【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
12条


 こんにちは!TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

 年末も差し迫ってまいりました。それとともに、日々寒さもましていますよね。
 朝、ふとんの中が気持ちよすぎて、起きなきゃならないという気持ちと格闘する毎日です。

 それでは、今回は12条を読んでいきましょう。

【12条】

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。


 近現代社会において、私たちは、巨大な国家権力によって押さえつけることのできない自由を勝ち得ました。王様が絶対的な権力を持っていた中世から、フランス革命などの市民革命で多くの血が流されたことによって絶対的な国家権力にも侵すことのできない自由を私たちは獲得したわけです。

 このように、勝ち得た自由を私たちは、絶え間なく努力することによって守らなければならないということを宣言するわけです。

 私たちには、このように自由があるのですが、自由、自由、といって、国民がみんな好き勝手なことをし始めると、こんどは逆に、ほかの人の迷惑になってしまうことが起こります。
 例えば、「あの人の持ってるものが欲しいから取ってしまえ。」とか、「あの人が憎いから、殴ってしまえ。」ということも自由にやっていいということになったとしましょう。やる方は自由でいいかもしれませんが、その相手方は、いつ、他人の自由の実現のために、自分の財産が奪われ、あるいは、自分の顔を殴られることになり、安心して暮らしていくことができません。
 そこで、国民は自由を持っているけれども、必要以上の使い方をしてはいけない、つまり、濫用してはならないとし、また、その自由は、公共の福祉のために利用しなければならないとしました。ここで、「公共の福祉」とは、「みんなが安心して社会生活を送れるようにするためには、他人の迷惑になるような自由の使い方をしてはいけない」ということです。

 ここで勘違いしてはいけないのが、「公共の福祉」というのは、他の国民の迷惑にならないようにしなければならないとするものであって、国家の都合で、国民の自由を奪っていいよ、というものではないということです。あくまでも、「他の国民」の迷惑になってはいけないという観点からの制約です。もし、「国家にとって」都合が悪いからと言って、個人の自由を奪うことはできるとすると、戦前の日本のように、私たち一人一人の尊い命が国家の都合一つで失われてしまうということも起こりかねません。これは絶対に避けなければならないことです。それを避けるために、公共の福祉のために利用する責任を負うとのみ規定し、国家の都合で自由を制約できるとはしないわけです。


 次回は、近代国家の肝となる「個人の尊重」と「公共の福祉」について定めた第13条について読んでいきましょう。

以上




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