【ビジ法】
「第44回試験・3級総括」


TACビジネス実務法務検定試験®講座
専任講師 田畑 博史


 皆さん、こんにちは。そして、本試験お疲れさまでした。先週、ビジ法第44回の試験が終了しました。そこで、今週からは、総括として、出題傾向に見る今後の対策についてお話したいと思います。今回は3級についての総括を、正誤問題、空欄補充問題、4択問題に分けて検討します。


1.出題割合

 例年通り、民法グループから55点分出題され、商法グループから15点分出題されていますので、この2グループだけで合格点の70点分があることになります。これは、例年通りの傾向で、その他、全体的な出題割合にも大きな変化はありませんでした。したがって、以前のブログ(2017/5/10掲載)でお話しした出題割合の傾向は今後も大きな変化なく踏襲されるものと考えます。


2.正誤問題

 100点中30点分を1問1点として30問出題される正誤問題では、改正民法からの出題が1問(第1問コ)ありましたが、全体的には基本的な問題からの出題が多かったと思います。改正民法からの出題については、実質的に変更のない単なる用語の変更を問うていた43回の問題に比べると、瑕疵担保責任の規定が削除され、契約内容不適合による責任に変更されるという目玉の改正箇所を問うていました。これは、前回よりも若干踏み込んだ出題がなされたと言えます。よって、徐々にではありますが、改正民法に出題を移行していく傾向が見られます。まだ施行前の来年度もそれ程多くの出題はないと考えますが、ある適度踏み込んだ内容で出題されるようにはなるでしょう。


3.空欄補充問題

 100点中40点分を1空欄1点として5つの空欄×8問で出題される空欄補充問題では、民法グループから5問、その他、商法グループ、知的財産グループ、消費者保護グループからそれぞれ1問の出題でした。このように空欄補充問題は、民法から4、5問、商法か労働法から1問、それ以外から2問という割合が基本スタンスです。
 この点、民法グループから出題は容易な定番からの出題が多かったものの、9-2イに入る語句は少し難しかったかもしれません。商法グループからの出題は、商行為の分類で、過去に何度も問われている内容でした。
 この出題形式で最も難しかったのは、知的財産グループの問題(5-2)であったと思われます。この問題では、実用新案権の対象となる考案、意匠権の対象となる意匠、著作権の対象となる著作物の正確な定義を問うています。この用語を確実に入れるには、定義の正確な理解が不可欠でした。残る消費者保護グループからは、独占禁止法の不公正な取引方法の具体例、さらに違反があった場合の行政上の措置を問うており、これも3級としては難しい問題の部類に入るでしょう。
 空欄補充問題は、割合も多く、得点を稼ぎやすい出題形式なため、ここでどれくらい点数を確保できるかが、合格点を取れるかどうかのボーダーラインとなります。また、正確な知識で語群から正解を選べればベターですが、一見難しそうで、わからない箇所があった場合でも、文章をよく読み、それらしい語句を語群から見つけることは、国語力があれば対応可能であることも多いです。


4.4択問題

 100点中30点分を1問2点として15問出題される4択問題は、結果的に正解を出すという目的だけを考えると容易な問題が多かったです。ただし、個別に各肢を精査すると、難しいものや迷わせるものも見受けられました。例えば、3イでは、個人情報保護法の改正部分や利用目的について、あまり問われない角度からの出題が見られます。3オでは、よく問われる内容ではあるものの、少し変わった角度から出題しています。この傾向は43回にも見られました。ビジ法試験も40回以上を重ね、何度も出題された知識については、全く同じ形ではなく、少し角度を変えて出題する工夫がなされているのでしょう。とはいえ、マークシートの試験では、思考のプロセス等はどうでもよく、結果的に正解をマーク出来ているかどうかです。よって、4つの選択肢をすべて正誤判断することを目指すのではなく、むしろ、確実に判断できる部分だけで正解を出すことを目指すことが合理的です。


5.今後の傾向と対策

 前述しましたが、少しずつ改正民法の内容に踏み込んでいく傾向は見られます。来年度は、まだ施行前とはいえ、正誤問題に加えて、空欄補充問題か4択問題でも、一問は改正民法から出題されるのではないかと予想します。
 難易度については、ほぼ例年通りと言えます。もっとも、43回の合格率が極めて高かったため、今回は若干下がるとは思いますが、もし43回並みの高い合格率となるのであれば、来年度は、難易度を少し上げてくると思います。そうなると、ますます取れるところを確実に取るための対策が必要となるでしょう。
 では、次回は、第44回試験2級について総括します。