【ビジ法】
2019 「今から準備しておくべき改正民法」


TACビジネス実務法務検定試験®講座
専任講師 田畑 博史


 ビジ法試験を受験される皆様、ビジ法試験の受験を検討されている皆様、こんにちは。
 ビジ法試験では、昨年から改正民法が出題されています。もっとも、実際に出題されたのは、直近の45回試験でも、3級の正誤問題で一問、2級では丸々一問あっただけにとどまりました。点数にすると、3級では1点分、2級では2点分なので、極めて限定的な出題ではあります。次回の46回試験もこの程度の出題か、若干増える程度にとどまり、大半は改正に影響のない知識が問われると予想しています。そこで、今回は、次回以降の試験で問われそうな改正民法の内容を予想します。

1.3級における出題
 3級では、現行民法の錯誤無効の制度(95条)が、錯誤取消しに変更された点が問われました。また、昨年は、時効の中断(147条)が、時効の完成猶予~更新に変更された点が問われました。これを見ると、3級では、実質的には、用語が変わっただけで、制度そのものが大きく変わったわけではない部分を出題しているように感じます。
 よって、踏み込んだ内容まで問うてくるのは来年度以降で、次回も根幹から変わるような部分は出題されないでしょう。
 そこで、私が危ないと感じている部分は、①意思表示における第三者保護、②成年となる年齢の変更、③自筆証書遺言における変更点です。
 意思表示の分野は、そもそも3級の頻出分野です。しかも、45回では第三者との関係が出題されませんでした。このことから、次回以降で、錯誤取消しは、詐欺取消しと同様に、善意無過失の第三者に対抗できなくなることを押さえておくべきでしょう(詳細は2019/5/15掲載のブログ参照)。
 現行民法では、20歳で成年者、逆に20歳未満を未成年者としています。この成年となる年齢が、民法改正により18歳になります(詳細は2019/5/8掲載のブログ参照)。これに伴って、結婚できる年齢も変更されます。現行民法では、男なら18歳、女なら16歳で結婚できます。とすれば、結婚はしているものの、年齢的には未成年者だという人も存在するわけです。しかし、民法改正により男女ともに18歳にならないと結婚できないことになります。よって、未成年者なのに結婚しているという事態は今後なくなるので、成年擬制の制度(753条)もなくなります。もっとも、この改正が施行されるのは、2022年4月です。
 自筆証書遺言は、文字通り、自書して作成する遺言です。よって、全文自書で作成することが求められました。そのこと自体は、改正民法でも変わりませんが、この遺言に財産目録を添付する場合、その財産目録は、自書でなくても構わないことになりました。この改正部分は、一足早く、今年の1月から施行されています。

2.2級における出題
 2級では、改正ポイントをまとめた問題一問が出題されることが定番化しています。
 ここで問われる内容は、3級のような単なる用語の変更にとどまらず、制度そのものが大きく変わる目玉的な改正部分を中心に問われています。となると、やはり重要なテーマは、契約締結前から債務の内容が実現できない場合や契約締結前から目的物に欠陥があった場合(原始的不能・瑕疵)、契約締結後に債務の内容が実現できなくなった場合や契約締結後に目的物に欠陥が生じた場合(後発的不能・瑕疵)の処理手順ということになるでしょう(詳細は2019/5/22掲載のブログ参照)。
 現行民法では、を契約締結上の過失として、を瑕疵担保責任として処理しています。については、債務者の帰責性の有無により、債務不履行責任と危険負担を使い分けています。
 この点の改正ポイントを指摘すると、まずについては、解釈で議論していたところが条文化されます。瑕疵担保責任は削除され、追完請求権、代金減額請求権、債務不履行責任で処理することとされます。債務不履行を理由とする解除に債務者の帰責性が不要となります。危険負担は、原則、債務者主義で一本化し、従来の反対債務の消滅ではなく、反対債務の履行拒絶(契約を解除しないと債務自体は消滅しない)という制度になります。この辺りの改正部分は連動しているため、全体像を見た上で、個々に理解していくとわかりやすいと思います。

 以上の点を中心に目を通しておくと、今後のビジ法試験にも対応しやすいですし、実務で活かすこともできるでしょう。