【行政書士】日本国憲法の話
-今だから、もういちど憲法を読み直そう-
15条


 こんにちは!TAC行政書士講座・講師の小池昌三です。

 桜の花も咲き乱れ!と思ったら、あっという間に散り始め、もうすでに青葉が噴いています。

 この桜の、一瞬の華やかさ。潔さ。よく儚さにたとえられますよね。たしかに、桜の花のみの視点で言えばそうかもしれません。しかし、私は、桜の一年の始まりに過ぎない、一種の開花セレモニーだと感じています。この後にくる葉桜の青さが、いかにまぶしいことか。

 そして、来年の今頃はまた、日本全体を桜の花に染め上げていく。このいつまでも続くループ。桜の一生で考えれば、桜の花は、儚さというよりも、時たま訪れる、桜のダンスタイムといったところでしょうか。

 これからもずっと、この桜が、平和のうちに観ることができたらいいと願ってます。

 さて、今回は、15条を読んでいきましょう。まずは、条文から。


【15条】

1項  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2項  すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3項  公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4項  すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。


 まずは1項について
 この条文は公務員の選定罷免権について規定しています。

 公務員を選んだり(選定)、やめさせたり(罷免)することができるのは国民です。つまり、公務員が、国民にとってマイナスになるようなことをやっているような場合には、国民がその公務員をやめさせることができますし、逆に、国民のために働いてくれる人を選ぶこともできるということです。
 日本国憲法は、民主主義政治を旨としていますが、この民主主義を実現するには、公務員を、私たち国民が選ぶことが必要不可欠な権利といえます。
 ただし、実際には、全ての公務員の任免権を国民が行使しているわけではありません。憲法上、選定することができるとされているのは、国会議員や地方議会の議員、地方公共団体の首長となります。これに対して、憲法上、罷免することができるとされているのは、最高裁判所裁判官のみです。これに加えて、地方自治法上は、地方公共団体の長、副市長村長、地方議会の議員、委員については、解職制度があります。

 このように、すべての公務員を直接任免するわけではないことから、この条文は、すべての公務員は、最終的には国民が任免権を持つとする国民主権原理をうたったものであるとか、国政を担当する公務員の権威が国民に由来していることを示しているというように解釈されています。

 次に2項について
この条文は公務員の本質について規定しています。

 公務員とは何か?それは、私たち国民全体に奉仕する人たちです。特定の一部の人のためだけに仕事をする人ではありません。私たちすべての国民に対して、行政サービスを提供するのが公務員です。この条文は、一般職の公務員を対象にしたものです。もちろん、国会議員も公務員ではありますが、国会議員は、政党に所属している者もいます。しかし、国会では、さまざまな利害関係を持った人が選ばれて、国民みんなにとって一番よい道を探るべく会議をする場です。したがって、政党に所属していたとしても民主主義を破壊するものではなく、憲法に違反するとはいえません。
 さらに、全体の奉仕者であることから、団結権、団体行動権、団体交渉権という労働基本権が制限されています。例えば、警察官や、消防官が自分たちの労働条件改善のために、団体行動権を行使して、ストライキなどを行ったら、世の中の治安は乱れ、犯罪が横行し、災害に対処することができなくなります。そこで、国民に奉仕しなければならない公務員は、このようなる労働基本権が制限されることになります。もちろん、そのために、公務員も労働者ですから、過酷な労働を強いることになってしまい、公務が滞るとこれこれで問題ですから、人事院という公務員の労働条件について監視する機関が、問題があると判断した場合には、人事院勧告という形で、労働条件の改善を求めることが、制度として採用されています。

 次に3項について
この条文は普通選挙を保障しています。

 普通選挙とは、人種・信条・性別・身分・財産・納税額・職業・教育・宗教などを選挙権の要件としない選挙をいいます。かつては、国が使う税金を払っている者などが、選挙権を持つべきだということから、納税額が選挙権取得の要件とされていたり、男性のみに選挙権を与えるべきとして、女性に選挙権が付与されていなかったりしました。
しかし、現在は、そのような納税額や性別で選挙権が付与されないということはなく、18歳以上の日本国民に選挙権が付与されています。
さらに、かつては、成年被後見人の選挙権が制限されていましたが、成年後見制度は、成年被後見人の財産を守る制度であって、財産とは関係のない選挙権の行使を制限するのはおかしいということで、公職選挙法が改正され、成年被後見人の選挙権が回復されました。


 次に4項について
 この条文は秘密投票の保障しています。
 秘密投票とは、選挙人が、選挙においてどの候補者や政党に投票したかを誰にも知られない形で行われる選挙方法です。自由な選挙権の行使と、選挙の公正を確保するためには必要不可欠な条件です。

 何か組織に属している場合、その組織が推している候補がいたとして、投票が誰に入れたかが分かるようだと、その組織の推している候補以外には入れにくくなってしまいます。投票は、あくまでも自分がいいと思う候補者に自由な意思で入れることができるようにしておくべきです。したがって、秘密投票の制度は必要不可欠とされることになります。

 そして、誰に入れたかについては、「公的にも私的にも」責任と問われないとしています。つまり、この条文は、憲法の中で、私人間にも直接適用される条文となります。


 次回は憲法16条を読んでいきます。お楽しみに。

 以上




【お知らせ】
TAC行政書士講座では、各校舎でガイダンスや講義を行っています。
また開講日は予約不要・無料で実際の講義(基本講義)を受ける事ができます。
ご興味がありましたら、ぜひお気軽にTAC各校舎やカスタマーセンターまでお問い合わせください。

TAC行政書士講座のホームページはこちら