【ビジ法】
「苦手分野を克服しよう!③」


TACビジネス実務法務検定試験®講座
専任講師 田畑 博史


 ビジ法試験を受験される皆様、ビジ法試験の受験を検討されている皆様、こんにちは。前回に引き続き、苦手分野のポイントをお話しします。今回の分野は各種担保です。


1.典型担保と非典型担保

 非典型担保とは、分野としては「民法」に分類されますが、あくまで民法に規定されていない担保のことです。民法には、法定担保物権として、留置権先取特権約定担保物権として、抵当権質権が規定されていますが、このように民法に規定のある担保物権を典型担保、民法に規定のないこれら以外で担保として利用されているものを非典型担保といいます。この全体像は、3級でも、よく空欄補充問題で問われますので、グループ分けが出来るようにしておくことが重要です。
 非典型担保としては、最も重要性が高いのは譲渡担保です。2級では、譲渡担保単独で1問出題されることが多いです。その他、所有権留保、仮登記担保等をまとめて1問出題されることがあります。


2.事例設定

 Aは、Bに1,000万円を貸し付けるにあたって、Bの有する甲不動産(時価1,500万円)を担保にとることを検討しているとします。この場合、どのような担保の設定が可能かを考えてみます。


3.各種担保

 まず、不動産であれば、民法上、抵当権の設定、質権の設定いずれもが可能です。もっとも、抵当権の場合、Bの手元に甲不動産を置いたままで設定できますが、質権の場合、Aに甲不動産を引き渡さなければならず、この点で利用しやすい抵当権が実務では多く利用されます。
 また、譲渡担保は、およそ譲渡できるものであれば、なんでも設定できますから、甲不動産に設定することも、もちろん可能です。さらに、不動産であれば、仮登記をすることもできますから、仮登記担保も利用することができます。他方、所有権留保は、主に割賦払いで購入した場合に利用されるので、今回の事例では考えなくても良いでしょう。
 ここで、知識の整理として、抵当権は、不動産、地上権、永小作権に設定できる。質権は、不動産、動産、権利に設定できる。譲渡担保は、譲渡できるものに設定できる。仮登記担保は、仮登記、仮登録が可能である物に設定できることを覚えておいてください。


4.非典型担保における共通点

 先ほど言った通り、非典型担保は民法に規定のない担保ですから、その自由度が高いところに特徴があります。よって、裁判所の手続を通さずに、具体的には、競売手続によらずとも実行できること(私的実行)が大きな特徴です。例えば、Bが借金を返せなければ、Aは甲不動産を自分の物にしても良いのです。ただし、1,000万円の債権を有するAが、1,500万円の甲不動産を取得すると取り過ぎですから、差額である500万円をBに返還する必要があります(清算義務)。この私的実行が可能、清算義務があるという点は、譲渡担保、所有権留保、仮登記担保に共通したことなので、どれが出題されても同じだと覚えておくと良いです。


5.買戻し、再売買の予約

 2級では、買戻しや再売買の予約も非典型担保の一つとして、他の非典型担保と合わせて出題されることがあります。この制度の特徴は、一旦は売ってしまって、支払われる代金を借金とすることです。先ほどの事例にあてはめると、Bは甲不動産を一旦Aに売却して、Aから支払われる代金を借金とするのです。そして、Bに返済の目処が立てば、一旦締結した売買契約を解除する形で甲不動産を取り戻すのが買戻しAから甲不動産を改めて売ってもらうことが再売買の予約です。いずれの場合でも、Aにお金が戻り、Bに甲不動産が戻れば一件落着です。

 この担保の分野は、改正民法の影響がほとんどないことから、出題しやすい分野です。元々出題される頻度の高い分野ですが、今回は例年以上に重要分野といえます。