しかも相違点を明確にすることにより一気に理解が深まりますよ。

「パリ条約第6条の7(1)」は、国内法であれば「商標法53条の2」
対応していますよ。

(1) 請求人適格
パリ条約→「同盟国において商標に係る権利を有する者」
     この「同盟国」はパリ条約です。
商53条の2→「パリ同盟国、WTOの加盟国若しくは商標法条約の締約国の商標に関する権利を有する者」
        日本の商標法で遵守すべき条約はパリ条約だけではないので、
        パリ同盟国、WTOの加盟国若しくは商標法条約の締約国までが
        守られるべき請求人適格となりますよ。

(2) 請求要件
① 商標等について
パリ条約→「その商標」
    商標についてのみが要件となります。
商品等が同一又は類似までは要件となっていません。
商53条の2→「登録商標が権利者の当該権利に係る商標と同一類似範囲であって当該権利に係る商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務を指定商品又は指定役務とするものこと」
商品等が同一又は類似までが要件となっています。

② 承諾等について
パリ条約→「その商標に係る権利を有する者の許諾を得ないで」
商53条の2→「その商標に係る権利を有する者の承諾を得ないで」

③ 正当理由について

パリ条約→「正当であることを明らかにしない」
商53条の2→「正当理由なく」

④ 代理人、代表者について
パリ条約→「商標に係る権利を有する者の代理人又は代表者」
商53条の2→「その代理人若しくは代表者又は出願日前1年以内に
        代理人若しくは代表者であった者」
      「代理人若しくは代表者であった者」と過去の事実についても規制をしていますね。このような規制を及ぼすことで、商標の所有者と代理人又は代表者の信頼関係の保護を一層徹底することとしています。

(3)効果
パリ条約→「登録異議の申立てをし、又は登録を無効とすること若しくは、その国の法令が認めるときは、登録を自己に移転することを請求することができる」
商53条の2→「当該商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる」
 日本の商53条の2はシンプルですね。無効でも異議申立てでもなく、「取消し」とすることにしていますね。
 あとは日本では国内法令では「登録を自己に移転することを請求することができる」ということ認めていないので移転という措置はないです。


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