【ビジ法】
改正民法のポイント④


TACビジネス実務法務検定試験®講座
専任講師 田畑 博史


 ビジ法試験の受験を検討されている皆様、既に受験勉強を進めている皆様、こんにちは。今回も前回に引き続き、改正民法から出題が予想されるポイントを指摘していこうと思います。第4回目は、特に3級での重要テーマである時効の分野です。

2.時効制度

 民法の定める時効制度は、一定期間の経過により権利が消滅するもの(消滅時効)と一定期間の経過により権利を取得するもの(取得時効)とがあります。このうち、民法改正絡みで出題される可能性があるのは、前者です。


3.事例設定

 2005年10月、AはBに対して、ビジ法試験に合格したら返してもらう約束で30万円を貸しました。Bは2006年1月に見事ビジ法試験に合格しましたが、現在もAに30万円を返済していません。2018年5月現在、AはBに30万円の返済を請求することができるでしょうか。


4.時効期間

 この事例のように、権利を有していながら長い年月が過ぎている場合、その権利が時効消滅している可能性があることを考える必要があります。この点、本事例のような「債権」の消滅時効期間は、現行民法では、権利を行使することができる時から10年とされています。したがって、AがBに30万円の返済を請求することができるのは、Bがビジ法試験に合格するという「条件」が成就した時ですから、2006年1月から起算して10年後に消滅時効が完成していることになります。もっとも、現行民法では、権利の種類ごとにこれと異なる時効期間も規定されている上、商法には別の時効期間の定めがある等、時効期間の適用が複雑でしたので、改正民法では、統一化が図られました。改正民法では、現行民法にある権利を行使することができる時から10年という客観的起算点に加えて、債権者が権利を行使できることを知った時から5年という主観的起算点を導入し、原則として、この時効期間で統一されることになっています。
 したがって、本事例の場合、条件が成就した時から10年後に消滅時効が完成することに加えて、AがBがビジ法試験に合格したことを知った時から5年後でも消滅時効が完成することになります。よって、少なくとも、条件成就から10年が経過している本事例では、Bが時効を援用すれば、Aはもはや30万円の返済を請求できないことになります。


5.用語の変更

 例えば、Aが2009年3月、Bを相手に30万円の返還請求訴訟を起こしたというように債権者による「請求」があった場合、現行民法上、債権の消滅時効は中断することになります。したがって、あらためて10年が経過しないと消滅時効は完成しないことになります。この「中断」という用語は、一時的に進行を止める場合に日常的に使われる中断という言葉とは意味が異なり、それまでの時効期間を無意味にし、振出しに戻すことを意味します。この点がわかりにくかったため、改正民法では、時効の完成猶予・更新という制度にあらためられました。したがって、改正民法にあてはめると、2009年3月、Aの訴訟提起によって、債権の消滅時効の完成が猶予され、A勝訴の判決が出ることによって、消滅時効が更新され、あらたに進行を始めることになります。よって、この場合、2018年5月現在では、まだAの債権の消滅時効は完成しておらず、Aは30万円の返済を請求できることになります。

 この辺りは、改正民法で制度そのものが大きく変更されたというよりは、その運用方法や用語に変更があった部分といえます。よって、試験対策としては、3級の空欄補充問題で改正後の用語で出題された場合の対策をしておく必要があるでしょう。