【弁理士】ロールケーキから学ぶ商標のふか~い話:その1

 

 弁理士試験受験生の皆様。こんにちは。TAC弁理士講座担当の齋藤晶子です。

 今回のテーマは、「ロールケーキから学ぶ商標のふか~い話:その1」です。

 今回は、堂島ロールというロールケーキのブランドを巡る商標のお話についてです。
 堂島ロールを販売しているメーカーは、現在店舗名が「モンシェール」になっていますが、この事件の時は「モンシュシュ」という店舗名だったんですよ。
 この「モンシュシュ」という名前が事件となった大きな要因となっています。そのことについてお話しします。

1.堂島ロールってどんなケーキ?

 最初はちょっと、お堅いお話しでなく、「堂島ロール」についてご紹介しますね。
 一般的なロールケーキというのはケーキ生地が「のの字」になっていてクリームを巻き込んでいますよね。
 堂島ロールは、ケーキ生地は外側だけしかないのです。
 販売当初は衝撃でした。元々大阪の「堂島」というところで、若い女性が喫茶店で出していたケーキとしての「ロールケーキ」という存在でしたが、これがウケて話題になり、今ではデパ地下で全国展開しています。
 このロールケーキの誕生秘話は、元々普通のケーキ生地が「のの字」のロールケーキを作っていたのですが、ケーキ生地が足りなくなり、仕方なく外側だけケーキを巻いて作ったということです。これが意外に評判がよかったのでそのまま続けたそうです。
 このケーキに使用しているクリームは、かるーくふんわりとしたタイプなので、ケーキの真ん中がクリームオンリーでも全くくどさを感じないのです。これがヒットの秘訣ですよね。きっと。

2.堂島ロールのメジャーデビューの落とし穴

 そうそう。小さく細々とやっていたのがヒットすると、全国展開というのはよくある話。この堂島ロールもその例です。
 堂島ロールは、「モンシュシュ」という店舗で、ケーキを出していたので、「ケーキ又は菓子を主とする飲食物の提供、及びこれらに関する情報の提供」を指定役務とする「MONCHOUCHOU/モンシュシュ」商標出願をし、登録されていました。
 そして、全国展開向けでは、ロールケーキの包装紙に「MONCHOUCHOU/モンシュシュ」という感じで店舗名を付して販売していました。なんとこんな些細なことが事件を巻き起こすきっかけとなったわけです。

3.商標法2条6項をチェック!!

 実は今回取り上げる事件のお話は、商標法上の「商品」と「役務」の類否が問題になっています。
 このことをより深く学ぶため、商2条6項の確認してみましょう。
 商2条6項は「この法律において、商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあるものとし、役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあるものとする」と規定しています。
 つまり、商標法では「商品」同士、「役務」同士だけでなく、「商品」と「役務」が類似することがあるということです。
 審査基準では「商品」と「役務」の類否判断は以下のような基準で判断するとしています。
「① 商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか
② 商品と役務の用途が一致するかどうか
③ 商品の販売場所と役務の提供場所が一致するかどうか
④ 需要者の範囲が一致するかどうか」
(商標審査基準 商4条1項11号)

 こうなると、実際には「商品」と「役務」としての例は、「商品」と「その商品の小売等役務」という場合で、「商品」と「役務」が類似は結構少ないようです。

4.もうひとつの「モンシュシュ」

 実は、大阪の堂島に近い神戸には「ゴンチャロフ」という洋菓子メーカーがありました。
 この会社は、「菓子、パン」を指定商品とする登録商標「モンシュシュ」を有していて、子会社に本件商標を付したバレンタイン用チョコレートを販売していました。
 そうすると、どんなことが起きるか、想像できますよね?そう。
 堂島ロールの「モンシュシュ」は、この「ゴンチャロフ」の指定商品「菓子」と同じ「ケーキ」について、「ゴンチャロフ」の「MONCHOUCHOU/モンシュシュ」と類似商標「MONCHOUCHOU/モンシュシュ」を「ケーキの包装」に付して販売していたので、商2条3項2号の商標の使用に該当し、「ゴンチャロフ」の商標権侵害(37条1号)として差止請求及び損害賠償請求をされてしまいました。

では続きは次回のお楽しみ

 



お知らせ


「TAC式超高速カリキュラムで最短合格無料セミナー」
今年秋から弁理士試験合格を目指す方に向けて、
・弁理士試験とはどんな試験?
・試験制度はどんな感じ?
そして、
・どうすれば合格効率よく合格にたどり着くことができるのか?
・さらに、秋からスタートしてどんなカリキュラムで無理なく合格を掴むことができるのか?
について、お教えしますよ。
是非、いらしてください。