【弁理士】審判の虜(その8)


弁理士試験受験生の皆様。TAC弁理士講座担当の齋藤晶子です。

今回のテーマは「審判の虜(その8)」です。

今回は、最終回です。

7.実体審理
 (1)審理の方式
   特許異議申立は「書面審理」で例外なしですよ(118条)。
   こうすることで、当事者の対応負担の低減ができますね。そして、より利用し易いですよね(青本特118条)。
   一方、特許無効審判は原則「口頭審理」で、例外として「書面審理」となります(145条1項)。
   当事者対立構造をとっているので、「口頭審理」で直接対決の方が、事実の真相を把握するには便宜があり(青本特145条)、当事者双方が納得いく形で審理できますね。
 (2)参加
   特許異議申立にも特許無効審判にも、参加制度はあります。
   ただ、微妙に違う点があります。
   特許異議申立は、特許権者を補助するための「補助参加」だけです(119条)。
   一方、特許無効審判は、審判請求人としての「当事者参加」(148条1項)と、当事者を補助するための「補助参加」(同3項)があります。この「当事者」とは「請求人」と「特許権者」の双方です。
 (3)職権による審理
   特許異議申立も特許無効審判も、職権による審理がなされます。
   申し立てのない理由について審理がなされます(120条の2第1項、153条1項)。
   ただし、申立てがされていない請求項について(120条の2第2項)、申し立てない請求の趣旨については(153条3項)審理をすることができないです。
 (4)併合又は分離
   これに関しては、特許異議申立と特許無効審判で、違いがあります。
   特許異議申立の場合は、
   「同一の特許権に係る二以上の特許異議の申立てについては、その審理は、特別の事情がある場合を除き、併合するものとする(120条の3第1項)。」
   つまり、「特別の事情がある場合を除き」、原則「併合する」なのです。
   一方、特許無効審判では、
   「当事者の双方又は一方が同一である二以上の審判については、その審理の併合することができる(154条1項)。」
   「同一の特許権に係る」でなく、「当事者の双方又は一方が同一」なら併合します。
   しかも、「できる」なので裁量規定ですね。
   審理の併合については、規定は特許異議申立も特許無効審判も同じです。
   「前項の規定により審理を併合したときは、更にその審理の分離をすることができる(120条の3第2項、154条2項)。」です。
   でも、その規定にある個々の事情は異なるようです。
   異議申立ての場合は、こんな事情が青本に記載されています。
   「更にその審理の分離をすることができる旨規定されていて、「特別の事情がある場合」との規定はないが、審理の分離は、いつでも裁量で行えるのではなく、併合後に1項と同様の事情が生じた場合に限られると解される(青本120条の3)」と、記載されています。早々簡単には分離はできなさそうですね。
   一方、特許無効審判の場合は、もっとかるーいノリです。
   「一度併合しても、その後の審理において個別的な審理が望ましいということになれば、分離する(青本154条)」と、記載されています。
   文言はほとんど同じなのに、温度差ありですね。要するに、併合とノリが同じって感じですかね。

8.審理の終結の通知
  特許無効審判を含む審判制度では、156条1項及び2項に

1 審判長は、特許無効審判以外の審判においては、事件が審決をするのに熟したときは、審理の終結を当事者及び参加人に通知しなければならない。
2 審判長は、特許無効審判においては、事件が審決をするのに熟した場合であつて第百六十四条の二第一項の審決の予告をしないとき、又は同項の審決の予告をした場合であつて同条第二項の規定により指定した期間内に被請求人が第百三十四条の二第一項の訂正の請求若しくは第十七条の五第二項の補正をしないときは、審理の終結を当事者及び参加人に通知しなければならない。

  となっています。

  ここで注意。特許異議申立ては「審理の終結の通知」はしないですよ。

9.決定・審決
  特許異議申立てでは、120条の6第2項に

特許庁長官は、決定があつたときは、決定の謄本を特許権者、特許異議申立人、参加人及び特許異議の申立てについての審理に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。

  となっています。
  一方、
  特許無効審判は、157条3項に

特許庁長官は、審決があつたときは、審決の謄本を当事者、参加人及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。

  特許異議申立てでも、特許無効審判でも、「当事者(特許権者、特許異議申立人)、参加人及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者」に「送達」されますね。
  しかも、送達するのが「特許庁長官」ですね。

  156条の「審理の終結の通知」は、「当事者及び参加人」に「審判長」が通知します。
  通知したり送達したりする人と、通知されたり送達されたりする人が違いますので、ご注意ください。

  以上です。短答式試験では、審判のこまかーい内容の突っ込みありますので、しっかり確認しておいてくださいね。
  では、短答式試験、御健闘お祈りいたします。






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