【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
13条②


こんにちは!TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

前回に引き続き、13条を読んでいきましょう。

【13条】

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。


前回は、この13条は、「すべて国民は、個人として尊重される。」として、徹底した個人主義に立っていることをうたっているとお話しました。

国家の存在意義は、国家の至上価値となる国民一人一人を幸せにするために存在しているわけです。私たちを守るために存在しています。
決して、国民以前に、国家自体が至上価値ではありませんし、ましてや、私たちが国家のために存在しているわけでもありません。


このような社会を実現するために、私たちになくてはならないものがあります。そうです。それが「自由」です。私たちが私たちの思うところにしたがって、人生を歩んでいけばいい。それを国家に邪魔されない自由。国家によって抑圧されない自由。国家の都合で、私たちの「自由」が奪われてしまうなら、その社会はすでに闇。暗黒の時代となります。

そこで、憲法は、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」としています。

つまり、国家は、政治を行うにあたって、私たち国民の生命・自由・幸福追求権を尊重し守ることを、最も考えていかなければならないことになります。私たちの自由を奪うことなど許されないことになります。


それでは、私たちは、国家に抑圧されずに、なんでもかんでも、自由にやっていいかというと、そうではありません。いろんな制約を受けることはあります。

なぜなら、私たちは、たくさんの人とかかわりあいながら、生活しています。自分が自由だからと言って、人に迷惑をかけてもいいということにはなりません。「国の都合で」私たちの自由を奪うことはできませんが、他人の迷惑になるような自由の使い方が許されるわけではありません。人それぞれ、自分の思うように生きたいのにもかかわらず、他人のせいで、自分の自由を奪われたくはありません。それは、すべての人にとって言えることです。だから、お互いに、人に迷惑をかけないように、自由を使わなければならないことになります。

ところが、自由の使い方で、お互いが衝突したときに、その解決を国民自身に任せると、当然、力の強い人が力の弱い人を押さえつける形になってしまいます。

そこで、そのようなことにならないように、国民と国民の間で自由が衝突したときには、国家がその衝突を丸く収めるために、「人に迷惑をかけるような自由の使い方はしないでくださいね。」といって、自由の使い方に制約をかけていくことになります。

この、「人に迷惑をかけないように自由を使ってくださいね。」という自由の制約概念が、「公共の福祉による制約」と言われるものです。

国家が、国民の自由を制限する、制約するためには、「公共の福祉」という視点の下で行わなければなりません。つまり、ある人の自由の使い方が、他人の迷惑になっているような場面で初めて、国家が私たち国民に対して、「そのような自由の使い方をすると人の迷惑になるから、それややめてくださいね。」といえることになります。


例えば、端的な例を挙げてみましょう。

私が「A君が持っている、腕時計。すごく気に入ったから、自分のものにしちゃえ!」といって、A君から腕時計を盗みました。


私は、自分の思ったことを実現できたから満足かもしれませんが、その行為によって、A君は、「この腕時計はお気に入りで、一生、大切に使おうと思っていたのに、お前に取られなければならないんだよ。」として、A君の、この腕時計をずっと持っているという思いを奪われてしまうことになります。
この場合、私の行為は、A君に迷惑をかけています。したがって、私の行為には「あなたは人の物を盗ってはいけない。」という制約をかけることができます。これに違反すると、国家が出てきて、そうさせないような措置をとることになります。この場合には、窃盗罪という犯罪を犯したものとして、懲役や罰金などの刑罰を受けなければならないことになります。
このように、人に迷惑をかけるような場面では、国家が「公共の福祉」の観点から、私たちの自由を制約することができることになります。


これに対して、例えば

私が、時の政権に対して「今の政権がやっていることはむちゃくちゃだ!即刻退陣しろ!」なんていう演説をしています。これに対して、国家が、「そんなこと言われたら、政権にとって都合が悪いから、そのような演説は許さない。」として、演説を途中で中止させました。


この場合、私には、演説をする自由があります。(憲法では「表現の自由」として守られています。)
しかし、この演説は、国家にとっては迷惑な演説かもしれません。しかし、この「政権(国)にとって都合が悪い」という理由で、私の演説をする自由を奪ってはいけないということになります。あくまでも、この演説は他の国民に迷惑をかけるものではないですから、このような制約は「公共の福祉」による制約とは言えないですし、私たちの自由を最大限に尊重しているとは言えないからです。

このように、私たちには自由があり、国家は何をするにしても、その自由を最大限に尊重しなければなりません。そして、この自由は、「公共の福祉」による観点から制約をかけることはできても、「国家の都合」による観点からの制約をかけることはできないということになります。


 次回も、13条について読み解いていきます。特に、「幸福追求権」いわゆる「新しい人権」について解説していきます。

以上




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