【ビジ法】
改正民法のポイント③


TACビジネス実務法務検定試験®講座
専任講師 田畑 博史


 ビジ法試験の受験を検討されている皆様、既に受験勉強を進めている皆様、こんにちは。今回も前回に引き続き、改正民法から出題が予想されるポイントを指摘していこうと思います。第3回目は、3級、2級ともに重要テーマである瑕疵担保責任の分野です。この分野からは、特に2級で、請負契約を題材に出題されることが多いので、請負契約の事例を通して説明します。

1.事例設定

 Aは、B工務店との間で、自己が所有する甲土地上に乙建物を建設する請負契約を締結しました。Bは、乙建物を建設し、Aに引き渡したものの、乙建物には欠陥があり、Aは乙建物を使用できない状況になっています。この場合、AはBに対して、どのような主張ができるでしょうか。


2.現行民法

 この事例のように、契約の目的物が通常備えるべき品質・性能を欠いていることを「瑕疵」があるといいます。そこで、Aとしては、Bに対して、請負契約上の瑕疵担保責任に基づき、瑕疵の修補請求損害賠償請求ができることになります。そして、この請負人の瑕疵担保責任は無過失責任とされているため、乙建物の欠陥が、Bの故意・過失に基づいて生じた場合はもちろん、そうでなかった場合であっても、責任を負うことになります。もっとも、本件請負契約は「建物その他土地の工作物」の建設ですから、建物完成後は、たとえ欠陥があっても、Aは請負契約を解除することはできません。欠陥があるとはいえ、せっかく建設した建物を壊してしまうことは、社会経済上の不利益が大きい、簡単に言えば、もったいないと考えられるからです。

3.改正民法

 改正民法では、この瑕疵担保責任の規定が削除されました。そこで、契約の目的物の品質が契約内容に適合しない場合として、一種の債務不履行の問題として処理されることになります。よって、前回のブログでもお話しした通り、Bに責めに帰すべき事由(故意・過失)があれば、AはBに対して、損害賠償を請求することができます。また、要求してもBが不具合の修補をしない等、一定の要件を充たせば、Bの責めに帰すべき事由に関係なく、Aは契約を解除することもできます。建物建設の請負契約であるにもかかわらず、完成後でも解除できることになったことが、大きな改正ポイントであるといえます。
 さらに、Aは、Bの責めに帰すべき事由に関係なく、不具合の修補を請求することができることは、履行の追完請求権と用語は変わったものの、現行民法と同様です。これに加えて、Bがこの追完請求に応じない場合や、そもそも追完が不可能である場合等は、Aは、不具合に応じた請負代金の減額を請求できることになりました。この代金減額請求権は、現行民法にはない制度です。

4.瑕疵担保責任規定の削除

 今回は、請負契約の事例を通じて説明しましたが、瑕疵担保責任の規定が削除されたことは、売買契約においても同様です。したがって、売買の目的物の品質に契約内容に適合しない部分があった場合も、同様に債務不履行の問題として処理されることになります。

 この辺りは、改正民法で大きく変更された内容であるため、本年度のビジ法試験では、新旧比較の問題として出題される可能性があります。よって、現行民法ではどう処理されるのか、改正民法ではどのように変わるのかという視点で整理しておくことが効果的でしょう。