【ビジ法】
改正民法のポイント①


TACビジネス実務法務検定試験®講座
専任講師 田畑 博史


 ビジ法試験の受験を検討されている皆様、既に受験勉強を進めている皆様、こんにちは。ビジ法試験を受験するにあたって、今、一番心配されているのが、民法改正だと思います。そこで、このブログでは、今回から数週に亘って、改正民法から出題が予想されるポイントを指摘していこうと思います。第1回目は、3級で頻出テーマである意思表示の分野です。

1.錯誤

 意思表示の分野においては、意思の不存在として、心裡留保、虚偽表示、錯誤瑕疵ある意思表示として、詐欺、強迫が規定されており、前者は有効無効で解決する。後者は取消可能な行為として処理するのが現行民法です。したがって、前者に分類される錯誤も無効として処理することになっています。しかし、無効であれば誰でも主張できるものの、錯誤の場合、錯誤に陥った表意者以外に無効主張させる理由はないことから、原則として、錯誤無効の主張は表意者のみが主張できるというのが従来からの取扱いでした。そこで、改正民法では、錯誤による意思表示を無効から取消しができると変更されました。よって、改正民法施行後は錯誤取消しという聞き慣れない制度に変わります。
 冒頭でも述べた通り、このテーマは3級で頻出です。特に空欄補充問題で全体像が問われることも多いので、その対策をしておいてください。また2級でも、この改正に伴って、電子消費者契約法の条文も変更されている点に注意が必要です。

2.心裡留保と第三者

 例えば、甲土地を所有するAが売る気もないのに、それを承知でBに甲土地を売却することを心裡留保といいますが、民法上、心裡留保による意思表示は原則有効とされています。
もっとも、BがAの真意を知っていた場合や知り得た場合にまで有効とする必要はありませんから、この場合は、例外的に無効となります。そこで、Aの真意を知るBから、さらに転売を受けたCがいた場合、このCをいかに保護すべきかについて、従来から争点になっていました。なぜなら、AB間の売買契約が無効となれば、たとえCが善意(民法では、知らないことを善意、知っていることを悪意といいます)であったとしても、Cは甲土地の所有権を取得できないはずだからです。この点、判例は94条2項類推適用により解決していましたが、このCが善意であれば保護されることが明文化されました。

3.詐欺取消しと第三者

 騙されて意思表示をした者は、この意思表示を取り消すことができます。しかし、この取消しは、善意の第三者には対抗(主張)できないとされているのが現行民法です。例えば、Bに騙されて、Aが自己が所有する甲土地を廉価でBに売却し、Bはすぐさま善意のCに転売した場合、Aは、たとえAB間の売買契約を取り消しても、Cから甲土地を取り戻すことができないのです。この点、善意のCが保護される結果、詐欺の被害者であるAが犠牲になるのは、バランス的にどうなのかと議論されていたところでした。そこで、改正民法では、Cは単に善意だけでは保護されず、善意無過失(必要な注意を欠いていることを過失といいます)であることが必要となりました。よって、Aが騙されて甲土地を売却したことをCが知らなかったとしても、そのことを注意深く調べればわかったというような場合は保護されないことになります。

4.改正の経緯

 このように、今回の民法改正は、従来から争点となっていた部分を明文化することで解決したといえる部分が多くあります。そこで、現行民法を知っていたり、勉強したことがある方にとっては、むしろ、はっきりしてわかりやすくなったと感じるところではないかと思います。